がんをめぐる冒険(21) 入院中はラウンジでお友達作り

 入院中、看護師さんと一緒に付属の看護大の学生が実習に来ました。
病気になってダンスに行けず、若い子に会えない日が続いていたので懐かしく思いました。
ラウンジにいたので、看護師さんが学生とお話してくるように言われたそう。
聞けば大学1年生で、実習は初めて。子供の頃に入院経験があり、看護師を目指したそう。
今の子はみんな優しく、オトナにも気をつかってくれる。
そうそう、ダンス行くといつもこうしてかまってくれるのよね……
あー、19歳だと〇〇と同じくらいかな。会えないことに寂しさを感じました。

 ラウンジにいるのは同じがん患者なので、すぐ仲良くなれます。すでに抗がん剤で髪が抜けて帽子をかぶっている人や短髪の人がほとんどで、自分の治療の半歩先を歩く先輩たちです。どうやってこの病院に来たのか、抗がん剤治療は何が大変か、脱毛の心構えなど教えてくれました。
「抗がん剤を初めて、2回目くらいから髪が抜け始めたわね。最初はギョッとしたけど、もう抜けてしまえばこんなもんか、って思えるから大丈夫。脱毛が始まったら毛が落ちないように不織布のキャップのかぶるといいわよ。朝起きたら捨てて、その都度捨てちゃえばいいし。ダンナが不織布キャップ100個入り買ってきて、そんなに抜けないって(笑)。ねぇ。
ウィッグは30万円もしたの買ったけど、あんまり使わなかったわね……家にいるときはニットキャップでいいし。保護者会に行くときくらいだったわね」
 ウィッグが意外と登板回数が少ないとは。院内を散歩するたびにウィッグの店をのぞき、ウィッグを買うのがマスト、毎日かぶるものと思っていたのですが、実際はどうも違うようだということを初めて知りました。とはいえ、ウィッグをかぶったことのないし、腰まであるロングでは想像がつきません。
 退院したら肩までのボブにしてからウィッグの試着に行こうと思いました。

 

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