第5回「2021年 作新学院高校 硬式野球部の紹介」
<はじめに>
2021年夏、作新学院が10大会連続で甲子園出場を決めました。全国の高校野球ファンは「さすが作新学院、毎年夏は仕上げてくるな」と評価してくれますが、全国レベルとしてチームの戦力を見た時の評価はそれほど高くなく、選手個々も全国的な地名度は高くないため、詳細な戦力分析を出来る人は少ないと思います。
作新学院野球部の公式戦や練習などずっと見続けてきた私が今年のチームやメンバーを簡単に紹介しますので、選手個々を知った上で作新学院の試合を見てくれると幸いです。
<選手権実績>
夏出場回数:15回
通算:27勝13敗
優勝:2回(1962年、2016年)
準優勝:0回
ベスト4: 2回(1958年、2011年)
ベスト8:2回(2012年、2019年)
<第103回選手権 県大会結果>
2回戦:栃木 8-2
3回戦:小山 3-2
準々決勝:那須拓陽 10-0 ※6回コールド
準決勝:宇都宮短大付属 6-1
決勝:佐野日大 3-2
<チーム 総評>
今年は特に目立つ選手やドラフト候補と呼ばれる選手がなく、日替わりでヒーローが登場して勝ち上がったチームです。個人の能力で勝つというより、チーム力として勝ってきており、特に背番号二桁選手の平塚や池澤、戎、佐藤、林はチームを救う活躍をしました。
投手力では、夏の大会前にエース井上のケガがありましたが、佐藤や林が安定度を増して、それをカバーしました。打撃力では4番小口の不調が誤算でしたが、池澤の復活などでカバーしました。
ケガや不調の穴があっても、前述のように控え選手がカバー出来た事が大きいです。
また、小針監督の采配も冴え、代打起用、投手交代など、ことごとく良い方向に行きました。
<戦力パラメータ>
ミート力:6
長打力:4
小技力:7
走力:8
守備力:7
投手力:6
選手層:6
※私の主観ですが、チームの特徴を分かりやすく、各項目10点満点で数値化しました。
<基本オーダー>
1 中 田代健介 打率.350 0HR 0打点
2 遊 高久雄吾 打率.368 0HR 0打点
3 三 大房健斗 打率.304 0HR 3打点
4 一 池澤皓平 打率.333 0HR 4打点
5 左 平塚恵叶 打率.429 0HR 5打点
6 右 相原一真 打率.389 0HR 3打点
7 遊 相場秀三 打率.389 0HR 6打点
8 捕 渡邊翔偉 打率.353 1HR 3打点
9 投 佐藤優成 4試合登板 19回 5失点 17奪三振
<選手紹介>
※成績は夏の県大会の成績
① 井上力斗 3年 投手 左投左打 180cm 82kg
1試合登板 2回 1失点 防御率4.50 0奪三振
2年生からエースを努める左腕。最速135Kからチェンジアップ、スライダーを駆使し、打者を打ち取る技巧派投手です。夏の大会前に足を捻挫して故障していましたが、大会中に復帰できました。課題は突然四球を出し、ランナーをためるところです。投手でありながら、打撃は良く、スイングの形が良いです。
② 渡邊翔偉 3年 捕手 右投右打 176cm 75kg
5試合 17打数 6安打 打率.353 1HR 3打点
扇の要。配球はよく考えており、ピッチャーを引っ張っていきます。キャッチャーの壁性能が課題でしたが、それも向上が見られます。打撃は、下位の打者ながら意外なパンチ力も備えます。
③ 小口莉央 3年 一塁手、三塁手、左翼手 右投右打 183cm 90kg
3試合 3打数 0安打 打率.000 0打点
チーム1の巨体パワーヒッターです。ホームランもチームで1番多く放っています。打球速度が速く、長打を量産します。守備は苦手のようで、作新の一塁手にしては珍しく、ファーストミットを使います。
④ 高久雄吾 3年 二塁手、遊撃手 右投右打 170cm 65kg
5試合 19打数 7安打 打率.368 0打点
小技が出来る2番打者です。監督の指示に応える器用な打撃を見せます。守備では、セカンドの守備は安定していますが、ショートの守備はやや不安があります。
⑤ 大房健斗 3年 三塁手 右投左打 173cm 76kg
5試合 23打数 7安打 打率.304 3打点
ヒットを量産でき、長打も打て、最も信頼できる打者です。強豪校との練習試合でサヨナラホームランを打つなど、ここぞの場面で決めてくれます。サードの守備も良く、球際に強いです。
⑥ 相場秀三 3年 遊撃手、投手 右投右打 175cm 72kg
1試合登板 1回 0失点 防御率0.00 2奪三振
5試合 18打数 7安打 打率.389 6打点
走攻守投、全てでチームトップクラスの水準にあり、センスの塊の選手です。足が速く、ショートの守備は抜群の上手さを誇ります。最近は投手としても起用され始め、最速138キロのストレートはノビが素晴らしいです。高い空振り率で三振も取れます。
⑦ 鈴木陽登 3年 左翼手 右投右打 181cm 78kg
5試合 3打数 0安打 打率.000 0打点
強打が魅力の選手です。確実性がやや低いものの、長打力は魅力で、時折ホームランを打ちます。最近は守備も上手くなってきており、好守を度々見せます。兄は早稲田大の萌斗です。
⑧ 田代健介 3年主将 中堅手、投手 左投左打 168cm 68kg
5試合 20打数 7安打 打率.350 0打点
キャプテン。足が速く、チームのリードオフマンです。センターの守備範囲も広く、左中間や右中間に抜けそうな打球を何度も好捕して、チームを救ってきました。夏の大会では足の調子を悪くしており、心配な所です。
⑨ 相原一真 3年 右翼手、中堅手、投手 左投左打 173cm 73kg
5試合 18打数 7安打 打率.389 3打点
強肩の外野手で、安定した守備力が売りの選手です。打撃は6番を任されるように、信頼も厚いです。緊急時には投手として登板します。
⑩ 佐藤優成 3年 投手 右投右打 174cm 80kg
4試合登板 19回 5失点 防御率0.47 17奪三振
栃木県内No.1のストレートスピードを誇る投手です(最速143キロ)。速いストレートでグイグイと打者を押していきます。ただし、コントロールに不安があり、四球が多い事が欠点です。また、フィールディングに不安があります。
⑪ 林拓希 3年 投手 右投右打 170cm 73kg
5試合登板 20回 1失点 防御率0.45 10奪三振
軟投派の投手です。ストレートは常時130キロ前後と速くはないものの、兄譲りのカットボールはストレートと同じ軌道で曲がっていく為、見分けが困難であり、打者を翻弄していきます。テンポも良いです。大崩れすることなく、投手陣では1番安定しています。
⑫ 濱口陽介 3年 捕手 右投右打 174cm 73kg
試合出場無し
作新のブルペンを支える捕手です。春はベンチ外でしたが、夏にベンチ入りしました。
⑬ 池澤皓平 3年 一塁手、二塁手、右翼手 右投右打 175cm 82kg
5試合 15打数 5安打 打率.333 4打点
夏の県大会は4番を務めた強打の選手です。引っ張って長打を打ったり、状況に応じて流してチャンスを拡大したり、器用な打撃をします。元々は中軸バッターのレギュラーでしたが、足の故障などがあり、リハビリをしていましが、復活しました。
⑭ 守谷龍成 3年 二塁手、三塁手 右投右打 172cm 72kg
試合出場無し
内野ならどこでも守れるオールラウンダーで、代走も出来ます。サードコーチャーとしての判断力も優れます。
⑮ 柳田泰雅 3年 二塁手、遊撃手 右投右打 170cm 72kg
2試合 0打数 0安打 打率- 0打点
副キャプテン。熱い男で、ベンチからナインに送る声援は誰よりも大きいです。強肩の選手であり、二遊間も無難に守れます。
⑯ 平塚恵叶 3年 左翼手 右投左打 170cm 73kg
5試合 14打数 6安打 打率.429 5打点
気迫あふれる野手です。ネクストバッターズサークルで腕立て伏せをする事が彼のルーチンワークで特徴的です。5番打者として、ヒットを量産し、打点を多く稼ぎます。
⑰ 戎響葵 3年 左翼手 右投左打 170cm 74kg
3試合 3打数 3安打 打率1.000 1HR 3打点
代打の切り札。気迫溢れる、努力の男です。おそらく打率5割を超えているであろう代打打率で、そのほとんどが長打という素晴らしい打者です。練習試合でもほぼ守備につかず、打撃だけで活躍してます。
⑱ 片山祐 3年 右翼手 右投右打 172cm 72kg
2試合 3打数 0安打 打率.000 0打点
俊足で守備が上手い選手で、春の関東大会は1番打者を務めました。しかし、関東大会以降、極度の打撃不調になり、一旦は甲子園メンバー外になりましたが、直前で寺内選手と入れ替わりで登録されました。
<各ランキングTOP3>
・打率
1位 平塚 .429
2位 高久、相原 .389
・打点
1位 相場 6
2位 平塚 5
3位 池澤 4
・盗塁
1位 平塚 3
2位 渡邊、相場、田代、相原 1
<おわりに>
以上が簡単ではありますが、作新学院のチーム紹介になります。甲子園の初戦は大会6日目の高松商戦です。私も学校関係者として、甲子園へ応援に駆け付けます。
私はこれからも作新学院を応援していきますので、このnoteのように、作新学院野球部を皆さんに紹介していきたいと思います。
甲子園で優勝が出来ましたら、その報告noteを書こうと思います。
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