Ⅰ-#5 シートの作成方法(1)
カリキュラム分析シートの全体構造
ではカリキュラム分析シートの全体構造を見てみましょう。
(シートの色は説明の便宜上つけたものです。)
表の上の方は形式知(言語化されている知)の傾向が強く、下に行くほど暗黙知(言語化されていない知)の度合いが強いものです。
また、表の左列から目標系列、内容系列、結果系列となっています。教育プログラムの「目標」、「内容」、「結果」それぞれについて、表面から深層まで一覧化することで、カリキュラムの全体像を俯瞰して見てみようというのがこのシートの特徴です。
シートは研修等で複数人でやる場合でも、個別にシートを作成して持ち寄るか、付箋紙に書いて後で集約するなど、まずは個別に記入してみるのが原則です。
前々回説明したように、同じプログラムを実施しても一人一人感じ方や考え方が違う、という点こそが、カリキュラム改善のヒントになるからです。
シートの記入方法(Ⅰ.目標系列)
では具体的にどんことを記入するのか説明していきます。
中学校の職業体験を例にとって解説してみることにします。
まずは目標系列です。
「ⅰ―a 明示的目標」です。これは単元計画等に記載の目標をそのまま転記すればOKです。
けれども大抵は、書かれてはいないけど、これは皆意識している、という目標もあるものです。
これは
「ⅰ―b 明示されてはないが教員間で共通理解されている目標」
に記載しましょう。例えばこの例では
目上の人に接する時の敬語の使い方やエチケットを学ぶ
将来希望する職業を見つける進学への動機づけにする
等が考えられます。
さらに他の教員は考えていないかも知れないけれど、自分は意識しているものがあってもおかしくはありません。
それが「ⅰ-c 個人的に考えている目標」です。例えば・・・
あまりやりたくないことでも、がまんして行う習慣を身につけさせたい
仕事をして感謝をされるという体験は、生徒の人間的成長には不可欠
不登校状態にある生徒でも、学校外の活動なら参加しやすいかもしれない
といったことを考えている先生がいるかも知れません。
(次回につづく)