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海外経験があなたの給与を3倍にする? 未来の日本の働き方

日本全体に「国内志向」が強くなっているようです。留学や海外駐在の希望者が減っているとか。そんな20代、30代にカツ!


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

日本はよい国で、海外経験がなくても、英語ができなくても生活でき、仕事もあります。
だから海外に出たくない気持ちはよく分かります。
でもそれでいいの? 将来は今と全然違うかもしれないよ、という話をします。

20年前の中国

20年前、中国で監査報酬が倍々ゲームで上がったことがありました。日本企業の中国子会社も例外ではありません。

クライアントは納得せず、日本の本社で問題になります。
クライアントいわく、中国の物価はそんなペースでは上がっておらず、現に自社工場で勤めている人たちの賃金も倍にはなっていない。

中国子会社を担当する現地の監査チームに聞きました。
そうすると、英語を話せる会計士の給料は倍以上に上がっているとのこと。
それくらい上げないと、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどに高給を求めていってしまう、という説明でした。

確かに当時、中国の優秀な会計士はみな英語を話しました。
勤めていた監査法人のグローバルミーティングに参加したとき、昼食時にたまたま座ったテーブルが中国人ばかり。失敗したなと思っていたら、私が日本人だと分かってそれ以降全員が英語で話し始めました。しかもかなり流暢です。

日本の将来

日本の賃金は30年間上がっていません。
その間に海外主要国の賃金は上がり続けました。2022年にはアメリカ、イギリス、韓国の平均賃金は日本の1.9倍、1.3倍、1.2倍となっています。(OECD統計による)

日本はようやく物価が上がり、賃金も上がり始めていますが、今のペースでは追いつきません。

何とか巻き返しを図りたいところです。しかし、我々は巻き返せないシナリオも考えておく必要があります。

日本の賃金が低迷し続けたときに何が起こるか

賃金格差が拡大して、例えば海外主要国の賃金が日本の3倍になったとします。何が起こるでしょうか?
中国の話を思い出してください。

20年前の中国と将来の日本では状況があまりに違うため、比較することに抵抗があるかもしれません。
しかし、海外との賃金格差が大きいときに何が起こるか考えるうえでは参考になります。
すなわち、日本人のうち外国人とのコミュニケーションに問題のない人は、海外に行って3倍の賃金を得る選択肢ができます。さらに優秀な人は、5倍以上もらえることもありえます。

あるいは、日本にいながら、リモートワークで海外企業のために働くこともできるでしょう。
また、インバウンドの富裕層観光客や日本に投資する海外企業と取引するチャンスもあります。

結果として、日本人の賃金格差が今とは比較にならないくらい拡大する可能性があります。
そんな格差社会にならないように努力する必要はありますが、個人としてはそうなるシナリオも想定して準備をしておかないといけません。

格差社会を生き抜くために

日本人の賃金が大きく二極分化した場合、上位層に食い込むためには、外国人とのコミュニケーションに支障のないことは最低条件だと思います。

インバウンドの観光客や投資を相手にする場合は、日本語のできる日本人であることはメリットになります。カタコトの英語でも、海外の人は付き合ってくれるでしょう。3倍近い賃金を出せば、コミュニケーションに問題のない人を雇うこともできます。

しかし、海外で働く場合は相当なハードモードを覚悟する必要があります。
海外企業は、出身はどこの国でもよいので仕事ができる人に来てもらいたい。そこでは、コミュニケーションはまったく支障がなくて当たり前、少しでも難があればそれを上回るメリットを出せるのか、が問われます。

外国人とのコミュニケーション能力を鍛えるにはどうすればよいか。
海外で働くか、海外で勉強する。私はこれしかないと考えています。

日本でも英語は勉強できます。しかし、今より英語ができるようになる程度では、「コミュニケーションにまったく支障がない」とはとても言えません。
日本にいる外国人も、海外にいて日本と接点の多い外国人も、日本人とのやり取りには慣れています。日本人に分かるように話してくれますし、日本人の発音を理解してくれます。これは甘やかされた環境です。
日本のことを何も知らない容赦ない世界に身をさらしてはじめて、真のコミュニケーション能力が身につきます。すなわち、海外に行ってそこで苦労する、ということです。

なお、個人で、あるいは日本人が集まって世界に通用する製品やサービスを開発できれば、高収入を得られます。海外とのコミュニケーションは誰かに任してしまえばよいのです。
しかし、そんな開発が成功するより、自分のコミュニケーション能力を高める方がよほど確率が高いと思います。

おわりに

今後、日本と海外の賃金格差は解消するかもしれません。
また、日本が著しい格差社会にはならないかもしれません。私はそう願っています。

しかし、格差が大きくなる可能性は残念ながらかなりあると思います。そうなった場合にあわてたり、後悔しなくてよいように、今からできる準備はしておくべきです。
特に、20代、30代の人にこそ真剣に考えていただきたい問題です。40代以上は逃げ切れるかもしれませんが、若い人はキャリアの途中で直撃することになります。

ちなみに、AIによって言葉の壁が完全になくなる世の中になるかもしれません。その場合は、世界中の優秀層が日本に来られるということを意味します。低賃金を覚悟したとしても、日本は安住の地とは言えないかもしれません。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはTwitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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