観劇日記【14歳の国】
ヒーローショーもやるアクションバリバリなのにお笑い芸人のようなわんわんズ。
舞台では必ず脱ぐ、パンイチどころか…というゴマに。
この二つのユニットがコラボして何を演じるのかと思ったら予想の斜め上の作品だった。
はさみ舞台、教室の前後に客席がある。
決して一方向を見ているとは言えない五人の教師。生徒のいない教室で抜き打ちの持ち物検査をする五人。後ろめたい気持ちを紛らわすようにつぶやく言葉は、場にそぐわず観客の笑いを誘う。けれど周りの登場人物をイラつかせていく。観客はちょっとヒヤリとして心がザラリとする。
それぞれがお互いに対して劣等感があり、かつ、お互いを嘲笑しているような教師たち。尊敬も信頼もない。年齢差と肩書で保っている関係。心の奥底に蓋をする。黒い思いを閉じ込める。それが「殺意」と気づかずに。
抑えた暗い目をした演技に引き込まれ、見終えて肩に力が入っていたことがわかる。走り回らなくともエネルギーを使う、感情労働の演技。彼らが「ちんもくん」と呼んでいた沈黙「間」。
脚本の言葉そのものが既に持つ力をどう伝えるのか。舞台は生、だからこそ、一回ごとに変わる空気感がある。見逃すのがもったいない今があると思った彼らの「14歳の国」だった。