#27 歌、聞いていると飽きる?!そんな事ありませんか?
はじめてその人の生歌を聴いた時、「わあ、上手ーい」と思ったのに、何回も聞いていると上手いけど飽きてくる、つまらないなと思ったりする。自分のことは一旦棚の上にあげておいて(汗)、そんな経験ありませんか?
生え抜きショークラブ現役シンガー平山てりです。
毎日歌う環境にいるので、先輩の歌は何回も聞きます。かつての先輩の中には、本当に上手いシンガーが数々おられました。その中でも、あるシンガーは、美しい声で、美しい姿の歌手でした。歌も上手く「匂うように歌う人だなあ」と憧れていました。
何年かした時、お客様が「彼女の歌は飽きるなあ」とおっしゃったのです。私は愕然としました。
完璧な歌だし、とても上手いし、お客様全員が彼女のファンなのだと思いこんでいましたが、そうでない方もいらしたのですね。
音程もメロディもきちんと取れていて完璧に美しい。でも、心が動かないなという経験、あるのではないでしょうか?
最近、先輩歌手が傾倒している歌手が全くこれに当たります。「上手いでしょー!」
はい、上手いし、完璧です。
でももっと聞きたい、とは思えませんでした。
私が大切にしているジャッジは、『出だしの声がどうか』がポイント。
最初にインパクトがある声色、その中に、『心を掴まれる何か』があるシンガーが、本当に上手い歌手なんだと思っています。
はてさて、それは一体何なのでしょうか?
その人が持ってる『魂の輝き』ではないでしょうか?
『生き様全てが声に宿っている。』とも言えると思います。
2024パリオリンピック開会式のトリで歌った『セリーヌ・ディオン』の声が、まさにそれに当たると思います。ご覧になられましたでしょうか?愛の讃歌を歌っておられました。
痺れました!
生き様が声に歌にそのまま滲み出ていて、心が震えました。泣けました。
前振りとして、難病と戦っておられることは、知っていましたので、発作が起こるから、出演はできないのではないかと思っていましたが、歌ってくれました!
彼女の出だしの声の中には『病魔になんか負けてなるものか!』という、強い揺るぎない意志を感じました。
その、強い意志が生み出す声こそが、聴いている人の心を揺さ振り、勇気を与える事ができるのだと思います。
私もいつか、こんな風に歌ってみたいと、また改めて決意した次第です。