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【エマージング探求】 メキシコペソの魅力に迫る!

今年エマージング国の中で、最もパフォーマンスの高いメキシコペソの現状と課題に迫ってみたい。

1. メキシコペソとメキシコ政策金利の推移


(ドルメキシコの推移チャート)


(XE Currency チャートから引用)

   コロナショック後の2020年3月、一時1ドル25ペソ台まで急落したが、その後は、3年以上かけ、ほぼ一本長に、ペソ高が進み、現在は、コロナ前の水準を上回る1ドル17ペソ台まで、ペソ高が進んでいる。

(メキシコ円の推移チャート)


(XE Currency チャートから引用)

   メキシコペソ円については、2020年3月のコロナショック後に、4円台前半まで急落した後、現在は、昨今の円安も手伝い、8円近いところまで、急反騰、2015年以来の高値に迫る値動きとなっている。

(メキシコの政策金利推移)


(Trading Economicsから引用)

   足元の政策金利は、11.25%まで引き上げられる一方、インフレ率は、6%台前半まで低下しており、5%近い高い実質金利が、ペソ高を支えている。

2.安定した経常収支動向

(MQL5から引用)

   過去20年基本的に、経常収支の赤字傾向が続いているものの、平均すると毎年200億ドルを下回る水準に止まっている。特に、メキシコの特色としては、出稼ぎ労働者・移民などによる本国宛て送金(郷里送金)は、昨年585億ドルと過去最高を記録した。
米国の最低賃金引上げや雇用環境の安定で、移民が仕事を確保しやすい状況が背景にある。

3.メキシコの潜在力と課題

   米中対立の激化により、地政学リスクを回避する目的で、米国市場向け生産拠点を中国からメキシコに移す動きが強まることも予想される。
 一方、現行のメキシコ政権は、左派政党のため。国営企業を優先する保護主義政策をとっており、外資誘致強化のための政策転換が課題となる。
 但し、当面は、好調な米国の雇用環境を受け、米国からの郷里送金も、底堅く推移することが見込まれ、金利面、需給面で、メキシコペソが選好されやすい展開を予想する。



                    20230605執筆 為替アナリスト 林 哲久

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