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山本てら
2023年9月8日 09:13
雨音の近づくほどになにとなく足をゆるめて見やる来し方雨まじりの追ひ風ふはと背を押せば野分待たるる心地こそすれ
2023年9月4日 09:30
会はでいれば過ぎゆくものを目にしつつ口もひらけぬことぞ恨めし言の葉のゆきかふほどに帰るさの景色ゆらぎてやまぬ嘆きや
2023年7月16日 09:24
もう嫁に行ける年だね制服の下の御御足はつらつとして小姓かな声変はりそめし男子の道着に映ゆるながき睫や
2023年4月15日 09:35
都鳥あはれに聞こゆ梅若忌母を撫づる柳の影や梅若忌梅若忌川面にそよぐ南無の声幻も雨に泣くかな梅若忌塚ぬれて拭ふ人あり梅若忌*謡曲『隅田川』あらすじ行方不明になったひとり息子を探しに都からはるばる東国までたどり着いた狂女が、隅田川の渡し守から、向こう岸の柳の下で大勢の人が唱えている念仏は、ちょうど1年前に人買いに連れて来られ、長旅に病んでその場に見捨てられて亡くなった男の子を弔う
2022年12月8日 09:14
初めての電話に君は必要なことのみ言ひてのちは黙せり思ひしより高き声かなわが声は君の耳にはいかに聞こゆるしばらくは息づかひのみ行き交へり苦しきまでのしじまの密度人に呼ばれ「切ります」とのみ言ひおきて張りつめし糸をわれは断ちにき満ち足りて瞼を上げつ顔も知らぬ夢の恋人よありがたう
2022年11月17日 16:34
秋風の暖けくあれば寂しさの身に沁む隙は半ら閉づるかも日の差さぬ朽ちたる庭に舞ひおりし白き小鳥は影も残さず
2022年10月25日 20:20
木々の間に燃ゆる火を見て声を持たぬ俤人の肩にゐかかる
2022年10月23日 23:41
匂ひ立つ森のしめりに戯るは子をなす力みなぎる男子
2022年10月15日 16:21
運動会を忘るる夢は子の出番をふたつ見逃し半ば正夢思ひ入れはさしてなくとも数年に一度現るる町田駅南口の怪うつつにて夢かと思ひ夢にてはうつつと覚え命果つるかも
2022年10月11日 06:40
暁の赤きひかりに包まれて常盤木さへも秋をよそほふ
2022年10月6日 16:15
そこかしこ隔たりのなき都人伏し目がちにて身を守るかな
2022年10月4日 06:54
暁のカーテン越しにゆれる影 音無き風に秘められし声
2022年9月22日 16:36
時雨雨に問ふわが思ふ人の手元には折りたたみ傘はありやなしやと浮気な相合傘傘に問ふわが思ふ人の肩の上にわが面影はありやなしやと*本歌で遊んでみました↓
2022年9月19日 10:42
同じ風おなじ雨受くる君を思へば籠りの憂さもさつと晴るるよ