【無理に混ぜるよりも、自然に繋がってる人たちとやりたい】It's All Goodインタビュー
「Y2K」などと言ったりもして、90年代~00年代のファッションやカルチャーに注目が集まる中、所謂ちょうど”あの頃”のミクスチャーサウンドなんかがどうも一部で流行っているらしい。
こないだはアイドルがラウドロックな音の上でラップしているのも見かけたし、つい最近リンキン・パークは復活したのだとか。
ファンクメタルにラップコア、レッチリにビースティー、ジャッジメントナイト・・・etc、ミクスチャーサウンド/ロックの捉え方は世代や地域によってもバラバラ(関西人40代の自分なら例えばSuck Downとか)だろう。
まぁそんな話をよそ目に、シンプルに好きなものを掛けあわせて表現したら独自なミクスチャーサウンドが出来上がった、ともいえる『It's All Good』の群を抜いたセンスはもっとフォーカスされた方がいい、いやされるべきなのではないかと思うのも確かなところ。
黄金期と呼べるであろう90年代ルーツの、NY~East Coast周辺におけるメタリックなハードコア、NY/ウェッサイ/サウスのヒップホップを、ここ日本でドメス感もプラスしながら主にミックス、かつ単なる焼きまわしでもなくしっかりとアップデートさせてくる手腕は、It's All Good以外にいない。
本場であるアメリカの人間も、そういったところにオリジナリティや面白みを見出したり似たような感じ方をしたのであろうか、現行ハードコアNo.1レーベルの呼び声高いUSの「DAZE」より、It's All Goodの1stアルバムをLPとしてリリースというニュースが飛び込んできた。
今回はそのLPリリースにあわせたタイミングで、以前に実施されたものの公開までは至っていなかったインタビューをサルベージ。
リアルタイムで読める内容に少々の軌道修正/加筆をしつつ、バンドの出自からサウンドのルーツ、アイデンティティやポリシーといった部分にもタッチする内容となった。
これまでまとまったインタビューが無かった彼らの貴重な?肉声をお楽しみあれ!
インタビュアー/文字起こし:Koichiro Funatsu
テキスト校正/その他:Erolin
■各バンドの1番不真面目な人たち
──バンド結成の経緯について教えてください。
ILL-TEE:これはSEKI ALL Gじゃないか。
SEKI ALL G:俺が諸事情で鹿児島に行っていたとき、YAYOとスタジオによく入っていて、そこで既に何曲か作っていた。その曲にボーカルを入れようという流れになって、ILL-TEEに白羽の矢が立ったんだよね。
ILL-TEEに話をしたらいいねとなって、次はベース。YAYOが「ボス(FFF)いいんじゃないか」となり、声を掛けたのが始まりかな。
FFF:YOHEYさん(YAYO)が「ギターもう一本いたほうがいいかも」っていきなり言い出して、俺はJAYさんしかいないでしょって。それからトントン拍子で話が進んでいった。
ILL-TEE:だけど最初に出した7インチ(Fairly Social Press)は、JAY以外の4人でRECしているんだよね。RECしたのは2019年で、その年末に音源はリリース。JAYも2019年に加入した。
その前……俺らが4人で千葉のスタジオに入り出したのはいつくらいだっけ?2017年くらい?違う。2018年だな。ベースを持って千葉に電車で行ったのをすごく覚えてる。
JAY:最初の4人はみんな「いいじゃん!いいじゃん!」って言っているけど、俺は決まっている全員をみて「これ何すか?」みたいな感じだったよ。決まった4人のメンバーを知らされて「えっ、俺なんだ」って。
7インチの発売が12月で、バンドの初リリースと初ライブが同じ日だったんだよね。そのライブにあたって俺は誘われた。だから7インチのクレジットに俺の名前は入れてくれてるけど、RECはしていないんだ。
──歌詞の中で「ならず者の5人」とありました。
ILL-TEE:いや、そんな歌詞はない(笑)ならず者かもですが。
FFF:自分は自分がやってるバンドのリーダーだけど、まあ、そうですね、ちゃんとしてないというか。
SEKI ALL G:各バンドの1番不真面目な人たちがこれかなって。まさか一緒にバンドをやることになるとは思ってなかったんだよね。
YAYO:俺は先日、人の親になったので真面目にやっていこうと思います。
──そのままアルバムを制作するという流れで。
ILL-TEE:でもアルバムも2〜3回録ってますよね。
SEKI ALL G:そうだね。2回録って、3度目の正直だった。
ILL-TEE:RECを2回やって、トラック自体はできていたんだけれども、「ダメだ!」つって。
──アルバムの中で最も気合を入れた曲は?
ILL-TEE:俺的には「It's All Good」、一番IAG色が出てるんじゃない。
JAY:私もそれが好きです。
──ここにきてアルバムがLP化されましたが、どのような経緯でしたか?
SEKI ALL G:去年のBloodaxe Festivalの時に、Lumpy(DAZE)がライブ見て気に入ってくれて、そこからアルバムをリリースしてもらったBowlheadのトメさん(YOYO-T)を介して進めていった感じだよね!
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■他のミクスチャーとは違う
──バンドサウンドで一番こだわっているのは何ですか?イントロとスキット、アウトロのある構成はヒップホップの作品らしさも感じられました。
SEKI ALL G:90'sのNYハードコアから俺は一番影響を受けていて、世代的にもみんなそこを通って喰らっている奴らだから、クラシックなNYハードコア感は根底にある。
そこに普段聴いているヒップホップとか現代の音楽の要素が入っているんじゃないかな。
YAYO:バンドメンバーに最高のラッパーでもあるILL-TEEがいるから、結成当初からILL-TEEにはがんがんラップしてくれって言ってる!
普通はやりたくてもなかなか出来ないからね。そもそも俺的にはミクスチャーバンドのつもりで始めてるし(笑)
FFF:あとは、ちゃんとリズムセクションがある。SEKIさんのチキチキ・ハイハットと俺のぶっといサウスのビートっぽいベースの鳴り。そこは他のミクスチャーとは違うと思うな。
──いい意味で遊びの要素が強いですよね。各作品のジャケットのカッコよさもそうだし、すごくバランスのよさを感じます。
JAY:MidNightMeal RecordsでILL-TEEやMASS-HOLEの作品や、フライヤーのアートワークを作ってるDAICHEくんが手がけてくれたんだよね。同じく7インチもやってもらった。
YAYO:俺はILL-TEEのミックスのジャケット(※TEE-$HORT名義のNight & Bayシリーズ)がすごい好きなんだよね。最初それで、DAICHE君に頼む流れになった。
ILL-TEE:そうしたら、7インチは想像の100倍くらいイケてるのが完成してきて。アルバムのジャケットに関しても非常に満足しています。信頼のおけるカッコいい仲間に任せる感じ。
JAY:インパクトすごかったね。車はシト○エンなんだって。そういう人たちが周りにいて、恵まれているんだろうなって思う。
──あのビジュアルと音の気持ちよさが合わせて名刺になっていて、そこからも攻められそうですよね。
それと皆さんはそれぞれ所属バンドやストリートに接したフィールドをお持ちです。YOHEYさん(YAYO)は自分のクラブ(Timeless:鹿児島)があり、ILL-TEEさんはラップやDJもしていて、JAYさんもラッパーのCenjuさんたちと方南町shan2で働いていました。
FFF:自分もクラブをやっています。福島THEATER。
──え!それじゃあ皆さん、ハードコア以外のジャンルやパーティーと毎晩のように立ち会ってるわけじゃないですか。IAGはどんなジャンルのパーティーに出ても、きっとメチャクチャ面白いことになりそうですよね。
ILL-TEE:俺らはそうだよね。ヒップホップのイベントとかでもやりたいよ。でも違和感のあるようなイベントは違うよね。
JAY:無理に混ぜるよりも、自然に繋がってる人たちとやりたいっていうイメージかな。
ILL-TEE:サウスパークで俺らのキャラクターを作りたいよ。
■とってつけたような音楽にしない
──音に対してどういうところにこだわっていますか?
FFF:とってつけたような音楽にしないことかな。みんな本当に音楽に詳しいから。
JAY:みんな好きなものをいい塩梅で足し算した感じだよね。
ILL-TEE:さっきの話じゃないけれど、ライブハウスでもクラブでも遊ぶし。
──ラップを乗せていますが、ハードコアバンドでラップを乗せるのは珍しいことですか?
ILL-TEE:ちょいちょいいるけど、どちらの音楽にも造詣があるタイプは多くないんじゃないか。
JAY:IAGみたいにラッパーとハードコアをやってる人たちが一つのバンドに集まることはなかなかないと思う。
──NasやChief Keefの要素も感じられますよね。NasはNYです。NYの音楽のどういうところに惹かれますか?
FFF:Dr.Martin履いてた人らが世代的に変わってどんどん格好がチンピラっぽくなっていったように、そういうパンクスがNYの流れだとデカい服きてパンクやハードコアやってる。NYハードコア。それがカッコいいっすよ。
──今後もライブなどをやっていくと。
JAY:そうですね。タイミングがあえばバチバチやっていきたい。できれば早めに誘ってもらいたいです。
ILL-TEE:みんなそれぞれバンドを持っているから。
──今まで印象的なライブとかありますか?
SEKI ALL G:印象的なライブは福岡のボミンかな!
ILL-TEE:俺も天神ボミンかな。ジャンルレスなイベントでHIPHOPサイドも沢山出演者いたけど、しっかり会場揺らせたし俺らがやりたいSHOWがバッチリできたなって感じ。超楽しかった!
──DAZEからのリリースを踏まえて、あらためてライブをやってみたい場所はいかがでしょうか?
YAYO:海外だね。俺、アメリカは入れないからヨーロッパ。東南アジアもいいね。海外ではハードコアの盛り上がりがすごいよ。世界的なレベル。
SEKI ALL G:個人的にライブやりたい場所は、SPEEDとUK Tour!
ILL-TEE:俺も海外でやってみたいかな。SPEEDいいね!(笑)
──It's All Good、次の展開は?
SEKI ALL G:1stアルバムの後から既に制作は取り掛かっていて、まだ言えないけれど今回のファーストアルバムとは全然違った内容の楽曲を作っているね。
ILL-TEE:俺らは次に向かっているぜ。
■ITʼS ALL GOOD
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