がんをめぐる冒険(35)抗がん剤治療の準備

 開腹手術して、退院して、次は2週間後の抗がん剤治療のための入院というスケジュールに向けて段取りです。
前日入院の1泊2日ですが、今回は副作用というイベント付き。1回目は2種の薬、2回目からは3種の薬を入れて、3週おき6回の予定。説明パンフレットには髪が抜ける、手足のしびれ、吐き気、うつなどが書いてあります。
 
 まずはウィッグを探すにも、腰までのロングヘアではイメージできないので、肩までのボブにカット。銭湯で近所のおばちゃんたちに会うと、抗がん剤治療の前に髪を一旦切ったこと、ウィッグを探さなきゃ、と説明をしながら、自分にも言い聞かせました。自分の病状を人に話すことで気持ちの整理もできるし、おばちゃんたちは「あら、いいじゃない!」とホメてくれるので気が紛れます。
 
 それから、パワハラ問題で産業医面談。役員が仕事を無茶ぶりしてきたことと、手術で入院することを詐病だと社内で言いふらしていたことを伝えると、医師の表情が変わり、
「産業医としては強ストレスにさらされている、と報告しますが、その状況で職場復帰は危険なので診断書を出しますから、仕切りなおして心療内科として受診してください」
と言われ、外来診察の手続きをして受診しました。
「今すぐ、仕事から離れて治療に専念すること。この件は放っておくこと」
と、先生は2カ月休養の診断書をくれました。
 とはいえ、担当連載はあるし、独り者の私は仕事をやめられません。休むわけにもいきません。正社員とはいえ、完全に休むと、給料の60%しか支給されません。薄給の60%では病院の支払いにも満たない、生活が成り立たない。いずれにしても仕事を休むわけにはいかない。上司に状況を伝え、リモートで仕事を続ける方向性で話をしました。とりあえずこれで抗がん剤治療に集中です。

 あとは抗がん剤治療に必要なグッズ集め。

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