シリーズB投資家対談 Vol.5 | 西華産業 渡邊様×Terra Drone 執行役員 神取「日本のインフラ点検に革命をもたらす、UTドローンとは?」
この度、3月23日にTerra Drone株式会社は、シリーズBで総額80億円(注)の調達を発表いたしました。今回調達した資金を活用し、安全で効率的な空の移動を支える「空のプラットフォーム」UTM技術の開発、各事業成長資金、本活動を実現するための採用活動への投資を行います。
今回は、三菱系の機械総合商社で、80年の歴史を持つ西華産業株式会社 渡邊様とTerra Drone 神取より、同社との協働の背景と、国内で2025年にかけて2021年399億円から、1715億円と約4倍に成長し、最大の市場になる「ドローン点検」領域についてお話いただきました。
<登壇者 >
□渡邊悟 様(西華産業株主会社 電子・計測機器部 第一課 主任)
□神取弘太(Terra Drone株式会社 執行役員 兼 日本統括責任者)
1.弊社と出会ったきっかけ
質問)渡邊様と弊社が出会ったきっかけを教えてください。
渡邊様)
まず貴社を知ったきっかけは、2020年12月に、ある業界新聞で、UTドローンに関する記事を見たことです。UTとは、Ultrasonic Testingの略で、日本語に訳すと超音波検査となります。つまり、UTドローンとは、超音波検査用ドローンであり、今回の協業のきっかけとなるドローンです。
その記事を拝見した際、我々のお客様に紹介できる商材だなと思い、私から神取様にご連絡したのが、御社と出会ったきっかけです。当時Terra Drone社は、オランダにある子会社Terra Inspectioneering社(本社オランダ)でのUTドローン事業を日本に展開しようとしていた時期でしたので、双方のタイミングがマッチしたのは幸運だったと思います。
その後2021年3月ごろから、我々のお客様100名ほどにWEBセミナーを開催させていただきました。その際、UTドローンが商材として高評価をいただき、そこから実証実験含む案件をいただけるようになりました。当時からお客様の課題やニーズの特定からソリューションの提案まで、非常にスピーディに実行頂ける印象です。
2.業界の課題
質問)貴社のお客様にはどのような課題があるのでしょうか?
渡邊様)
現在経済産業省は、官民一体となって新技術を活用しながら産業保安に取り組む「スマート保安」を推進しています。日本の産業インフラは、建設当初から50年以上経つものが大半であり、老朽化が進んでいます。一方、少子高齢化に伴い労働人口が減少しているため、テクノロジーを使いながら効率よく点検・修繕に取り組む必要があるため、UTドローンに興味を持っていただいている状況です。
3.点検ドローン参入のきっかけ
質問)なぜTerra Drone社はUTドローン事業に参入したのでしょうか?
神取)
我々Terra Droneは、技術進歩が速い海外企業に目をつけて投資し、日本に展開するビジネスモデルで事業開発を進めてきました。そんな中、2019年頃にドローンを用いた超音波検査事業を展開していたRoNik Inspectioneering(本社オランダ)という会社に出資しました(現在は完全子会社化しております)。同社はヨーロッパで大手石油メジャーや総合化学メーカーのプラント点検を請け負っていた実績があり、日本でも展開できる可能性が見えたのがきっかけです。
そもそもUTは、発電所やプラントにあるタンクや煙突、焼却炉のボイラーの板厚を超音波で検査することで、減肉具合を測定し、さらなる詳細検査や設備更新などが必要かどうかの判断を可能にします。渡邊様もおっしゃってましたが、日本におけるインフラ設備は老朽化が進んでおり、点検業務が必須になることから、UT自体のニーズは既に見込まれる状況でした。
また、この検査にドローンを活用することで、高所での作業に必要とされていた仮設足場の組み立てや撤去にかかる時間を削減、更には検査期間が40〜60%短縮されます。したがって、人件費の削減、検査中の施設稼働停止による損失の削減が実現可能であり、解決できる業界ペインも大きいと考えました。
質問)弊社に対する最初の印象を教えていただけますか?
渡邊様)
皆さんからは、仕事に対する圧倒的熱量を感じました。同社の目線の高さや心構えに私自身深く共感しましたし、私もそれほど強いコミットメントの思いを持って取り組んでおりましたので、そこがマッチしたのが協業のきっかけとして大きいです。
4.出資の背景
質問)出資の背景はどんなものでしょうか?
渡邊様)
出資に関しては、昨年の8月くらいから検討しておりました。検討の背景としては、我々の既存ビジネスにおいて、UTドローンのような新しいテクノロジーを使ってサービスの幅を広げることは、新事業の開拓・拡大を実現し、当社の成長戦略における既存事業の進化にも繋がると考えたからです。
加えて、我々は国内に19か所の拠点を持つのですが、各所でのお客様との密接な関係が会社を支えています。そうした営業の最前線でのやりがいというのは、お客様への貢献度に大きく比例していて、サービスの進化を通じてお客様により貢献できる環境を作ることは、各担当者のモチベーションを上げることにも繋がります。つまりUTドローンの導入というのは、事業面でも組織面でもメリットが大きいと考えられたので、出資も検討させていただきました。
神取)
我々としては、プロダクト開発の過程で、実際のプラントや工場における実証実験は欠かせません。西華産業様は、それらを保有する企業様と深い関係を築いておられる国内有数の機械商社さんですので、我々にとっては非常に貴重な存在です。また、同社ほどの大企業で、リスクをとってチャレンジしていくモチベーションをお持ちである会社さんは多くないと私自身考えていました。しかし、代表の櫻井様や渡邊様をはじめとして、非常に高い視座を持ってお仕事されているのをみて、事業としてのシナジーはもちろん、株主という形でもいい関係性を築いていけると思い、弊社からお声掛けさせていただきました。
5.UTドローンの現在地と可能性
質問)UTドローンにどんな可能性があると思いますか?
渡邊様)
やはり煙突等の高所における点検が大きく価値が発揮されると思います。そこで実案件を獲得していきたいと思ってます。あとは、タンクの内部には少なからず有害物質が含まれているケースがあります。そこをドローンを使って無人で点検できるようになれば、安全面も改善できる可能性がありますね。あとは発電所等にあるボイラーの点検にも応用可能ですので、それらの点検フローでもコスト削減を実現できると思います。
この可能性を時間軸的にお話しすると、先ほどのスマート保安の社会実装が本格化するのが、2025年以降なんですね。つまりあと3年ほどで実装するために、今は実証実験を繰り返しながら開発をとにかく進めていく段階です。
質問)POC含めて、今どのくらいの案件をやられているのでしょうか?
渡邊様)
用途とアプリケーションによって段階は異なりますね。
まだ実案件化できていない分野としては、法定点検で定められている定点測定が少し難しい状況です。具体的に話すと現状のUTドローンは、タンクや煙突等の点検対象物に、定点としての目印のようなものがあれば、そこにドローンを飛ばして簡単に測定できます。ただ、実情としては目印が無い対象物も多いです。したがって、どのようなアプリケーションを開発すれば、一貫したソリューションで点検できるのかを現時点では模索しています。
逆に案件化しているものとしては、設備更新時に必要な点検案件です。設備更新が必要かどうか検討する際には、定点測定ではなく、対象物全体をまんべんなく測定します。そうしたケースでは、既にUTドローンで測定している状況です。
6.出資の期待
質問)今回の出資を通じて、どのような期待をお持ちでしょうか?
渡邊様)
我々としては、100年という長い歴史の中で関係を築いてきたお客様の課題を解決していきたいと考える中で、ドローンソリューションはこれまでに無い画期的なサービスとなる可能性を秘めています。この可能性を実現するために、我々とTerra Drone社が一体となってお客様の課題やニーズを特定し、御社にプロダクト開発を進めていただくことを期待しています。また、御社は海外でも実績を積んでいらっしゃいますから、海外で得た知見も共有頂くことでよりよいサービス提供が可能になるでしょう。
今回はUTドローンにおいての協業という形ではございますが、正直ドローンの可能性はUTドローン以上のものであるのは間違いないのです。今回の出資をきっかけに、ドローンサービスをどんどん活用していきながら、お客様を一層ご支援していきたいと考えています。
神取)
今回出資いただいた西華産業様のご恩に報いるためには、よりよいプロダクトを作って事業面で成長するだけでなく、スタートアップ企業としても成長することが重要です。一方、これからドローン市場が拡大する中で、競合となる企業様もどんどん生まれてくるでしょう。そんな中でドローン業界のトップとなるためには、どうしても西華産業様のご協力が必要です。同社と引き続き綿密に連携しながら顧客ニーズを正確に把握し、必要な機能を必要な分だけ追加していくスタイルによって、圧倒的なスピードで事業開発を進め、事業も企業も成長させるべく邁進してまいります。
UTドローンという、中々聞きなれないプロダクトについてお話いただきました。下記の記事では、UTドローンについてより詳しく紹介しておりますので、ぜひご一読ください!お二人ともありがとうございました!
■「シリーズB80億円調達で投資家から注目を浴びる、点検事業とは?」
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