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楽器のケースを開けるモネと、大島の浦島伝説

幼い頃から、不思議で仕方なかった。なぜ「乙姫様」は、愛おしいはずの「浦島太郎」に、開けたら大変な事になる「玉手箱」なるものを渡したのかと。

小学校の高学年になって、初恋とかに目覚め始めた時も、気にかかって仕方なかった。自分の都合で相手を振るようなことがあったら、後で酷い目に遭うのではないかとか、いろいろ妄想した少年時代だった。

見守られながら、やっとケースを開ける

『おかえりモネ』でも、帰って来たモネに「東京で成功してるのに、何で帰って来たの?」と感じている登場人物は、何人もいた。その時に楽器ケースを開けていれば、「音楽を無心で楽しめた頃は良かったのに、今は最悪」みたいに感じていた、高校時代の自分に逆戻りだったのかもしれない。

綺麗な楽器と、あの日翌日のためのチラシ

そんな彼女が、りょーちんやみーちゃんの課題が解決した後に、やっとケースを開ける気になるのだけれど‥‥。

最後までモネを気遣うスーちゃん

心配して声をかけるスーちゃんに「自分は無力だって思う自分に戻ってたまるか!」と微笑みながら答える。そして「おかえり、モネ!」

みーちゃんのことも気にしながら‥‥

この時、私の中で、何かが弾けたように感じた。長年、モヤモヤしていた「玉手箱」のことが。異なる時空にいた者が、元の世界に戻る時、やらないといけない通過儀礼というか装置というか、それが「玉手箱」だったんだと。浦島太郎は結果的におじいさんになったけれど、おじいさんに「戻った」訳じゃなく、初めておじいさんに「なった」だけなのだと。

こっちの時空は、とにかく「今」になった。じゃ、モネにとって龍宮城とは、気仙沼を離れていた登米と東京。その両方に関わるのが菅波先生。なるほど、東京とは、時空がズレちゃってたか。

あなたと私は、違う時空に生きているのか?

この2年半は、モネにとっては一瞬のように描かれている。大島こそ、今のモネには「龍宮城」そのものなのかもしれない。菅波先生が、ヘトヘトになってやって来た。菅波先生は、今度この島から出たら、浦島太郎みたいになるのかなぁとか、少しアホなことまで想像した。

因みに、大島に伝わる浦島伝説は、こうだ。

昔々、龍舞崎で毎日漁に精を出す若者と、小舟で流れ着いた美しい姫が出会い、恋に落ち、この洞窟で末永く幸せに暮らした。

な〜んだ! ふたりは、いつまでも幸せなんだ‼️
私の住む香川県の浦島太郎は、悲惨なのに‥‥。

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