「ハードコアであり続けることが、革新的」Brave Out 1stアルバム『World's Rot』インタビュー
7月に1stアルバム『World's Rot』をリリースした大阪ハードコア、Brave Outにテキストインタビューを実施。様々なスタイル/年代のハードコアに対する愛情や情熱を細部に渡って練り上げながら爆発させた今作は、早くも名盤の呼び声が高く、ユースクルーやオールドスクールといった枠を飛び越えてハードコアやパンクの可能性を拡張するような素晴らしい仕上がりに。そのアルバムの話を中心に、色々なトピックについて真摯かつ濃密に語っていただきました。
■アルバム購入
■Bandcamp
■各種サブスク配信
ー 曲を作る上でリズムが一番大事、リズムでどこまで遊べるか、そのうえで雑な部分は無いようにする。とにかく丁寧に作った ー
Q.まずはメンバーの自己紹介をお願いします。
吉:ボーカルの吉川です。
砂:ギターのTakasagorilla biscuitsです。
染:ベースのPaddi(染田)です。
秀:ドラムのひでたです。
Q.バンドの沿革(活動~リリースなど)を教えてください。
砂:2012年当時に、もっとファストなバンドをしていた吉川・Paddiを中心に『大阪でユースクルーバンドを始める』プロジェクトが発足し、当時ライブのお客さんだった僕や、以前のドラムが誘われる形でBrave Outは結成しました。
最初は今はなき、大正のスタジオ・フリーピープルで曲を作り、demo CDをリリースしました。そのあと2014年にdemo tape、2017年にGrowing Distance 7"をリリースしました。
そのタイミングで、Numbernineを一時脱退していたヒデタがドラムで加入して、2019年にAll InとFeel The Burnとの3way Splitをリリースしました。そして2022年『World’s Rot』のリリースに至ります。
Q.レーベル「FIRED STOMP」を紹介してください。
吉:最初は自分が始めたレーベルでしたが、今は高砂君が運営してくれています。Wrong State, Ilska, Only The Last Song, True Fight(※いずれも下記のBandcampにて試聴&データ購入可能)といった国内のバンドを、海外のレーベルのようなリリースペースで、しかもすべてアナログでリリースし、さらにレーベル主催のSHOWCASEもおこなっています。
■FIRED STOMP RECORDS
店舗:https://braveout.thebase.in/
Bandcamp:https://firedstomprecords.bandcamp.com/
Instagram:https://www.instagram.com/firedstomprecords/
そんなことをしているハードコアレーベルは国内ではFIRED STOMPだけなんじゃないですかね。高砂君の音楽に対する情熱と、精力的に行動する姿勢や精神力は本当にすごいと思います。
砂:単純にCDよりレコードが好きで、自分が出す音源はアナログとして後世に残したいです。FIRED STOMPから出すバンドは、ハードコアの中でもコアを突いていると思うので、そういったものを求めるリスナーが僕らに辿り着いたときに、満足してもらえるようなパッケージにしたくて。
Q.今回のアルバム、A面とB面で少し毛色の違う楽曲が入っているのは誰のアイデアだったのでしょう?着想を得たヒントになるような音源・その他などはありましたか?
吉:これは自分のアイデアなんですけど、なんとなくというか、自分の好みとしては片面に速い楽曲を固めて、B面にフックのある楽曲を固めたほうが良いかなと思ってです。あとはそういえば、Youth Of TodayもGorilla Biscuitsも、B面の1曲目がタイトルトラックだなって。
Q.今回のアルバムで、インスパイアされた音源やアーティストなど、ハードコアやパンク、音楽だけに限らずあれば教えてください。
吉:Inside Out(後のRage Against The machine)のザックデラロッチャ、True ColorsのPacko、Straight Aheadのトミーキャロルですかね。
砂:僕が作った曲、特に「Constant Rage」は、カルフォルニアのCoolsideの影響を受けました。このバンド、近年のバンドで最高にかっこいいのに、あまり注目されずに活動しなくなりました。曲の幅広さやリズム感、『World's Rot』もこんな作品にしたいなぁと思いました。
染: メロディあるベースラインが個人的に好きなので、そういったプレイのバンドを参考にしました。Dag Nasty / Warzone / Straight Ahead / No For An Answer / Rites of Spring とか。
秀: Underdog / The Vanishing Point
Undertow / At Both Ends
Mental / Planet Mental
Justice / Escapades
Lion Of Judah / Universal Peace
Fury / Failed Entertainment
Method Of Doubt / Accepting What We Know
Mil-Spec / Changes
主にこの辺は意識して聴いていました。
Q.発表後に即話題となった、アルバムタイトルでもある先行配信曲「WORLD'S ROT」はこれまでのBrave Outにない感触の楽曲でした。これはどういった経緯で作られた曲だったのでしょうか?
吉:アルバムなので、ミドルテンポの曲も作りたいと思いました。最初は、Youth Of TodayやMindsetみたいなのを作ろうとしましたが、良いのが出来なかったというかしっくりこなかったんですよ。作りたいのはこれじゃないなって。
そんなときスタジオで、ヒデタがこの曲のブレイクパートの案をもってきて、そのリフや展開がとても良かったので、このブレイクありきで曲を作り直したんです。
砂:ヒデタが持ってきたブレイクがモッシーな感じだったので、その前の展開もMentalやInside Outの影響が強い、グルーヴィーなものに仕上がりました。今までのBrave Outにはないスタイルだけど、非常にハマっていると思いました。
Q.前の質問にも繋がってきますが、いわゆるユースクルーやオールドスクールの前のめりなノリと、ミドルやローテンポなグルーヴィーなノリ、魅力を両立させるのは難しい部分だと思います。バンドとして目指したところなどはあるのでしょうか?
吉:バンドとして目指したところというのは特にないかもしれないです。それよりもイントロをどうするか?Bメロの歌乗せをどうするか?ブレイクとのつなぎ目をどうしたらいいか?パーツ単位で曲を作りました。とはいえ、ハードコアでより良い物を作るには、リズムを突き詰めるしかないというのは意識しましたね。結果としてグルーヴィーな部分も出来たのかもしれません。
曲を作る上でリズムが一番大事、リズムでどこまで遊べるか、そのうえで雑な部分は無いようにするというかという感じで、とにかく丁寧に作りました。微妙だなと思う箇所を微妙なままにしておかない、という意識はバンド内で強かったと思います。ハードコアって激しいし、テンション高くプレイすれば、雑に作っても何とかなるものではないと思うんですよね。丁寧さを突き詰めるしかないという意識が強かったと思います。
砂:昔に誰かが「ユースクルーは80年代ハードコアのミクスチャーだ」って言っていて、PUNK的なシンガロングがあったり、NYHC的な落としがあったり、DISCHORD的なEmoっぽさがあったり。一見ユースクルーって様式美の極みなんですが、視点を変えれば好きなハードコアの材料で、好き放題できるジャンルだと解釈しています。丁寧に曲を作る工程で、少しでもアイディアがあればメンバーと議論して、好きなハードコアのエッセンスは惜しみなく注ぎ込みました。つまり、ハードコア特濃スープです。
染:高砂が言うように、どの時代の"このユースクルー"という曲作りではなく、時間軸を広げハードコア要素を入れる事で自分たち独自のサウンド確立を考えましたね。
ー『World’s Rot』=「世の中の不条理・不遇」に対して、自分たちは何ができるか。声をあげたり、気にかけたりで自分の周りの境遇が変わってくる ー
Q.各種アートワークについて、誰が手掛けたものかを教えてください。
秀:アメリカのハードコアシーンで数多くのアートワークやマーチデザインを手がけるEkuluのボーカルのChris Wilsonにダメ元で頼んでみたら、曲を気に入ってくれたみたいで受けてくれました。Age Of Quarrel(Cro-Mags)× Handle With Care(Nuclear Assault)っていう僕のアイディアで、世の中の悪事が地球から湧き出ているイメージを提示しました。盤面ラベルは大阪のグラフィックデザイナーのKayaNanbaに依頼しました。ハードコアショウのフライヤーのデザインなどもやっています。
砂:ジャケ全体のレイアウトや歌詞カードは、YOYO-Tさんにお願いしました。あと、後ろの冴えない4人のジャケ写は、NumbernineのKai君に撮ってもらいました笑。Furyの裏ジャケみたいにライブ写真とか、ハードコアっぽくない感じを出したかったので、そのチョイスになりました。
Q.今作のサウンド面でこだわった部分を教えてください。
吉:個人的にこだわったのはキックの音量ですね。ヘヴィかつゴージャスな音にしたかったんです。だから、今回のアルバムは聴いた人によっては想像していたよりもヘヴィだなと感じたんじゃないかなと。
あとは、高砂くんのリードギターが音色の面でも凄く良い仕事をしてくれていると思いますね。アルバム全体を通して、飽きさせない聴きごたえのあるものに仕上がったと思いますね。
砂:僕ギターまじで下手なんですけど、フレーズ作ったりオマージュしたりする能力はあるのかなと思います。たとえば、Inside Outってギターのハーモニクスに空間系のエフェクトかけて、空気感出したりしているんですが、そういった一音一音を吟味してフレーズを考えました。あとは、エンジニアのアキラさん(Palm / LM Studio)が、僕らの要望に対して親身に対応してくれてので、ダイナミクスな仕上がりになったと思います。
染:あまりゴリゴリしすぎないベース音にしました。動いている部分もはっきりさせたかったので。
秀:ドラムのフレーズは最初変わったことやりすぎていたのを、メンバーに指摘されてから丁度いい塩梅になりました。どれも叩いていて気持ちがいいし、全国のドラマーが嫉妬するようなもの作れたかと思います笑。
Q.歌詞やメッセージについて教えてください。
吉:『World’s Rot』というアルバムタイトルから察してもらえると思うんですけど、世の中に対してキレているし、失望しているんですね。普段の生活で感じたことよりは、主に政治への憤り、フラストレーションです。
改めて読み返してみて、自分が書くリリックの特徴として、内に向かわないというか、一貫して外に向けられているんですよね。自分と向き合うみたいなものが一切ないんです。
これは『本当に戦うべきは自分自身とではない』と考えているからだとおもいます。この考えはRage Against The Machineの「Know Your Enemy」やHave Heartの「Watch Me Sink」のリリックからの影響です。それに加え、ぼくは『自己責任論』みたいな安易な弱者切り捨てのような考えに対して、自己矛盾を抱えつつも、アンタイなんです。
そういった考えを根幹に、今の政治や世の中に対する憤り、フラストレーションを率直に書いたのが今回のアルバムのリリックですね。
砂:1曲目の「Decide」は、コロナで職を失ってしまった物乞いの男性に出会った経験から作られた歌詞で、「Love is in our heart. Be kind with a positive state of mind」という歌いまわしが個人的に気に入っています。『World’s Rot』=「世の中の不条理・不遇」に対して、自分たちは何ができるか。声をあげたり、気にかけたりで自分の周りの境遇が変わってくるのかなと思います。
Q.Vo.Yoshikawa氏の歌いまわしや乗せ方は88ユースクルー的な影響を強く感じつつも、この2022年となると逆に新鮮に聴こえるところもあります。ボーカリストとして何か強く意識している点はありますか?
吉:単調にならないように、だけどシンプルであることを強く意識しました。あとは、メンバーからのアドバイスや要望になるべく応えれるようにしましたね。ボーカルだけプリプロを10回以上やったんですけど、それを聴いてもらって、ここはもっとこんな感じで歌ってほしい、といったやりとりで作っていきました。
参考にしたスタイルでいうと、Hard StanceのEric、Straight AheadのTommy、Chain Of StrengthのCurtたちを意識しました。それと出来るだけ流れで録音することを心掛けましたね。ほとんどの曲は一発テイクが基本になっています。
「Decide」は4回くらい丸々録り直しましたけど笑。
Q.主に英語詩を用いていますが、そこにこだわりなどはありますか?
吉:特にこだわりはないですが、音楽を聴くうえで最も慣れ親しんだボーカルが英語だからでしょうか。
英語は分かりませんが、英語で歌いたいと思いました。歌詞は全て僕が書いたんですけど、僕はあまり英語が分からないので歌詞の校閲や、よりかっこいい言い回しはヒデタが考えてくれました。
ー ハードコア特有の空気感や、ジンなどのコンテンツ、これからも大事にしたいし、僕らが発信していきたい ー
Q.これまでの印象に残っているライブについて、観たものと演奏したもの両方教えてください。
吉:観たものだと、初めて火影に遊びに行ったコンプリ(Completed Exposition)の企画。演奏したものだと、印象に残っているライブが沢山ありすぎて選びきれないですね。
染:観たものは、2008年Gorilla Biscuits初来日@大阪です。感動しすぎて死ぬかと思った。動画で見ていたようなマジもんのステージダイブがバンバン起こって、あー初めて『ハードコアのライブ』を体感したなーって。
演奏したものは、Brave Out pre. HARDCORE SHOW Aug.2013です。初めてBrave Outで大阪ライブしたときかな?今は無き、梅田スタジオKEYにて。真夏なのにクーラーぶっ壊れクッソ暑い中のライブは異常。けどDIY全開のローカルショーで最高やったな。
砂:梅田スタジオKEYは、Brave Outとしてまだ2回目のやったのに、めっちゃ盛り上がって、ライブ中見知らぬキッズがダイブしてスタジオの電球蹴り割って、演奏が一時中断したんです。で、そのキッズがコージローくん(Wrong State)との出会いでした笑。
観たものは、Hoaxの来日です。圧倒的な空気感と、ストンプな楽曲にやられました。モッシュしすぎて、War○eadのVoにキレられ殴られそうになり、終演後ダッシュで帰ったのも良い思い出です笑。
秀:BiohazardがZepp Osakaで客10人の前でバッチバチにかましていて感動しました。今考えたらDynamo festに出ていたときと全く変わらない、というかむしろそれ以上のパフォーマンスでした。
あとはマグマフェス2008ってイベントで、当時パンクが好きでNew York Dolls目当てで観に行っていましたけど、完全に引き込まれましたね。
自分が出た分で言うと、インドネシアツアーのジャカルタとバンドゥン、韓国ツアーのソウル、中国成都で開かれたCHINA HARDCORE FESTとアフターショウ、海外では初めてライブする場所とは思えないほど毎回盛り上がりました。特にインドネシアのバンドゥンのショウの光景は目に焼き付いて離れません。
砂:海外の経験は本当に忘れられないです。僕が書いた中国ツアー記、お時間あるとき読んでほしいです。
http://www.hiliberate.biz/?p=1889
Q.少し質問としては似ていますが、今のようなハードコアにハマるきっかけになったライブって覚えていますか?
吉:ユースクルーにハマったライブといえば、INSIDEやBYBO(BLOW YOUR BRAINS OUT)のボーカルをやっているKAI君が仙台時代にやっていたAnticipationと対バンしたときに、そのライブと楽曲のカッコよさ、ボーカルのステージングやフロ ーのカッコよさに喰らったんですね。そのときは自分はギターボーカルだったんですけど、俺もいつかピンボーカルでバンドやれたらいいなと思いました。実際にストレイトエッジの人を見たのもそのときが初めてでした。
そのときにKAI君と話をして、そういったLAST ONE STANDINGなどのサウンドのバンドがユースクルーというジャンルでくくられているということを知ったんです。
染:2005年冬やったかな…ZORI氏(現Cycosis / Violent Pigz / Man Against Man / X-V.I.D.E.O / COCK SUCK RECORDS)在籍のNow or Neverのライブ。自分のアングラ・パンクライブのデビューでした。雰囲気とか緊張感あったしなんか怖かったけど、すんごい衝撃受けたな。あぁ、こんな世界があるんやなと。当時は大学1年の若造で…海外のハードコアパンクが本気で好きな奴なんて日本に1人もいねぇ〜とか思っていた時期だったので笑、このライブで衝撃受けて"コレしかない!"と。
秀:日本のハードコアバンドを初めて見たのは多分それこそPaddiさんがやっていたGordon Ivy & The Jaybirds(以下ゴードン)を旧スタジオIKO IKO(最近までRed Hot Studioがあった場所)のスタジオギグで見ました。2008とかだったと思います。ゴリラビスケッツ初来日のときに無料で配布していたCDを見て知りました。あれからゴードンのドラマーのZoriさんとはCycosisを始め、ギターのPaddiさんは最近Brave Outで一緒。お世話になりまくっています。
ベースとして梅川さんがゴードンに加入した日のライブが印象的でした。ベースのヘッドを思いっきり頭にぶつけられ(故意ではないけど笑)帰り際にReductionのCDを急に渡してくれたのがファーストコンタクトで、あとは3年付き合っていた彼女と別れてめちゃめちゃ病んでたときに、どうやって番号知ったんか謎ですけどいきなり梅川さんから電話かかってきて、SNS以外繋がりないし大して話したこともないのに「ひでたー!おつかれー!」てめっちゃ励ましてくれたりしました。
以来、ネット上でくだらないビーフがあった後とかにも気にして電話くれて「〇〇さんはレジェンドやねん」「知らんがな!」みたいな感じでやり取りしていました笑。
なんだかんだで梅川さんの優しい言葉に毎回助けられています。最近の若手に対しても公平に接しているし、色々本人問題を抱えている中でも良くしてくれていて尊敬していますね。ゴードンが企画するギグではファンジンを配っていたり、マーチやCDをディストロしていたり、みんなハードコアが大好きなのがダイレクトに伝わってカルチャーショックでした。ずっとこんなシーンでやりたいと思いましたね。
砂:大学生のときに、メロコアキッズだった流れでRazors EdgeやSpunky(今となっては某超売れっ子デザイナー在籍)など、速いバンドのライブによくいっていました。いろいろイベントに行っていたんですが、僕もヒデタと同じでゴードンのイベントをみたとき、コレしかない!となりました。まさに少数の脅威、熱量あふれる空間でした。
梅川さんの話が出たので余談ですが、僕らがスタジオライブやったとき、「昔T.J.Maxxとかが大きいステージでやってる裏で、森之宮でスタジオライブをやって反抗してたんや。それを思い出した。」と当時のエピソードを教えてもらったのを思い出しました。
おんなじ感覚です。ハードコア特有の空気感や、ジンなどのコンテンツ、これからも大事にしたいし、僕らが発信していきたいです。
ー ハードコア含め音楽史上において最も革新的な瞬間は、Negative AprroachのReady To Fightが完成したときだと思う ー
Q.いま注目しているバンドやシーンなどあれば教えてください。
吉:自分が知りうる日本のハードコアバンドは情報が上がってくれば、すべてチェックはしていますね。そのなかでもTrue Fight、ハードコアじゃないけど、Hollow Suns。あとはDiktatorとTear Da Club Up、Recluseが気になっています。
海外だとバンドではEkulu, Combust, Fools Gameと、レーベルではCash Only RecordsとStreet Fight Recordsですかね。そのほかのレーベルもたまにチェックはしています。あとはまあ、新譜旧譜に関わらず聴いたことないのは少しづつですが、何かしら常に聴いていますね。
砂:ヨーロッパのシーンが再燃している感じがして、注目しています。ポーランドのレーベルYouth 2 Youth Records周りとか。ProteinやCareといったバンドがシーンを盛り上げていて、SwedenのSpeedwayがツアーしたときのショウの映像とか、理想的で素晴らしいです。
染:インドネシアのTotal Jerks。ライブかっこよかった。また見たい。
秀:カリフォルニアのWiseですね!Sound & Furyで二日目のトッパーやったんですけど、Triple Bから出たLPなんかは昨年のベストです。中にはアグノのCause For Alarmに入っていてもおかしくないような曲もあってもうモッシュ確定です笑。あとはSpy, Warfare, Life's Question, Age Of Apocalypse。
レーベルで言うとTriple Bは勿論、Daze, Flatspot, Streets Of Hate(主にfanzine?)なんか最高ですね。イチオシはCash Only Records、もはや古株だけどLockin' Outは今でもハズレがないです。
Q.少し聞こえの悪い質問に感じるかもしれませんが、ある意味Brave Outのようなクラシックなスタイルのハードコアは、革新性といったところとは距離を置いているようにも思いますが、その点はいかがでしょうか。
吉:正直考えたこともなかったです。僕たちの楽曲というのは全て自分たちの好きなものだけで構成されています。全て自分の外側から来たもの、つまり、既に存在していたものです。
これまで存在していなかった自分が作り出したリフもありますが、それらも自分が好きなバンドのリフの影響下にありますし。それに楽曲面でいうとハードコア含め音楽史上において最も革新的な瞬間は、Negative AprroachのReady To Fightが完成したときだと思うんです。
あれを超える革新は今後も出てこないと思っているんで、みんな思い思い伸び伸びと好きなように曲を作ればいいんじゃないかなと思います笑。
僕はハードコアの革新性は若者たちが本当に作りたいと思う曲を作って、その曲を収録したレコードを作り、それが小さなコミュニティを通して発展して、各地のコミュニティの力を借りてツアーする。興味深いのはそこには金銭的な報酬なんてものはないわけです。
『好きだから』
ただ、それだけで成り立っていたわけなんですよね。
ハードコアに限らずですが、好きなことを名誉や金銭的な見返りなくやるというのが最大の革新性だと思っています。
砂:昔オランダのCommitment recordsのオーナーのインタビューで、「(90年代後半のユースクルーリバイバルブーム批判に対し)ハードコアは一見革新性を欠いているとの見方もされる。しかしながら、ハードコアはそのジャンルにおける独創性は、他のジャンルとは一線を画す。つまりハードコアそのものが革新的なのだ」と答えていて、感銘を受けました。そのときから、ハードコアであり続けることが、革新的だと解釈しています。
Q.メンバーが別で所属しているバンドやレーベルの情報や活動、今後の予定などを教えてください。
砂:Wrong Stateは毎月ライブをやっていますし、新曲も作成中。Make It lastは秋に7’をリリース予定です。あと、FIRED STOMPでは8月にインドネシアのNo Excuseの音源をリリースしまして、さらに9/24のBlood Axe Festに間に合うように、Numbernineの新曲Promo Tapeをリリースする予定です。
染:ギターのサゴ、さらにヒデタと共にCycosisでドラムを叩くZori氏とやっているViolent Pigzはこの前7インチを発売しました。Zori氏とは別でMan Against Manをやっていて、この前Weightとスプリット7インチを発売しました。また、自分がボーカルであるJahanGiR.は近いうち、新曲をレコーディング予定。
秀:Numbernineは今年中にEP、Cycosisもぼちぼち次のレベルに持っていけそうな感じがしますが今も模索中です。
Brightside Bookingは去年の夏辺りからまた海外から招聘のオファーとか来ていますけど、現状が続いたら来年も厳しいですね…まあまあなレジェンドからも声がかかったりして焦りを隠せません!笑
取り敢えずは延期になったDead Heat!この話はまだ息が続いています。けど国内のバンドを集めてライブするのも最高ですね。2022は既に5本企画しています。また来てくださいね!
Q.最後になりますが、ライブ予定や今後の活動に関して教えてください。
砂:8/27に火影でFired Stomp Showcase大阪編があります。True FightとBrave Outのレコ発ですが、おそらく今後なかなか見れないであろう福岡のBroken Rustは絶対チェックしてほしいです。そして残念ながら直前でキャンセルにはなりましたが、関西・中部Straight Edge、Recluseの今後にも期待してください。あと9/10はTrue Fightのツアーファイナルにも出演し、10月以降も埼玉や東京、京都などでライブ予定があります。
あと、来年以降でまた海外行きたいですね。まずは盟友Set The Fire Recordsとの東南アジアツアー、そして未開のアメリカやヨーロッパにも行きたいです。ガツガツと本数こなすバンドではないですが、要所要所でインパクトある、濃い活動をしていきたいです。
■Brave Out
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