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米国CHIPS法成立による巨額設備投資が、米ドルを押し上げる!

米国の半導体製造を強化するための法案「Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors for America Act 」が成立し、米国内での半導体製造強化や研究開発の補助金として計520億ドルを支給する内容となっている。

1.米国大手半導体企業が大規模設備投資計画を発表

インテル、マイクロン・テクノロジー、IBMなど大手半導体企業が、それぞれ200億ドルを上回る設備投資計画を発表しており、それに合わせ、数千人規模の採用計画も打ち出している。米国企業以外でも、台湾のTSMC、韓国のサムスン電子も相次ぎ、米国での新工場設立を打ち出しており、米国国内への新規投資が活発化している。

2.米国経済に与える甚大な影響

こうした積極的な設備投資は、国内の労働市場を更に逼迫化させるとともに、今後のGDPを押し上げる効果を持つ。こうしたバイデン政権による積極的な財政支出は、国内需要を高め、FRBによる金融引き締めを長期化させるだけでなく、想定される景気鈍化リスクを軽減させることになる。

3. 今後のドル相場の行方

昨年11月のCPIショック以降、ドルインデックㇲは、図表1の如く、下落局面に入ったが、ここに来て下げ渋っている状況が見てとれる。米国の失業者数が、500万人強に止まる一方、求人件数は、図表2の通り、1,000万件を超えており、有効求人倍率が2倍近い、いびつな雇用環境が続いており、賃金上昇率が高止まる中、米国のコアインフレ率が低下しにくい状況が生じている。少なくとも、年内利下げ観測は大きく後退し、代わりに追加利上げ観測が台頭したことで、ドル相場が落ちにくい状況が長期化する可能性がある。
特に、大規模金融緩和を継続する日本との金融政策の方向性の違いは鮮明であることから、ドル円相場は底固い地合いが継続しよう。

図表1 (ドルインデックス長期チャート   Trading Viewからの引用)
図表2 (米国求人件数推移チャート   Trading Economicsからの引用)

前回の記事はこちら
 
20230623執筆 為替アナリスト 林 哲久
 



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