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ガウディとサグラダ・ファミリア展、鳩と糸杉と名言集

アントニ・ガウディ(Antoni Gaudí i Cornet 1852- 1926) にさして強い興味があったわけではないのですが、現在関わっている、そして今後増えていくプロジェクトで建築関係のウェートが大きくなることもあり、また一般教養だろうとも思い、観ておくことにした展示です。

一見奇怪で独創的な創造物を支えているのは実は自然に倣った方法なのですが、展示されていた説明の言葉を借りれば、「自然界から学んだ厳格な幾何学と、オーガニックな形の共存」という、興奮させられるコラボレーションでした。(ちょっとぞくっとする、有機的なラインで縦に引き伸びたあの屋根が、錘をつけて垂れ下がった曲線をひっくり返したものだなんてどうしたら想像できるでしょうか)

そして、展示内あちこちに散りばめられたガウディの、真ん中をつく言葉たちは、私の人生に真理のヒントをくれるものでした。
ひとつ挙げれば、
「人は創造しない。人は発見し、その発見から出発する」というセンス。

私の仕事でいえば…ブランディングという仕事させていただく時、ロゴにしろタグラインにしろ、店舗開発にしろ、その方向性を左右するコンセプトの策定からすべては始まるのですが
ひたすらヒアリングやリサーチを行い、その中からエッセンスを抽出し、言葉にし、それがヴィジュアルを生んでいく、という過程をたどります。
このプロセスで私がゼロから創るものなどなにもないと常々感じていたこと、まさにこの一言で、その裏付けをもらえたと感じました。

サグラダ・ファミリアについていえば、まずここは「教会」なのだということを、あたりまえなのですが--- 改めて意識しました。その前身は、献金で進められてきた「貧者の教会」であることは、今回初めて知ることに。
教会の「4つの正面」それぞれにテーマがあり、彫刻のスタイルもまるで違うこと。統一性ではなく各々に最適な様式をつかって魅せること…には、つい統一感ばかり求めてしまう自身の癖を、さらりと指摘された気持ちにもなりました。
これだけ巨大でいくつもの物語を内包する建造物の中ではほんの小さな一部なのですが、もっとも有名な「降臨の正面(東)」に見られる、鳩の集まった糸杉には心潤いました。糸杉といえばまずゴッホに描かれた波打つ線を思い浮かべますが、ここでの糸杉は鳩の助けもあってか(?)非常に平和で、癒しすら感じるものでした。

今回は展覧会というよりも資料集のインスタレーションでも体験している気分でしたが、ひとつひとつの説明は非常に興味深く、また図録を持ち帰ってしまうことになりました。
ところで、建築家の描いた「絵」というのは、それが芸術を目的としていないからこそ、純粋な意味で美しいもの、です。

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Erico TERADA
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