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足元下落基調にある銀相場反転の条件!

ドル高にもかかわらず、底堅さを維持してきた銀相場であるが、足元下落基調にある。しかしながら、過去の銀相場には、思わぬアノマリー(理論や法則からは合理的に説明できない事象)があることがわかっている。その背景と銀相場の行方を探ってみた。


1.銀相場のアノマリー

過去3年の銀相場の値動きを見ると、図表1の通り、9月が底値で、翌年第1四半期には、戻り高値を付けるアノマリーがあることが判明している。具体的な理由付けは難しいが、米国株式市場では、9月の年度末決算に向けて、利益確定売りが出やすく、米国の株式市場が下落しやすくなりがちであることは過去の例からも明らかであることから、金銀などの貴金属が「質への逃避資産」として選好される傾向にあることが考えられる。
その意味で、現在の下落が来年に向けての押し目買いの好機となる可能性がある。特に、今年は、米国の金融引き締めを受け、個人消費に陰りが見られることに加え、全米自動車労働組合のストライキ長期化への懸念や、過去に免除された学生ローン返済再開など景気を下押しする悪材料も出てきている。今後、米景気減速により、現在のドル高相場が来年に向けて、下落トレンドに入ると、ドル相場と逆相関の関係にある貴金属相場が反転上昇に向かう可能性は相応にあるものと推察される。

(図表1 銀相場中期チャート 右軸:単位 ドル Trading Viewからの引用)

2.銀相場の今後の需給予測

シルバー・インスティテュートによると、過去2年、銀の総需要が総供給を上回っているが、今年度以降も、太陽光パネルやEVシフトなどの脱炭素への世界的な取り組み強化により、銀需要の構造的拡大が予測されている一方、供給サイドは生産能力のボトルネックから需要に見合う供給が難しい状況が想定されている。こうした需給状況は、短期、中期両面で銀相場を下支えしていくことになろう。

3.銀相場の予測

図表2の通り、短期的には、銀相場は調整局面にある。しかしながら、長期的な需給のタイトさに鑑みるに、銀相場の中期トレンドは上向くことが想定されている。現在の銀相場が今年3月の安値である1トロイオンス20ドル近辺まで下がれば、来年初に向けての絶好の押し目買いポイントとなることも考えられ、注目していきたい。

(図表2 銀価格週次チャート 右軸:単位 ドル  Trading Viewからの引用)

前回の銀相場記事はこちら

20231003執筆 チーフストラテジスト 林 哲久



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