見出し画像

ROCKCRIMAZ, SECONDARMS / Split [7'EP] レビュー

レペゼンWESTOKYO HARDCORE PLAYA【ROCKCRIMAZ】と、横浜/横須賀BAYAREA HARDCORE【SECONDARMS】による、ローカルビートダウンスタイルウォーズ、ベテランの手腕が冴えわたるいぶし銀のSplit7インチ。

リリースはレーベル/ファンジン制作/イベント企画/アパレル展開など多岐に渡る活動をみせる「Fairy Social Press」、鮮やかなオレンジのカラーが映えるジャケットデザインは東京発のストリートブランド「Winiche & Co.」のWin氏によるもの。

ー収録曲ー
■ROCKCRIMAZ
1. Don't Be A Pain
2. Stay On The Grind
■SECONDARMS
1. Boom Biddy Bye Bye
2. Never Give In

▼Teaser Video


■ROCKCRIMAZ


ROCKCRIMAZはこれまでの活動の地続きを感じさせる2曲。

よりクッキリと輪郭があらわれた日本語詞を駆使するVo.ILL-TEE氏の重心低めかつラッピン&ストロングなシャウト、そしてもはや持ち味でもあるフック部分のキャッチーなシンガロングパートは特筆すべき点だ。

RCZのVo.以外にもラップやDJ、
もはや2刀流を超えて3刀流のILL-TEE氏

緩やかにメンバーチェンジを経たものの、以前からみられる独特な粘性を感じるグルーヴには磨きがかかっており、RCZのオリジナリティに華を添えている。

モッシュパート/ビートダウンパート入り口部分でのキメや入り方など、よく練られたディティールはNYHCの中でもとりわけIDScrew周辺のバンドへの愛情と考察を強く感じられ、垢抜けたアーバン感と同時に感じさせるローカル感やイナたさは、ニュージャージーなどNY近郊の街のハードコアバンドを想起させてくれる。

FFO:One Second Thought / Train Of Thought / Bulldoze / Terror Ave. / Five Minute Major / Stout / Detain / Never Ending Game / Redline / Burnside / Bayway NJ / Dominate / Numb.

■ROCKCRIMAZ
Instagram
Twitter(X)
Bandcamp


■SECONDARMS


対するSECONDARMSは硬質かつメタリックなグルーヴで攻め立てる2曲。

意外性のあるコード進行や音階の豊かなバリエーション、絶妙なテンポチェンジや展開、妖しげに輝く単音リフの響きなどが冴え渡り、そしてそれらへ絡みつくVo.Akeem氏による独特な甲高いトーンのシャウトが、楽曲の野蛮さや物騒さに拍車をかけている。

REP Y-Town
in DA 横浜スタジアム

モッシュパート/ビートダウンパートへの進み方や手法に関しても、ROCKCRIMAZとはまた違ったスタイルをみせており、硬質で整合性のとれたやや前のめりな勢いから身体がグッと後ろに引っ張られるようなタイム感はたまらないポイントの一つだ。

地域の話でも、RCZと同じようにNY近郊といえどペンシルバニアやロングアイランドなどといった、少しまた趣の違う地域の殺伐とした空気を感じさせてくれる仕上がりとなった。

FFO:Mushmouth / Kructh / Built Upon Frustration / Dysphoria / 25 ta life / Crown Of Thornz / Agents Of Man / Vison Of Disorder / King Nine / Cheech / Hoods / Alcatraz / One Step Forward / TAZ.

■SECONDARMS
Instagram
Twitter(X)
YouTube


2バンドに共通する魅力としてフォーカスしたいのは、ハッとするような一瞬の静寂や間の使い方。

音の隙間に緊張感を作るのが2バンドとも非常に上手く、楽曲が展開していく中で聞き手がこうあってほしいと願う期待感と、それを上回る良い意味での裏切りには昂りながらも思わず笑みがこぼれてしまうことだろう。

柔と剛といった言葉があるが、それらを2バンドとも独自の配合量でバランスよく織り交ぜつつ、オンテンポで軽快に進むパートとそれらにブレーキをかける粘っこいタフなグルーヴを使い分けるコントラスト、その両者の違いは本作の聴きどころの大きな一つとなっている。

そしてレコード全体として、裏路地からメインストリートを睨みつけるような気概に満ち溢れており、しかしそれは自分たちが大切にしている好きなものへの誇りや自信に裏打ちされたゆえの鋭い目つきなのである。

それでも来たけりゃ来いよとハードなピットへ誘う、まるでこの7インチは招待状のような役割を果たしているのだ。


■販売店舗一覧(9/9付)

▼diskunion

▼DIGDIG

▼礎

▼Brown Recods

▼Kickback

▼Bushbash

▼Retribution Network Distro(※現在在庫切れ)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?