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定一が旅立ったのは、やっぱりあの日だった

やっぱり、
この日だったのだと思います。
定一が、この世を去ったのは‥‥。
(EPISODE 038)

雨が降りしきる陰鬱な日、
客がひとりも居ない喫茶店の中で
定一がかけたのは、
『On the Sunny Side of the Street』

あの日、ジョーが居なかったのは、
教えてもらってるバンドの人と、
大阪に行ってたからだったんだ。

るいちゃんが行方不明となり、
日なたどころか、
雨でぐちゃぐちゃになった通りを
勇が、きぬの夫が、雪衣が、
るいを探し回る。

大阪から列車で帰って来た安子も、
赤い傘を差しながら、
やっと雉真家にたどり着く。

ここで、
『On the Sunny Side of the Street』
と歌うルイ・アームストロングの声が
静かに消える。

定一はきっと最期まで、
大好きな音楽を生んだ国によって
健一の命が奪われたことへの
言葉にできないわだかまりを
抱えたままのように見えたけれど、
最期に見た健一の幻で、
心が救われたのかもしれないです。

そして、雨の日に響いた
『On the Sunny Side of the Street』
の曲の終わりとともに、
安子が抱いていた夢が消えました。

でも、定一は、錠一郎を見て、
未来を感じていたと思います。
戦争孤児でありながら、
アメリカの音楽に、
純粋にのめり込める姿に、
戦争以前の自分を重ねながら。

『On the Sunny Side of the Street』
が流れる中で、
きぬちゃんは出産し、
雪衣にはつわりが‥‥。

残酷な明暗の分かれる場面で、
定一は、むしろ穏やかに旅立った、
そんな回だったのだと、
今日やっと分かったような
気がします。

定一さん、ありがとう。
るいに、ジョーを残してくれて。
(/ _ ; )

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