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『Para Mi Familia』Vol.3開催に寄せて ~00's関西メタリックハードコア周辺の暗黒時代~ その②
せかいでーイーチーバンー!あつくひーかるーなつー!
もうこのトーキーメーキー!とーめーないでー!
はいどうもエロリンです。
皆さん8月の風を両手で抱きしめていますか?
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同世代3マン
前回の①はいかがでしたか?
SNSなどでも絶妙に薄めのリアクションだったので、この世代のニーズの無さを再確認しておりましたw
よくそういう話にもなったりしますが、あの頃の世はガラケー&SNSといえばmixi&魔法のiらんど的なBBSの提示版が全盛の時代、今に互換性のあるアーカイブが少なすぎ!
写真なんかも今から思えば終わっている画質(よく好まれるようなレトロな趣もないんすよね苦笑)で写メをパシャパシャ撮るばっかり、スマホに移り変わってからはデータなんてどこへやら。
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時代を感じますね
なので記憶と僅かに残されたアーカイブを頼りに引き続き書いていきます。
まぁ三面記事くらいの内容かもしれませんが、そこには確かに今に紡ごうとした汗と努力があるんですよね。
必死で残してきた?足跡の端っこらへんを覗いてみてもらえたら幸いです。
暗黒時代なんて言うてますけど、それ以外も豊富に話せたら。
全編と同じく順不同で挟んだ写真はSMDcrewのNewmen提供。
では後編いきましょう~!
■00's中盤の関西HC大型イベント
色々と脱線しつつではありますが、ひとまず前編の続きのようなお話を。
徐々に忘れられつつある関西メタリックハードコア備忘録。
その中でも最も忘れられかけている時期ですね・・・苦笑。
ハードコアプライドが一旦Vol.6(2006年)で終了しますが、関西でハードコアに関連したBIGイベントといえばSand Makoto氏主催の「FREESTYLE OUTRO'」や、自分のやっているBurning SignのVo.ショウちゃんやNTBLSのGt.アラちゃんも所属していた神戸KRS主催の「HARVEST」などがありました。
ギャルたちのルックに時代を感じますねw
あとHARVESTはもはやYouTubeを探しても貼るほどの映像が出てきませんでした・・・これも忘れられていく時代の虚しさの一片を垣間見た気がします。
FREESTYLE OUTRO'は2002年からプライドと同じくベイサイドジェニーで早くもスタートさせていましたが、規模がハチャメチャに大きくなったのは場所を造船所跡に移してからですかね。
2010年前後のVol.7や8といった開催時には一晩で3000人や4000人といった動員数を記録するなど、もはやその辺の小規模な音楽フェスなんかよりも人がいたんじゃないかというほど。
設営や準備、片付けなどもすべてがDIYすぎて当日は早朝5時や6時とかに準備がスタート、そのまま翌朝5時とかにSandがライブして皆んな目を血走らせながらヤケクソのように大盛り上がり、そのまま昼頃まで片付けという。
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気が狂っております
いま書いていてもマジで意味が分からないんですが、ほらタイムテーブル見てくださいよ、一切誇張してないでしょw
協賛だったと思いますが、楽屋で飲み放題だったレッドブルを1日で20本くらい飲んだ記憶があります。
あと最後の片付けは、だだっ広い会場内をスピーカー担いで移動しながら「古代オリンピックか!」って一人でツッコんでました。
流石に限界がきて途中で勝手にほったらかして帰った覚えあります、あのときはスンマセンw
神戸のHARVESTというイベントはHIPHOPやクラブカルチャーの色がまた違った形で濃ゆく、思い出せるだけでもOZROSAURUSや般若、Anarchyといったメインストリームな大物以外にTha Blue HerbやMSCに降神、SD JunkstaやDJ KRUSH、DJ Bakuなど当時のアンダーグラウンドを席巻していたアーティストたちが多数出演していました。それを主催していたのが、Burning Sign, NTBLS, Abfald, Re-Buildなど同世代の神戸メンバーだったという。
KRUSHと降神が楽屋ではじめましての挨拶しているのを見たときは流石に歴史的場面やん!って興奮した覚えがありますね。
自分はTBHやMSC、KRUSHの移動時に運転手役をするときがあったりして、あのときはメチャクチャ緊張しました(特にKRUSHなんか、万が一があったりしたら世界中が悲しむのでは・・・とか思ったり)。
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右手前にはレアな
Alcatrize Recordsワタル社長の姿
少しハードコアの話から逸れがちになりましたが、いずれもHIPHOPや他のカルチャーをミックスした内容だったものの、ハードコアのバンド側の人間が開催していたこともあり今になって思えば変わった感触の大型イベントだったなと。
SandマコさんもBack Yard Zineのインタビューで ”ハードコアを同じ並びに持っていきたかった” と話していましたが、自分たちがカッコいいと思っているものを表現するための大きな場の提供、という名目はありながら、ストリートレベルでハードコアが以前ほどの求心力を失っていく感覚のあった00's後半頃には ”残った好きな人間で力を合わせて頑張っていこうな” といった連帯感みたいなものもキーポイントの一つだったと思っています。
■オールドスクール不毛の地、関西
少し話は変わりまして。
この見出しに関しては、00's中盤ほぼ単独に近い状態で気を吐いていた現Nodaysoff、当時はLast One Standingのスワさんが言い出したような言葉だったかと。
大先輩に姫路のMeaning Of Lifeがいますが(Since 1989!)、90'sからのマッチョなNYHC~極悪ハードコアの流れは関西では特に影響力が強く、シンプルでストレートなバンドはなかなか数が少なく芽の出ないことが多かったんですよね。
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フライヤーちっちゃいけど
マジで良いメンツ
海外では90's後半にTen Yard FightやIn My Eyesなどなど88リバイバルなんかがあったり、00'sに入ってもComeback KidやHave Heart、VerseやChampionに代表される主にRivalryやBridge Nineといったレーベルリリースのモダンユースクルーのバンドが人気を博したこともあって、それが割と2024年のSound And Furyなどの現行フェスなどをウォッチしていても地続きになっている感じがあると思います。
良くも悪くも(これはどっちかいうと悪い方か)、ハードコアっていったら重くて悪くて強い音でしょ!みたいな偏った空気感がごく一部とはいえ、関西の尖ったヤンチャな若者の中で定着してしまっていたんですよね。
これは言いすぎなようで言いすぎではないはず。
そりゃあ先人たちは中々それらを良い目で見ることはできなかったでしょう・・・苦笑。
こと大阪や神戸などではそういった流れが強かったものの(もちろん色んなバンドはいましたが)、関西でも特に京都/滋賀や奈良といった土地、そして今回のイベントにも多く関わっている自分と同世代のバンドや仲間、さらにSMDcrewなどなどは、今でもあまり変わらないであろう比較的柔らかく堅苦しくない空気感で差別化している部分がありました。
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New World Disorder
最大4ボーカル3ギター体制
くわえてサウンド面でも、土地ごとにいた先輩バンド(前編でも話の出たCrankやCrap Houseなど)が作ってきた土壌、そこへ世代ごとの趣味や方向性などがミックスされて・・・例えば京都の00's~は所謂あの頃のNaiadやNordeに代表されるような叙情やカオティックなどの言葉で語られることが増えたり、といった類の話。
このブロックの見出しにあるオールドスクールの話とは少し逸れる話かもしれませんが、自分も含めて極悪なサウンド一辺倒にならなかったのはそういった周りの環境の影響も大きかったんですよね。こういうカッコ良さもあるよ、と言葉だけじゃなく提示してくれる人たちが沢山いたおかげという。
時を前後して出会っていく、それこそ同世代のNTBLSやB Side Approach、EX-C筆頭にSMDcrewのメンバーが所属するバンドなどは、関西極悪系サウンドとは一定の距離をとったスタンスやスタイルで勝負していくことになるのです。
■残党たちの憂いと、その先にあったもの
しか~しこの選んだスタンスやスタイルは、当時の関西じゃそれこそオールドスクール不毛の地と繋がってくる話、全くといって人気のないジャンルと言ってもよく、20代の元気もあってオリジナルのバンドを頑張るぞ~!の気持ちをとことん折ってくるようなこともしばしばで・・・苦笑。
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極悪系じゃない方向に
こじらせた例かもしれません
お客さんが入らない、むしろ減っていく、昔の人も戻ってこない、メディアもフックアップしてくれない、ALLIANCE TRAXが呼んでくれる海外の現行バンドも関西じゃあまり人が入らない、数少ない後輩を大切にしなきゃいけない、でも自分たちは自分たちで曲げたくない、とはいえ大きなフィールドに媚は売りたくない・・・などなど、もうずっとグ~ルグル状態。
ひたすら我慢と切磋琢磨するのみ。
もちろん楽しいことも沢山ありましたし、人が多く入るような状況も時にはありましたが、SNSなどが全盛になる前の時代(提示版や2ちゃんねる盛り上がってましたねw)ということもあって、まだまだ紙フライヤーの多かった時期、今こうして思い出して書いていても色んなものが過渡期だったんだろうなと思います。
その狭間、ブラックホールのような時期に我々は吸い込まれたんじゃないかとw
そういった最中、TIME BOMB RECORDSでずっと古今東西温故知新さまざまな音源を高い熱量で扱ってくれていたSecond To Noneの4404さん、個人でディストロや配布用のセレクトCDなどずっと続けていたGates Of Hopelessのリュージなどの存在は今から考えてもひたすらに尊いものがありますね。
2010年代に入ってようやくNUMBERNINEやBrave Outといったバンドやその周辺の人たち、そしてまた時を超えてWest Side Unityなどが出てくるようになるまで、関西は特にかなりの膠着状態が続いていたように思います。
90~00'sからずっと残ってきたバンドや関わってきた方たち、全くもって終わりなんかじゃありませんが、本当にお疲れ様でしたw
もちろんシンプルに楽しいからという気持ちも強く持っていますが、似た音楽を好きになった仲間たち、ライブハウスやスタッフその他大勢、支えてもらった皆さんに大感謝でございます。
ここまで色んな意味で長かった・・・。
これからどんな風に変化していくのか見当もつきませんが、今また増えている?新たに興味を持ってくれている人たちと、豊かな時間を共有できれば良いなと思っています。
自分もまだまだ長らく楽しんでいきたい次第なので、お手柔らかにかつハードに一緒に遊んでくださいませ。
では最後に、折角なのでイベント遊びに来てくださいね~!
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『PARA MI FAMILIA vol.3』
2024.08.09.FRI at Music Bar HOKAGE
▼Band
NOTIIBELIKESOMEONE
Burning Sign
Paciência
▼DJ
UM8(TAIMA2SOUND/EX-C)
酔大
Open 19:00 / Start 20:00
Ticket Door Only ¥2000+1d