続騰するポーランドズロチの魅力!
今年に入り、対ユーロで上昇し続けるポーランドズロチは、対円でも、上昇を続け、2015年来の高値に接近している。ズロチ高の背景と今後の方向性を下記に検討してみた。(前回のポーランド特集はこちら)
1.ポーランドの金融政策
ポーランド中銀は、図表1の通り、先月まで10会合連続で、6.75%の政策金利を維持し、金融引き締め政策を採っている。その結果、インフレ率は、直近11%台まで低下してきてはいるものの、依然として2桁インフレが続いている。中銀は、年末には、利下げに転じたい意向を示してはいるもの、インフレ率の動向次第では、再利上げの余地も残している。
2.ユーロ/ポーランドズロチ相場の現状
今年に入り、ポーランドズロチは、図表2の通り、対ユーロで上昇を続けている。ECBも今年に入り、金融引き締めを継続しているが、直近のユーロ圏の政策金利は4%に留まっており、依然としてポーランドの6.75%とは金利差が大きく、また、図表3の通り、ポーランドが経常黒字を維持していることも、ポーランドズロチの上昇を後押ししている。
3.ポーランドの信用格付け状況
ポーランドは、1996年以降、BBB以上の格付けを有しており、新興国の中でも数少ない投資適格国である。この状況は、今後も、安定的にポーランドへの資金流入が続くことを想起させ、欧州における健全な新興国の位置付けを確固たるものにしている。
4.ポーランドのリスクファクター
ウクライナ侵攻以降、ポーランドは、ウクライナからの難民の最大の受け入れ国である。人道支援に係わる財政負担が、ポーランドの財政赤字を今後膨らませる可能性があり、戦争の長期化はポーランドのインフレ鎮静化を遅らせるリスクには注意が必要である。
5.ポーランドズロチ/円のチャート分析による予測
現在のポーランドズロチは、図表4の通り、2015年以来の35円台に乗せており、36円の前回高値を抜けると、リーマンショック前の50円台まで大きな抵抗線は見当たらず、現在のポーランドの高金利政策が維持される限り、当面高値模索が続くものと予測する。
前回の記事はこちら
20230719 チーフストラテジスト 林 哲久