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「僕にとって最も価値あることは、いま僕らがアジア・ハードコアの意味をみんなと一緒に形作っているということ」The Geeks結成25周年&来日ツアー直前インタビュー
結成25周年を迎えた韓国のハードコアバンド ”The Geeks”、2025年を「25 years strong」と冠した中で、約5年ぶりとなる来日公演が東京、大阪にて合計3か所で開催されます。
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「25 years strong」
日本とも縁が深い彼らの来日は、これで通算5度目。
アジア発のオールドスクールスタイルなバンドとして、かなり早い段階から世界に飛び出したバンドであり、昨年も新しい作品をリリースするなど未だに活動的です。
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中野 MOONSTEP
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新宿 HILLVALLEY STUDIO
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心斎橋 HOKAGE
今回は招聘元であるNew Direction Bookingのメンバーであり、そしてバンドではBrave OutやWRONGSTATE、BRUOなどで躍動するタカサゴリラビスケッツがThe GeeksのVo.Kiにインタビュー。
ご依頼いただき、こちらのnoteにて掲載させていただきます。
さぁ来日までもう間もなく!ということでスピード重視でサクッといきましょう◎
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・インタビュアー:Takasago(BRAVE OUT / WRONGSTATE / BRUO / VIOLENT PIGZ / FIRED STOMP RECORDS / New Direction Booking)
・編集・校正:Erolin
※各種写真はThe GeeksのFacebookなどより引用
― 韓国の文化が開放され始めた頃に、怒れる若者たちがアンダーグラウンドのクラブに集まり暴れまくった ―
■Takasago
The Geeks、結成25周年おめでとうございます!
結成当初からずっと同じメンバーで続けているのですか? 結成の経緯を教えてください。
■Ki(The Geeks:Vo.)
ありがとう!
ほとんど同じメンバーで続けているね。
ジュン(Gt.)、ボン(Ba.)、僕の3人はバンドの結成当初から一緒だよ。
でもイミョン(Dr.)もジーン(Gt.)もかなりの歴史があって、イミョンは20年、ジーンは15年になるかな。
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ジュンと僕は15歳の頃、同じ中学校で同じクラスに通っていて、席も近かったんだ。
初めて会ったとき、ジュンは僕をロック/オルタナ/パンク/ハードコアに引き込んだけれど、僕はそれまでロックやバンドの音楽を聴いたことがなかった。
でもその中で、僕たちは同じくしてパンクとハードコアにとても魅了されたんだ。
その後にジュンと "The Geeks "というネーミングでバンドを結成し、僕ら二人は高校生の97年頃から一緒にジャムり始めたのが最初だね。
そして大学に入学した1999年に、正式にフルタイムのバンドを始めることにしたのさ。
ーTakasago
The Geeksが始まった頃、韓国にハードコアやパンクのバンドはいましたか?
ーKi
韓国では1997年頃に、かなり新しいアンダーグラウンド/インディ・シーンの一部としてハードコアやパンクのシーンが出来はじめたんだ。
ちょうど韓国の文化が開放され始めた頃で、その結果としてパンクやハードコアを含んだあらゆるジャンルで、新しく素晴らしいバンドがたくさん誕生したんだよね(※NYHCのドキュメンタリーである "Under The Influence" を見れば、その様子が似たものとしてよく理解してもらえるだろう)。
怒れる若者たちがアンダーグラウンドのクラブに集まり、暴れまくったんだ。
あれは本当に美しい時代だった。
そしてさらに素晴らしかったのは、ジャンルに関係なく、みんなが一緒にプレイできたことだ。
どのショウも、ミックスされたバランスの良いラインナップだった。
今となれば、その中でも僕らが現存する数少ないバンドであることは明らかだけれどね。
ーTakasago
The First Step "What we know" のジャケット・アートにKiさんが最前で写ってますよね。
海外のハードコアバンドをたくさん観てきたと思いますが、印象に残っているライヴはありますか?
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ーKi
話を面白くするために、The Geeksに関連するショー/ツアーは除外するね。
それで話すと、バンドはInstead / The First Step / Have Heart / Bane / Verse / Comeback Kid、フェスではPosi fest(印象に残っているのはOutbreakやDesperate Measures)などなど。
僕が初めてアメリカに行ったときに観たこれらのバンドは、今の自分を形成してくれている。
そのあとThe Geeksは彼らと一緒に演奏したり、ツアーに出たりすることになるけれど、これらの素晴らしい象徴的なバンドと友だちになれたのは、いつまでも驚くべきことだね。
― シアトルのライブで突然、みんなが「The Geeks! The Geeks!」と大声で叫び始めた ―
ーTakasago
The Geeksの「Every Time We Fall」以降の作品は、The First StepやHave Heartなどに大きな影響を受けていると思いました。
こちらについてはどう思いますか?
ーKi
おっしゃる通りだね。
それに加えて、Carry on / Champion / Bane / Verse / Down To Nothing / Go It Alone / Youth Of TodayのDisengageの時期なんかも。
結成当初は、もっとクラシックなバンドから多大な影響を受けていた。
Youth Of Today / Minor Threat / Gorilla biscuits / Chain of Strength / Side By Side・・・そしてIn My Eyes / Ten Yard fight / Floorpunchなどだけでなく、その年代より前のハードコアやパンクのバンドにもね。
でも「Every time we fall」の制作を始めた頃、00年代のハードコアやユース・クルーの新しい波が押し寄せてきたんだ。
さっき先に挙げたバンドは、まさにリアルタイムに影響を受けたバンドたちだよ。
ーTakasago
The Geeksは間違いなく、世界へ進出したアジア発ハードコアバンドのパイオニアだと思います。
SNSが今ほど発達していない時代、大変な道のりだったのではないですか?
ーKi
温かい言葉をありがとう。
素晴らしく有意義な旅だった。
特に、あなたがおっしゃるような理由で。
僕たちが少しでも貢献できたことに感謝して、謙虚になるばかりだよ。
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ただ、現代のSNSとは少し違う形だけれど、実はかなり活発で魅力的なインターネット/デジタル・ソーシャル・コミュニティが存在していたんだ。
まず、Bridge9やLivewireのような筋金入りのサイトの掲示板(電子提示版:BBS=Bulletin Board System)。
僕はそれらの掲示板を大いに活用したんだ。
そして多くの人は忘れているだろうね。
Facebook / Instagram / TikTok・・・などのSNSが登場する前、国際的な宣伝をしたいとき非常に役立った万能のツール、MySpaceの存在を(苦笑)。
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しかしこれらすべての最も重要な要因は、真にオフラインでの物理的な人的交流だった。
それは当時はまだ誰もやっていなかったことだった。
僕は実際にショウやフェスティバルのためにアメリカへ行き、たくさんの素晴らしい人たちと出会うことができた。
そうした人脈のおかげで、思いがけないチャンスに恵まれ、思いもよらなかった夢を実現することができたんだよ。
ーTakasago
過去のツアーで面白かったエピソードや、印象に残っているエピソードなどはありますか?
ーKi
数え切れないほどあるよ!
何から話そう? 文字通り、すべてのショー、すべての交流が素晴らしかった。
尊敬していた大好きなバンドたちと一緒にツアーをしたり、演奏したりする瞬間は、まさに人生を変えるような経験だったね。
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そしてこれは前にも話したことだけれど、もう一度。
2007年に「Every Time We Fall」をリリースして、USフル・ツアー(Bane / Down To Nothing / Modern Life Is War / Ambitions / Hour of the Wolf・・・などと共演)を敢行したとき、サンフランシスコで僕たちはバンを壊されたんだ。
想像の通り、そこで私物の多くを盗まれた。
ベース・ギター、ドラム、喘息の吸入器、イヤホン、ノートなどね。
でも、どのバンドも親切に機材を貸してくれた(あのビッグな存在のBaneでさえ、普通にベースを貸してくれたからね)。
それに、どのライブにも募金箱があった。
そのとき、僕らはハードコア・コミュニティの力を本当に学んだんだ。
あといくつか思い出したことがある。
シアトルで演奏したとき(間違いなくこれまでで最高のショウのひとつ)、観客は僕たちに熱狂した。
そうしたら突然、みんなが「The Geeks! The Geeks!」と大声で叫び始めたんだ。
もちろん初めての経験だったから心底驚いたよ。
感動して背筋が凍ったことを今でも覚えている。
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最初の日本ツアーは2000年だった。
そのとき初めて寿司を食べたんだ。
不思議なことに、その時はなぜか魚の寿司が食べられなかったので、結局玉子しか食べなかった。
今では寿司は大好物のひとつだし、スシローで30皿は軽くいけるけれどね。
あとは2004年にスシローに行ったとき、ヨン様ブームで僕のことを「キ様」とみんなが叫んでいたことを今でも覚えているよ。
その頃はまだ今みたいに韓国の人気はなかった頃だね。
それともう一つ。
Down To NothingとBaneと一緒にツアーをしていたとき、夜中にDown To NothingのメンバーがBaneのバンに大きなイタズラをしたんだ。
彼らはBaneのバンをトイレットペーパーで包んだんだよ。
あれはマジでイカれていたな(苦笑)
― 日本のハードコア全体は、僕ら全員に大きなインスピレーションとモチベーションを与えてくれた ―
ーTakasago
The Geeksの来日は4回目ですか?
日本のハードコアシーンとのつながりを教えてください。
ーKi
今回で5回目になるよ!
・2000年:東京
・2004年:大阪(ポジフェス)、京都、東京
・2006年:大阪(ポジフェス)
・2008年:東京
・2020年:東京
・2025年:東京・大阪
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日本は韓国以外で初めて演奏した国だ。
それに、僕らの最初のアルバムのひとつが名古屋の ”In My Pain” とのスプリット盤だった。
あれも素晴らしいレコードだよ。
日本のハードコア全体は、僕ら全員に大きなインスピレーションとモチベーションを与えてくれたんだ。
最も重要なことは、韓国から来た無名のハードコアバンドを本当に大切にしてくれた、たくさんの素晴らしいバンドや友人たちに出会えたことだ。
このシーンに<アリガトウゴザイマシタ>。
そして ”Last One Standing” は、僕たちが「兄弟バンド」と考えた最初のバンドだったんだ。
すべてのもてなしが素晴らしかった。
彼らを初めて韓国に連れてこれたことは、本当に特別だったよ。
キワム(Gt.)が亡くなったときは、本当に心が痛んだ。
だけれど、今でも彼の精神を守り続けているのは素晴らしいことだと思う。
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「Kiwamu Is Burning 2020 Tokyo」
さらに僕たちはまた、多くのジャパニーズレジェンドたちとプレーする機会に恵まれた。
Protect / Set Point / No Choice In This Matter / Count of Strength / Nervous Light of Sunday / Endzweck / Stinger / December12 / Make Mention of Sight / And Believe / NUMB / Naiad / Courage For League / One line / Crystal Lake / FC five / SLANG / Gauze / 昔のEnvy・・・
それと東京のハードコアの仲間たち。
上の世代だけではなく、新しい世代や若い世代も。
ユウスケ(Yusukedge:BYBO / Stand United…etc)、タカシ(xtakashix:OTUS…etc)、カイ(Kai:BYBO / INSIDE…etc)、シュウヘイ(BONE$:HOLLOW SUNS / Doggy Hood$…etc)、サゴ(Takasago)、ヒデタ(Hideta:BRAVE OUT / Brightside Booking…etc)、ズミ。
そのみんながやっている、INSIDE / Stand United / As We Let Go / Brave Out / True Fight / Hollow Suns / Otus / Blow Your Brains Out・・・。
僕が彼らと最初に出会ったとき、彼らはとても若かった。
でも今となっては、僕たちはみんなスーパー先輩ハードコアだ!
そして僕にとって最も価値あることは、いま僕らがアジア・ハードコアの意味をみんなと一緒に形作っているということだ。
東京では「More Than Ever」のMVも撮影したけれど、カイとセンタ(NUMB / ETERNAL B)が一緒に歌うような面白いフィーチャリングもあったよ。
ーTakasago
Rampage Festのような韓国の若い世代の精力的な活動をどう思いますか?
ーKi
彼らに心からの敬意と賞賛を送るよ。
彼らが韓国のハードコアシーンにしていることは素晴らしい。
韓国内のシーンを成長させているだけでなく、韓国のハードコアを世界に発信している。
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日本のバンドも多数出演している
若いハードコアキッズはどんなハードコアシーンでもバックボーンとなる。
韓国には素晴らしいバンドがたくさんいる。
大きな可能性を秘めている。
ただ、彼らは自分たちの音楽を本当に世に広めるために、国際的なツアーを始めてほしいと思う。
ーTakasago
最後に一言。
ーKi
今回のツアーは言葉では言い表せないほど興奮している。
大阪で演奏するのはポジフェス以来でかなり何年かぶりだし、東京で演奏するのは僕ら5人(現在のバンド体制)では初めてだ。
なぜなら前回の来日ではギターのジュンがコロナの影響で来れなかったからね。
最後に一言。
ジャパニーズ・ユース・クルーとジャパニーズ・ハードコア最高!
たくさんの人が来てくれて、一生に一度のハードコア・ライヴを一緒に作ってくれることを願っています。
■The Geeks
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■The Geeks Japan Tour 2025
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中野 MOONSTEP
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