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短歌

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夢もうつつも一緒くた
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#古典がすき

【短歌】野分前夜2首

【短歌】野分前夜2首

雨音の近づくほどになにとなく足をゆるめて
見やる来し方

雨まじりの追ひ風ふはと背を押せば野分待たるる心地こそすれ

【短歌】いづれにしても2首

会はでいれば過ぎゆくものを目にしつつ口もひらけぬことぞ恨めし

言の葉のゆきかふほどに帰るさの景色ゆらぎてやまぬ嘆きや

【短歌】古典目線2首

【短歌】古典目線2首

もう嫁に行ける年だね制服の下の御御足はつらつとして

小姓かな声変はりそめし男子の道着に映ゆるながき睫や

【俳句】梅若忌5句+美少年1首

【俳句】梅若忌5句+美少年1首

都鳥あはれに聞こゆ梅若忌

母を撫づる柳の影や梅若忌

梅若忌川面にそよぐ南無の声

幻も雨に泣くかな梅若忌

塚ぬれて拭ふ人あり梅若忌

*謡曲『隅田川』あらすじ
行方不明になったひとり息子を探しに都からはるばる東国までたどり着いた狂女が、隅田川の渡し守から、向こう岸の柳の下で大勢の人が唱えている念仏は、ちょうど1年前に人買いに連れて来られ、長旅に病んでその場に見捨てられて亡くなった男の子を弔う

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【短歌】幸せな夢5首

【短歌】幸せな夢5首

初めての電話に君は必要なことのみ言ひてのちは黙せり

思ひしより高き声かなわが声は君の耳にはいかに聞こゆる

しばらくは息づかひのみ行き交へり苦しきまでのしじまの密度

人に呼ばれ「切ります」とのみ言ひおきて張りつめし糸をわれは断ちにき

満ち足りて瞼を上げつ顔も知らぬ夢の恋人よありがたう

【短歌】さびしき折節2首

【短歌】さびしき折節2首

秋風の暖けくあれば寂しさの身に沁む隙は半ら閉づるかも

日の差さぬ朽ちたる庭に舞ひおりし白き小鳥は影も残さず

【短歌】夢

【短歌】夢

運動会を忘るる夢は子の出番をふたつ見逃し半ば正夢

思ひ入れはさしてなくとも数年に一度現るる町田駅南口の怪

うつつにて夢かと思ひ夢にてはうつつと覚え命果つるかも

【短歌】雨2首

【短歌】雨2首

時雨
雨に問ふわが思ふ人の手元には折りたたみ傘はありやなしやと

浮気な相合傘
傘に問ふわが思ふ人の肩の上にわが面影はありやなしやと

*本歌で遊んでみました↓