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ミスなく経理ができることは、当たり前じゃない!【てりたま通信#10 無料版】

ミスなく仕訳を切り、決算を締めることを「ルーチンワーク」と笑うやつは、何をやってもダメ。by てりたま
(「2000字未満縛り! ゆる会計アドベントカレンダー」参加作品)


監査法人で30年強、うち17年はパートナーを務めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。


🎄「頭を使う仕事」と「そうでない仕事」

私が監査をしていたあるクライアントが、経理部門の再編を行いました。
平たく言うと、「頭を使う仕事をする人たち」を経理部に残し、「ルーチンワークを担う人たち」を経理センターという新しい部署に移動させました。
※「頭を使う仕事」「ルーチンワーク」は社内で俗に使われていた言葉で、正式な説明の中にはありません。また、この会社の経理部にはさまざまな機能がありましたが、ここでは会計機能に絞ってお話しします。

再編後の経理部は、それまでと同様、本社の役員フロアに近いところに陣取っています。
少数の、いかにもエースという人たちが集められました。

一方、経理センターは本社ビルから離れた古いビルに移動。
メンバーは「この道一筋何十年」というベテランぞろいです。

さて、我々監査人がどうなったかと言いますと、期中監査ではほとんどの時間を経理センターに往査することになりました。
企業結合や減損といったトピックスは経理部の担当ですが、それ以外は経理センターが処理しています。


🎄「ルーチンワーク」は「頭を使わない」のか?

再編後の経理部、経理センターの両方とお付き合いして、気づいたことがいくつかあります。

まず、「ルーチンワーク」と言っても、頭を使わないわけではまったくありません
99%の仕訳が経理センターを通ります。確かに機械的に処理できるものも多いのですが、経理センターでチェックして、所管部門に問い合わせたり、修正を指示したり、ときには突き返したり。

その過程で、各所管部門の誰がしっかりしているのか、頼りなく要注意なのは誰なのか、を経理センターの方々はよくご存じです。
ミスが頻発する場合は、所管部門に改善策を提案するなど、仕組みでの解決を図るも経理センターの仕事です。

さらに、システムを入れ替えたり、大掛かりな業務の見直しを行う際に、現状はどうなっているのかを知り、新しいフローに潜むリスクに鼻が利くのも経理センターです。

経理センターの人たちと我々監査人は、適正経理という同じ目的を完全に共有できていました。
何があるべきかを議論し、ときには効率化を巡って意見を戦わせ、私としてはとても楽しい時間を過ごすことができました。
私から見て、彼らはプロフェッショナルでした。


🎄ミスなく経理処理できることは、当たり前じゃない

キャリアの大半において監査業務に打ち込んだ私ですが、2年前に監査法人を退職し、独立開業しました。
完全に一人の事務所なので、すべての業務を自分一人で対応しないといけません。
最初はエクセル、今はクラウド会計システムで帳簿をつけています。

私一人なので、個々の取引の内容は熟知しているのですが、同じ種類の取引について気分次第でいろいろな勘定科目で処理してしまいます。
請求時に売上を計上したのに、入金時にまた売上を計上してしまうことも。

一応は会計士なので、決算時には年間の取引を全件チェックしています。
おびただしい数の修正を行いますが、作成された財務諸表に間違いがないという確信はまったく持てません。

いきなり低レベルな話を出して申し訳ありませんが、たくさんの従業員がいて拠点も複数ある上場企業で決算を間違いなく行うことは、いかにたいへんなことかが今では分かります。
そして、あのクライアントでは、適正経理の相当な部分を経理センターが担っていたことも。


おわりに

経理部門は社内で地位が低いことが多く、その中でも日常の会計処理を行っている人たちにはスポットライトが当たることは少ないと思います。
そんな皆さんにエールを送りたくて、アドベントカレンダーのテーマに取り上げました。

皆さんのもとに、楽しいクリスマスとお正月が訪れますように。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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