外食M&A⑨ 適正な譲渡金額とは?

こんにちは。ユニコンの照井です。
前回は、はじめて外食M&Aをする際に心がけることを記載しました。
今回は、では買収などを検討した際に適正な譲渡金額とは?について
記載していきたいと思います。


株式価値や事業価値を算定するためには、色々な計算方法があります。教科書的には、このような色々な計算方法があり、またそれぞれがどのように計算すればよいのかが難しい気がします。
しかしながら、中堅・中小企業のM&Aで使われる計算方法というのが年買法という計算方法でこれは非常に単純な計算で算出することができます。
外食企業のM&Aにおいても広く活用されており、まずはこれで譲渡金額を決めることが多いです。では年買法とはどのような計算式かをみていきたいと思います。

上記のような計算式で算出することができます。
では、EBITDAとは計算式としては、税引後当期純利益から足し戻す等いくつかの求め方がありますが、実務上は『 営業利益+(減価)償却費 』にて計算されることが多く、筆者の経験則上、上場企業や大手監査法人が関与するような局面においても、こちらの計算方法を用いて特段問題となることはありません。ですので、償却前の利益に時価純資産を足すということがこの計算式になります。

このEBITDAに年数をかけることでのれんを計算します。コロナ前と現在ではこの年数に少し変化があり、やはりコロナ前は外食M&A全盛期ということもあり、今より高く売買することができました。また店舗数が多いほうが
時間を買うという意味でもまた、ブランドが確立しているという意味でも高くなります。
しかしながら、最近では「食べログの点数が高い」「ミシュランを獲得している」「創業から30年以上やっている」などを価値としてこの倍率をはるかに上回る金額で売買されることも多くあります。このあたりは、外食を専門としたM&A業者でないとなかなかわからないところかと思います。

では時価純資産って何?これは、決算書の資産と負債を時価に修正した場合どうなるかということです。例えば、不動産を保有している場合、現在の価値だとどのくらいの価値があるのかということをすべて時価に修正していくことで出していきます。

ただここで1点問題が起きます。コロナ禍によって、この数年のEBITDAの数字に異常値が出ているということです。
当然に、時短要請であったり、休業している期間があったりなどで、この数字というものに異常値が出ております。ではこのような時にどのように理論上のEBITDAを出せばよいでしょうか。買収側にとっても、何故この金額で買収するのかということを、銀行や株主などステークホルダーに説明する必要があるので大事な部分になります。
一つの解決策として当社では以下を目安として計算しております。

緊急事態宣言があけ、ある程度外食市場が戻ってきた(ただし第7波などもあり完全ではないですが)2022年8月と2022年11月の売上と2019年のコロナ前の同時期の数値を比較して理論上の1年の収益を出すというやりかたです。ここに、買収側にとっては不確実性が加わるので、90%をかけたりしながら、価格調整をしていくという価格の出し方になります。

ですので、売却を検討している企業様は、この直近の数値ということを非常に大事にしてほしいとも思います。

本日は、現在の適正な譲渡金額を記載していきました。
次回は、では実際に買収する際に取るべき手段について記載していきたいと思います。


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