がんをめぐる冒険(27)開腹手術は赤ずきんちゃんのオオカミ並み

 前の晩からおなかの中をきれいにして、徒歩で手術室に向かうのは前回と同じですが、今回は開腹手術。
背中から麻酔をします。この硬膜外麻酔は術後の痛み緩和にも使います。病室のパイセンたちも術後が痛くて、麻酔がきかない、という話をしていました。
 以前、叔母が後遺症になったので、私はこの麻酔が苦手で。めちゃめちゃ怖かった。
叔母はがんの手術は成功したものの、硬膜外麻酔が効きすぎたのか、半身まひになり、腸が半分動かないものだから、腸閉塞になり、手足も動かず、さんざんなに遭ったのです。そこから叔母は根性でリハビリを続けて退院、その後抗がん剤治療をしてサバイブしていますが、あの麻酔がターニングポイントになりました。なので「叔母がこの麻酔で半身まひしたので、とても怖いです」とアピールしました。
 手術室に入ると、硬膜外麻酔をされ「とりあえず痛くない」と安心して、吸気マスクであっという間に気を失い、終わって病室に運ばれたところで1回目が覚めました。
 2回目の手術は報告する人もいないので、あとは寝るのみ。意識もうろうとしたなかで報告LINEするのは大変なので、タスクがないのは助かったと思いました。
 体はだるいし、起きていたら吐き気がするであろう感覚。背中が痛いのも怖いし、尿道がついたままなのもしんどいので、とにかく寝る、寝るしかない。
 
 手術の翌日、目を覚ますと背中の痛みは鈍痛程度。
それより、寝たまま術衣の胸元を広げて、腹帯の間を開けておなかを見たら
「ひー! おへそがない……まぁ仕方ないよね」
と自分でなぐさめに入りました。
 
 開腹は、おなかの状態がヘソ下から20センチくらい。状況が悪かったらヘソ上から切ります、と言われていました。
そこはドクターにお任せするしかない。そして、思ったより良くなかったということ。
 上からから覗いてみると切ったところが山になって盛り上がっていて、手術用のボンドががっちりついています。
「赤ずきんちゃんで出てくるオオカミって、こんな気分なのかなー」
軽く確認してまた寝ました。

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