「私たちが居場所を探しているときに、ハードコアの音楽が私たちを見つけてくれた」No Rightインタビュー
おはようございます!こんにちは!こんばんは!
Erolin(Burning Sign, Nodaysoff, SMDcrew, Back Yard Zine & Records)です。
さぁいよいよ1ヶ月も切りまして近づいてきましたNo Rightのジャパンツアー、そしてSummer Bash Fest!
ということで下記のNo Right紹介記事を踏まえまして、今回はバンドに直接インタビューさせていただきました。
バンドを代表する形でVo.のSierra氏と、Gt.のCharles Toshio氏に答えてもらっています。
▼No Right紹介記事
今回のインタビューはNo Right側とのやりとりや和訳など含めて、今回の招聘役であるSand / Makoto氏筆頭に、Black Dots / Furious Records協力のもと実施しました。
質問項目は主に自分で考えつつ、周りの友人たちや本ツアー最初のキッカケにもなったPayback BoysのNGR氏からのリクエストなども加味したものです。
No Rightのメンバーはもちろん、関わっていただいた全ての方々に大感謝!
トピックはバンドの話からライフスタイルやスタンス、ハードコアと女性の話などなど掘り下げてみました。
では早速いってみましょう!
■曲の中で私は「依存」に対して「敵」のように話しかけています、「あなたにはその権利はない」と
Q1.まず最初に、自己紹介をお願いします。
Toshio(Gt.):私たちはカリフォルニア州ベイエリア出身のNo Rightです。Vo.のシエラ、Gt.のショーン、Ba.のホセ、Dr.のエイドリアン、そして私がGt.を担当しています。
Q2.No Rightの歴史や沿革を簡単に教えてください。
Toshio:シエラが私に曲のレコーディングを手伝ってほしいと頼んできたことからNo Rightは始まりました。
当初の目的は、シエラがメンバーを探すための曲を作ることだったんです。
私たちは数時間で最初の曲を作り録音しましたが、それがとても楽しかったので私がバンドに加入し、曲作りを始めることに決めました。
それからいくつかのメンバーチェンジがありましたが、その間にクールなライブをこなすことができ、多くの素敵な人たちと出会いました。
メンバーの変更でコロナ中にかなりの休暇をとりましたが、これからも音楽を続けることを楽しみにしています。
Q3.バンド名の由来と、その意味について教えてください。
Sierra(Vo.):バンド名は、Toshioと私がバンドのために最初の曲を書いていたときに決まりました。
曲のテーマは、私の子ども時代における母のドラッグ依存からくる痛みとトラウマで、その依存が私と母の関係を破壊したことについて。
曲の中で私は「依存」に対して「敵」のように話しかけています、「あなたにはその権利はない」と。
そのようなトラウマが1st EPの基盤となり、バンドとその曲に”No Right”と名付けました。
Q4.今回のジャパンツアーのオファーを受けることになった経緯を知りたいです。SandのMakoto氏とは連絡をとるような間柄だったのでしょうか?
Sierra:私たちはSandというバンドを以前から知っていました。MakotoさんもNo Rightのことを少し前から知ってくれていたとのことです。
今年、彼がジャパンツアーについての連絡を直接くれました。
日本のライブ映像は長年色々と見てきたので、そのオファーを受けてSandと一緒にライブができることや、日本各地の様々なバンドとライブできることにとても興奮しています。
Q5.これまでにリリースした作品について簡単に説明してください。
Toshio:最初の曲「No Right」をデモでリリースし、そのあと初のEP「Unjustified」をリリース。
しばらくライブをしたあと、「Senescence」をリリースしました。
その後すぐにLPの制作を始めましたが、コロナでどこのライブイベントもストップ。
その最中にTriple B Recordsの「America’s Hardcore Comp Vol5」に1曲を提供し、そのあと今年になってLPに収録予定のいくつかの曲を含む「Promo 2024」をリリースしました。
そのLPはTriple B Recordsからリリース予定です。
▼ Promo 2024 試聴
Q6.その今年リリースした「Promo 2024」でVision Of Disorderの”Suffer”をカバーした理由は?
Sierra:私は長年、ロングアイランドのハードコアバンドが大好きです。
V.O.D.は、そのエリアの他のバンドとともにハードコアを再定義しました。
グルーヴ感やボーカルスタイルが、初めて彼らのセルフタイトルアルバムを聞いたときから心に残っています。
Toshioと私は、そのアルバムのトラックをカバーするアイデアを長年考えていたのです。
カバーすることで、私たちをインスパイアしてくれたバンドと、シーンへのオマージュになると思いました。
リリースしたあと、V.O.D.のメンバーの一人からカバーについて称賛のメールが届き、さらにはバンドに対しての激励の言葉もいただいて大変嬉しかったです!
■女性の観客の割合も急激に大きく変わってきているので、ステージにもそれが反映されるべきだと思う
Q7.どのような音楽やアーティストに影響を受けていますか?
Sierra:私は常に友人たちのバンドからインスパイアを受けていますが、私がインスパイアされているアーティストはAlice Glass(元Crystal Castles), Hatebreed, Trapped Under Ice, Jeff Buckleyなど、様々なスタイルの音楽にわたります。
特別ではないような文を印象的な歌詞やメロディに変えるアーティストが好きですね。
Toshio:Foundation、Weekend Nachos、Kickbackなどのバンドが、表現する音楽の構成に影響を与えました。
いま聴いている音楽の要素をミックスするのが好きです。
Q8.女性メンバーがいるハードコアバンドでNo Rightに影響を与えたバンドは?
Sierra:私の友だちの全てのバンドには、ライブで見たときにインスパイアされています。
Dying Wish, Initiate, Scowl, Punitive Damage, World of Pleasure, Entryなど、特に女性シンガーたちとは定期的に連絡を取り合い、お互いをサポートしています。
No Rightが始まったとき、同じエリアで活動していたPunchはすでにバンドを終了しており、私の知っているかぎりでは自分たちのエリアに女性メンバーのいるハードコアバンドがいませんでした。
今はシーンに関わる人が増えてきており、共有した経験を持つ人たちを見ることができるので、それは素晴らしいことだと思います。
Q9.性別に関係なく、日本のハードコアシーンにはまだまだ多様性が欠けている部分もあります。女性としてハードコアバンドにいることに対するポジティブ/ネガティブな感情はありますか?
Sierra:長いあいだ、ライブでは少数の女性として目立っていると感じていましたが、今ではショーに行くと観客の4分の1から半分が女性であることが多く、それは素晴らしいことだと思っています。
ハードコアの未来に対してワクワクしています。
Q10.アメリカでハードコアバンドに所属する女性の割合はどのくらいでしょうか?もっと増えるべきだと思いますか?
Sierra:正確な割合はわかりませんが、過去よりは確実に増えていると感じていますし、その数は私たちが思っているよりもはるかに多いかもしれません。
もっと大きなショーやフェスのラインナップで見られることを望んでいます。
観客の割合も急激に大きく変わってきているので、ステージにもそれが反映されるべきだと思います。
※Firewarkerのライブなどは
昔から特に女性の多い印象がありましたネ
Q11.歌詞を書く際にどのようなことにインスパイアされますか?
Sierra:最近は、ライブを見ながら歌詞を書くことが多いです。
ちょっと変わった習慣かもしれませんが、誰かのセットを見ているときにスマホを取り出し、頭に浮かんだフレーズを書き留めます。
シャワーを浴びながら考えるのと同じようなことです。
ショーに参加しているときほど、音楽をやりたいと思うことはありません。
Toshio:通常は、私やシエラが経験した出来事からインスパイアされています。
私は強い感情を感じる瞬間に合わせて曲を作り、歌詞はシエラが自分の人生について書いていますね。
そういった作り方をしているので、二つのほとんど無関係なテーマが音楽を通じて出会うことはいつも面白いと思っています。
Q12.歌詞の内容について教えてください。
Sierra:主に私の人生のトラウマに基づいた経験について書いています。
それが健康的なアウトプットであり、普段の軽い会話では出来ない重いテーマだからです。
歌詞が共鳴することは私にとってとても重要ですし、それが何年も私の宝になります。
Q13. 「Senescence」のアートワークが非常に印象的です。バンドのアートワークは誰がデザインしていますか?
Toshio:私の友人のAimee Coleがデザインしました!
「Senescence」のアートワークは彼女が担当し、「Exempt」と「Promo」のアートワークは私が担当しています。
■困難やトラウマが内に秘められ、決して語らないようにと教えられる世界で、ハードコアはそれについて全力で叫べる唯一の場所
Q14.数ある表現方法の中で、なぜハードコアを選んだのですか?
Sierra:これが陳腐に聞こえなければいいのですが、私たちが居場所を探しているときに、ハードコアの音楽が私たちを見つけてくれたと思っています。
ハードコアのコミュニティでは多くの人々が日常生活でアウトサイダーと感じており、ハードコアのショーでは自分がまともだと感じられる場所だと思っています。
自分を安全に表現できる唯一の場所であり、受け入れられ、ある意味では称賛される場所です。
困難やトラウマが内に秘められ、決して語らないようにと教えられる世界で、ハードコアはそれについて全力で叫べる唯一の場所なのです。
Q15.ライブパフォーマンスで心がけていることは?
Sierra:私たちはエネルギーを高く保ち、毎晩どこでも最高のショーをするように心がけています。
すべてのショーを平等に扱い、プレイできること自体が喜びであり、全てのパフォーマンスに誇りを持っています。
Q16.印象に残っているライブについて教えてください。
Sierra:ハードコアの良いところの一つは、小さなバンドが自分が憧れるバンドと共演できることです。
私たちがステージで初めて演奏したのは、Criminal InstinctとDisgraceとのライブでした。
その夜、心に残る友人を作ることができ、両バンドと共演できたのは本当に素晴らしい経験でした。
他にもTrapped Under Ice, Terror, Turnstile, Rotting Out, Gulchなど、たくさんの素晴らしいバンドをサポートできたことも良かったです。
Q17.カリフォルニアの地元について(音楽以外の話題も含めて)教えてください。
Sierra:私たちはカリフォルニア州北部のベイエリアに住んでいます。
ベイエリアは、ヒップホップやスラッシュ、パンクなどの音楽から、スケートボードやグラフィティ文化まで、サブカルチャーに大きな影響を与えてきました。
文化的多様性は、食べ物やアート、音楽を通じて様々な地域に反映されています。
ここで育った人たちは、それを誇りに思っています。
テクノロジー業界の影響で物価が上がってきていることもあって、まだここに住んでいる人たちはより一層自分たちのローカルに対する気持ちが強まっていると思います。
Q18.ストレートエッジのライフスタイル/スタンスについてどう思いますか?
Sierra:ストレートエッジは、飲酒や過度なパーティーを拒絶する最後のライフスタイルの一つだと思います。
それは身体的自律の延長であり、現在を生きる選択だけでなく、依存症に根ざした世代間のトラウマなどを終わらせる選択でもあります。
私自身や依存症にかかりやすい他の人々にとって、より良い生活を送るために戦いのチャンスを与えてくれると思います。
Q19.Gt.のチャールズ・トシオさんに質問です。あなたの「Audio by Tosh」について教えてください。
Toshio:私はレコーディングエンジニアです。
ベイエリアのバンドや、世界中のさまざまなジャンルのアーティストと仕事をしています。
レコーディング、ミキシング、マスタリング、そして必要な人がいれば一緒に作曲も行っています。
昨年には、日本のバンド「KLONNS」と仕事をしました(※今年リリースの1stアルバムにマスタリングで参加)。
いつか日本でもレコーディングエンジニアとして活動したいと思っています。
■ハードコアの創成期から続いている「FOR US, BY US」の精神を大切にしている
Q20.現在のハードコアシーンについてどう思いますか?
Sierra:新しい人々が、オンラインで見つけたライブショーへ参加することに興奮しているのが見てとれます。
私たちの友人たちのバンドが世界中でエピックなセットを披露したり、ベイエリアのすべてのショーが売り切れるのを見ていると、ハードコアがこれまで以上に良くなっていると感じます。
関わる理由がますます増えていますね!
Toshio:ベイエリアのシーンは、これまでで最も健康的だと思います。
みんながコミュニティの一員であることを本当に喜んでおり、友だちと一緒にライブへ参加したり音楽を聴けることに感謝しています。
友だちのバンドが沢山のみんなに聴かれ、ショーに行く次の世代の人たちがインスパイアされているのを見るのは美しいことです。
Q21.理想的なハードコアシーンとコミュニティについて教えてください。
Sierra:私が思う理想的なハードコアコミュニティは、DIYの精神に根ざしながらも幅広いオーディエンスに届くことです。
年齢や収入制限なしに地元のショーにアクセスできるべき。
そしてコミュニティの人々は、ショーの企画、チケット販売、音響や照明の学習、写真やビデオ、ジンによるショーの記録、バンドの演奏など、すべての側面に関与するべきだと思います。
誰もがライブ音楽を演奏する権利があると信じており、ハードコアの創成期から続いている「FOR US, BY US(※自分たちの為に、自分たちが作り上げる。DIY精神の類義語)」の精神を大切にしています。
Q22.No Rightのメンバーが他にプレイしているバンドについて教えてください。
Sierra:現在、これが私の唯一のバンドです。
Toshio:ショーンはAnemic、ホセはExtinguish、Big Boy、Field of Flamesでプレイしており、エイドリアンは現在No Rightのみでプレイしています。
私はいくつかのまだリリースされていないプロジェクトを友人たちと進行中です。
Q23.最近チェックしている音楽やアーティストを、ジャンル問わず教えてください。
Toshio:最近はMortician、Bad Nerves、Radioheadをよく聞いています。
Sierra:同じ音楽をよく聴いていますが、新しい音楽としてはChappell Roanの最新アルバムを聞いています。
Q24.知っている日本のバンドはありますか?
Toshio:思い付くかぎりでは、Bastard、Death Side、Sand、Krueltyです。
Sierra:現在の日本のシーンにはあまり詳しくないので、これからのツアーで一緒に演奏するバンドを見るのがとても楽しみです!
Q25.音楽以外で、日本の文化の中で興味があるもの(食べ物、映画、アニメ、マンガ、寺社など)について教えてください。
Toshio:日本の建築やデザインが大好きです。
タイポグラフィからインテリアデザインまで、すべてが素晴らしいと思います。
また、ビデオゲームも好きで、From SoftwareのArmored Coreシリーズが特にお気に入りです。
Sierra:私たちはみんな日本を探索し、できるだけ多く食べることにとても興奮しています。
寺社を訪れることにも凄く期待しています。
Q26.ジャパンツアーに対する意気込みを教えてください。
Toshio:日本を訪れることができて、とても興奮し、光栄です。
私は日系アメリカ人の家庭で育ち、混血のアメリカ人の多くが経験するアイデンティティの危機を通じて成長しました。
日本の国を見ること、人々と会えることを楽しみにしています。
Sierra:私たちはまだ誰も日本に行ったことがなく、まさかそこで演奏することになるとは思っていませんでした。
Toshioと彼の兄も一緒に来るのですが祖先の故郷を初めて体験することにもとても興奮しています!
本当に夢が叶ったようです。
Q27.バンドの今後の計画について教えてください。
Toshio:今年中にLPをリリースする予定で、その音源がどこへ導いてくれるかを楽しみです。
新しい人たちの前で演奏できることにとても興奮しています。
■No Right
■Summer Bash Fest 2024
::チケット情報::
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