外食M&A⑩ 買収案件探し方・売却戦略
こんにちは!ユニコンの照井です。本日は、M&Aを検討した際にどのように買収企業などを探すのかについてみていきたいと思います。
買収するものを明確にする
自社がどのような企業・事業を買収するのが良いのかを明確にすることが重要になります。そのためには、以下のステップを経て検討すると良いと思います。
①目的を明確にする
何を達成するために、買収するのかということの目的を明確にする必要があります。中期経営計画を策定しているのであれば、その中期経営計画達成のために、どのようなものを買収すべきなのかを明確にします。
②地域・ブランド・店舗などの具体性を検討します。
上記目的にあう、地域とはどこなのか。どのような業態・ブランドなのか。店舗の立地はロードサイドか都市型かなどを検討していきます。具体性をもつために、具体的な企業やブランドを探してみるのも良いと思います。(我々のような仲介者にも具体的にこのような企業・店舗ということでより具体的な案件を紹介受けることにつながります。)
③自社の規模と投資規模を検討します。
これは、前に記載しているように、最初はまずは自社の10分の1程度を一つの目安としてその企業が持つ利益を想定、それに対してこれも前に記載した倍率をかけてみて、自社が投資できる規模かを検討します。
または、自社が現在投資に回せる資金から、利益どのくらいの店舗を何店舗まで取得できるかなどを逆算で出していきます。
④案件探索
ここまで、明確にしてくると自社が取り組むべき事業・業態などが明確になります。ここで自社に合う企業・事業を探索していきます。案件探索はどのようにすべきかについては次に記載します。
案件探索について
案件探索については、出来うる限りできることをやるべきです。
M&Aプラットフォームに登録して探索する
現在プラットフォームと呼ばれるもので主流となっているものがビズリーチが行っている、「M&Aサクシード」 とM&Aセンターが行っている「バトンズ」が二大プラットフォームです。この二つは必ずチェックすべきだと思います。
多くのM&A仲介業者と付き合う
案件はM&A仲介業者が持ってます。それぞれのM&A仲介業者は専任契約をしていることが多く、持っているM&A企業は違います。ですので多くのM&A仲介業者と付き合うことによってより多くの案件情報を取得することができます。M&A仲介業者も大手などの全業種型と業種特化型のところとで別れますのでそれぞれと付き合うと良いと思います。以下にどのような企業があるか記載しておきます。
大手全業種型
日本M&Aセンター M&A仲介業者で圧倒的大手でありますので一番案件を保有しております。一方で着手金が必要であったり、中間金などもあるので
費用は一番かかると考えてよいと思います。
M&Aキャピタルパートナーズ 二番手のM&A仲介業者です。アウトバウンド営業に強みがあり、大き目の案件などを多数保有しております。着手金は必要ありませんが、基本合意時の中間報酬などが必要となります。
ストライク 三番手のM&A仲介業者です。公認会計士が代表をしている企業でもあるので、士業に強みをもっていると思われます。こちらも中間報酬などが必要となります。
M&A総合研究所 今年上場したM&A業者であります。WEB広告やアウトバウンド営業で案件を保有しているM&A仲介業者です。完全成功報酬で行なっていることが特徴であります。
業種特化型
ウィット 外食特化で行なっているM&A仲介業者の中では古くから行っている企業であります。シンクロフードの子会社でもあるので、小さいものから中堅の案件まで幅広く案件を保有しております。
M&Aプロパティーズ ウィット同様外食で非常に多くの経験をもっている企業であります。
ユニコン 弊社でありますが、私自身が外食M&Aを10年以上行ってますので、過去ご支援先のネットワークなどから他にはないような案件を保有しております。また、伴走型支援として、プラットフォームからの案件出し、各M&A業者などに対して企業の名刺をもって黒子として活動するサービスなども行っております。
ここまで、M&A買収案件をどのように集めていくのかということを中心に記載してきました。
次は、逆に自社の資金調達の一環として、買収価格の考え方を逆手にとった売却戦略について記載していきたいと思います。
買収価格の考え方を逆手にとった売却戦略について
今までの記載の中でどのような企業・業態・ブランドが買収企業が求めているのかということについて記載しました。
これを逆手にとって、自社の資金調達のためにも、そのような業態・ブランドを作りこみをしていき売却することによって資金調達するという手法です。特に外食経営者の中には非常に感性がよく、強い業態・ブランドをつくることが得意な経営者も多くいると思います。実際に私がお付き合いさせていただいております経営者の多くも、このように業態開発がすごく上手な経営者なども多くおります。
一方で大手など業態を広げていくことが得意な企業も多くあります。このような企業は、組織的になっていることもあり、なかなか尖った業態をつくることが苦手な企業も多くあります。
このように、業態開発が得意な企業と大手の企業をマッチングすることによってお互いの強みを活かしよりブランドを昇華していくことが可能となります。
その時の手法の一つとして事業譲渡を活用するというものが良いと思います。今まではライセンス供与やFC展開などもありましたが、組む相手が大手企業だとすると、自社にそのノウハウを取り込みたい(商標なども含めて)ということが強いので、ライセンスやFCへの加盟はハードルが高いものであります。一方で事業譲渡であれば、自社にノウハウを取り込めるので、大手などにとってもメリットが多くある提案となります。
この提案の価格や条件(譲渡金額や今後のコンサルティングフィーなど含め)などのバリューを高めて提案していくことで売却側にとっても良い提案となってきます。
このようにゼロイチを作ることが得意な企業とイチヒャクが得意な企業を繋がっていくなどということも今後さらに増えていくと思ってます。
一つの事例として、今年、GYROホールディングス(サブライムなど)傘下のパートナーズダイニングやパッションアンドクリエイトが運営する焼肉業態「牛8」事業を事業譲渡によって取得しております。
本日は、M&A案件収集の仕方や逆手に取った売却戦略についてみてきました。
次回最終として、外食経営者の事業承継についてみていきたいと思います。
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