がんをめぐる冒険(70)がんのメリットは旅行に行ける‼

 以前、元外務大臣の与謝野馨さんに取材したとき、「がんのギフトは時間です」とおっしゃっていました。
何度もがんになり、一番大変なときに外務大臣としてサミットに出席しされ、小泉純一郎首相を支えた裏方。そんな大先輩がおっしゃっていたのは「時間」。
 急に心臓発作で倒れてそのまま、というより、店じまいまでに時間がある。その間に伝えたいことを伝えることができる。
 がんて悪くないな、と思った瞬間でした。

 今、がんサバイバーの叔母はハワイに旅行に行っています。
「お友達と久しぶりに行ってくるわー」
よく一緒に海外旅行に行っていた妹(一番下の叔母)と一緒でないので、質問すると、
「なんかね、行きたがらないのよ」
下の叔母は以前、駅前のカフェで脳出血で倒れ、そのまま1カ月植物人間状態から復活しました。1カ月も寝たきり、今は完全復活しましたが、
「また脳出血するかもしれないから怖いって」
と言うのです。
私は
「あら、私たちがんで良かったね。飛行機に乗って容体急変する心配はないから」
「そうだねー、良かった」
と叔母。

 がんで先が見えないと思う方もいますが、比較的「急変しない」という点では悪くない。もちろん、脳出血が悪いわけではなくて、がんにはないメリットもあるはずです。病気にとらわれず、いい面にフォーカスを当ててポジティブにいけたらいいかなと思います。

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