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【先人の理論】X理論・Y理論
今回はマクレガーの「X理論・Y理論」について投稿します。
マネジメント理論でとても有名なので、既にご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、お役にたてるといいなと思っています。
どんな理論?
この理論は、1957年にアメリカの社会心理学者ダグラス・マグレガーが著書『企業の人間的側面』で提唱した、マネジメントに関する2つの対立的なモチベーション理論(動機づけ理論)です。
X理論とは
「人間は本質的に怠惰であり、管理しないと自ら動かない存在として捉える視点」
に基づいたマネジメントの考え方です。
一方でY理論はその逆の発想で、
「人は内発的なモチベーションを持っており、適切な環境があれば自主的に働き、成長できるという視点」
に基づいたマネジメントの考え方です。
昨今、この理論を参考にする折には、職場の仕事の性質によって分けるといい、という考え方もあるようです。
(例;正確性が求められる職場ではX理論、創造性が求められる職場ではY理論、といった感じです)
これらを踏まえ、個人的な解釈も入りますが、この理論それぞれがうまく活用される状態(逆の理論でうまくいかない状態)には以下のような条件があると考えられます。
X理論でうまくいく条件(=Y理論でうまくいかない条件)
✔「何かを守らせたいとき」や「何かを必須で動かしたいとき」で
厳格なルールや厳しい期限など、マネジメント側のしがらみが強い状態
✔受ける側が「ルールがある方がラク」だと思っている状態
Y理論でうまくいく条件(=X理論でうまくいかない条件)
✔「自由な発想でイノベーションとなるアイデアを必要とするとき」や「やり方にはこだわらず、一定の成果を期待するとき」で、
明確な達成基準があるけれど、やり方は自由でいいなど、マネジメント側に余裕がある状態
✔受ける側が一定の自律した水準にあり、目的達成のために信頼し合って、既存のルールさえも変える意識がある状態
マクレガーはY理論を推奨され、X理論かY理論、どちらかを2者択一で考えていたようです。
私の解釈以外にも、様々なとらえ方ができるので、
時代の変化の流れが激しい今では、
どちらもうまく使い分けて、考えてマネジメントをしていこう、
という提案を与えてくれる理論だと思います。
私が思うこと
9/18の日経新聞で「Amazonが全員週5日出社勤務を決定した」という
記事がでていました。
その記事を見て、今回のテーマ(X理論Y理論)が決まりました。
全員週5日勤務を決定した理由は
「コミュニケーション不足から生じる生産性の低下を補う」
というものだったようです。
そして、この決定はトップダウンで実行宣言されたようです。
従業員の立場に立ってみて考えると、
これまで在宅勤務をして、それが「恩恵」だと思っていた従業員たちにとっては「強制」となるため、X理論が発動されたように思うでしょうし、
出社勤務をしたほうがいいと思っていた、もしくは出社せざるを得ない職務の従業員にとっては、みんなで顔を合わせてコミュニケーションが取れることが「適切な環境を提供した」と思ってY理論にあたるかもしれない。
一方で経営者側に立ってみて考えると
「在宅勤務でコミュニケーションが不足している(=生産性が落ちている)から出社を義務付けた」
「トップダウンで宣言した」
という話ではあるので、やはりX理論の発動になるかなと思えます。
そして、この施策がうまくいくかどうか?は、Amazonで働く従業員に、
経営者達は何を求めたか?ということがキーになるかなと思いました。
「どんな理論?」のところで、X理論がうまくいくのは、「受け側がルールがある方がラクだと思える状態」と私なりの解釈でお伝えしました。
そういった従業員を重視したかったのならば、思惑通りになりそうです。
ですが、「コミュニケーション不足」を課題だと思った背景が、
「創造性のあるサービス開発のため、対面の対話で活性化」
というならば、トップダウンで実行せず、Y理論の別の施策を適用した方が良かったのでは?と思います。
ただ、AmazonはTech企業であると同時にモノを販売する物流企業でもあります。
そこで働く人(物流関連職務の人は恐らく出社勤務必須かも?という推測の前提です)との差異を考え、マネジメントのしやすさという点でこの選択をしたのかもしれません。
また、他の視点で考えると、
巨大Tech企業は優秀な人材確保のために、Y理論(在宅勤務のような自律性を強調)を前面に出して多くの人材を採用してきましたが、巨大企業でのY理論の限界というものがあったのかもしれません。
Y理論を前面に出して、優秀な人材を確保しても、大勢の従業員全員が、
自律的に会社の方向性を把握して業務遂行するには、
相当な対話の量が必要であるように思えます。
対話の量が不足すると、どこかで緩みが発生して、全体の方向性がばらばらになり、統制がとれなくなったのかもしれないなとも推測できます。
それゆえの出社義務付けだったのかもしれません。
一人では実現できない組織目標を力を合わせて実現していくのが
組織の力と考えるならば、
どんな大企業でも、認識を合わせたり、実はこうなんだよ、という対話や、それが腑に落ちるまで対話を継続する、というプロセス(つまりは、Y理論的アプローチ)も無視するわけにはいかないのでは?とも思います。
個人的には企業全体としてはY理論を基盤にして、時折、必要に応じて(プロジェクトが滞っているときや、緊急のトラブル時など)、説明を尽くした上で、X理論を発動するのが理想的なのかな?と思います。
Amazonの内部で他にどのような施策が打ち出されているのかまでは調べていないのですが、
今回の決定の他にY理論の施策や対話が前提にあるといいなと思いました。
皆さんへの問いかけ
管理職の皆さん、
画一的なマネジメントルールのみで乗り切ろうとされていませんか?
職場の皆さん、
ルールが「強制」と感じた時に、いやいや応じていませんか?
「はい」と感じる部分があれば、まずは自分と異なる立ち位置の人と対話してみませんか?
「どうやって対話するんだろう?」と思われた方、
私でよろしければ壁打ち相手をさせていただきます。
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