監査人は英語の勉強こうしたら?
てりたまです。
高校生のときに1年間、監査法人に入ってから4年間をアメリカで過ごしました。また、監査法人では、帰国後も海外の監査人と頻繁に英語でやり取りしています。
ときどき英語の勉強法について質問を受けることがあります。そのときの私の回答をご紹介します。
監査人は英語の勉強に有利?!
まずはGood newsから(いきなり英語…)。
監査人や企業の経理担当者は、英語の勉強に有利です。
以下、その理由を挙げます。興味ない方は「英語の勉強は詰め込み式で」まで飛ばしてください。
会計も監査も、英語圏で発達したものを導入している
会計も監査も、もともと欧米で発達した技術を日本に輸入したものです。
欧米人の思考回路の中で生まれたもので、基本的な概念に違いはありません。
用語が一対一で対応している
在庫がInventory、売上高がNet salesというように、対応した用語があります。在庫や売上高が何かは分かっているので、対応した言葉が分かれば、すぐに使えます。
何を言いたいのか想像しやすい
英語のリーディングやリスニングで障害になるのは、「だいたいこんなことを言っているようだが、間違っているかもしれない」という気持ち悪さです。
会計や監査が分かっている人であれば、いくつか単語が分かれば、おおよその想像ができます。これは英語を理解する上で強いサポートになります。
日英対訳の教材が豊富
会計基準は、国際的な統一化(コンバージェンス)の流れの中で、ほぼ同じものを日本でも導入しようとしています。最近の新収益認識基準がその典型です。
監査基準に至っては、2007年以降は国際監査基準の和訳を日本に持ち込んでいます。
こうした公式の日英対訳文書は、心強い教材になります。
英語の勉強は詰め込み式で
Good newsの次は、Bad news。それは、地道に継続しないと英語が使えるようにならない、という当たり前のことです。
上に書いたようにすでに有利な位置にはいるのですが、それでも相当な努力が必要。
オススメの勉強法は、シンプルです。
順に説明します。
ある程度の長さのまとまった文章をたくさん用意する
10~20文程度の文章をそろえましょう。
会計や監査に関係のある文章だと実務に直結してよいのですが、次に耳で聞かないといけないので、音声があるものにしてください。
e-learningの音声でもOKです。一つひとつ、耳鳴りがするほど聞き続け、吐き気がするほど暗唱する
まず、ひたすら聞き続けます。聞き飽きてうんざりしてきます。それでも聞いていると、「はいはい、How…で、First…で、Next…で、Finally…ね、もう分かったよ」と、耳で聞いているのか、覚えているから記憶から出てきているのか分からない状態に。
次に口に出してみましょう。意外と細かいところは覚えていないもの。歌を覚えるように、意識しなくても口から出てくるくらいまで続けます。ひたすら継続
これを毎日少しずつでも、延々と続けます。
言っておきますが、ほとんどの人は続けられません。
でも、技術を身に着けるとは、こういうことです。近道はありません。
最後にFAQです。
Q この勉強法は、どんな理屈?
英語を勉強すると、頭の中にある引き出しの数が増えていきます。英語で話すときは、関係しそうな引き出しを開けて、出てきた言葉をつなぎ合わせて言葉にします。
引き出しに単語の形で入っていると、つなぎ合わせるのがたいへん。まとまった文章をインプットすると、複数の単語のまとまりとして、前後の関係とともに引き出しに格納されるイメージ。また構文も別の引き出しに入ります。この方が利用するときに便利です。Q オンライン英会話の方が手っ取り早いのでは?
オンライン英会話は、自由な時間に安価で受講できるのがとてもよいと思います。発音の改善とともに、すでにある引き出しの使い方がうまくなります。
しかし、引き出しを増やすためには、まとまった文章のインプットの方が有効です。Q 「まとまった文章」のおすすめはある?
会計・監査関連ではないですが、英検用の「文で覚える単熟語」(略称:文単)が参考になります。「文単」の準1級用が頭に入ると、相当インテリジェンスの高い会話ができます。ハードルが高い場合は2級用で。
すべての参考書を見て「文単」が最高、と言っているわけではないので、準1級用(または2級用)を眺めてイメージをつかんでいただいて、類似の本で気に入ったものを選んでください。
なお、「文単」にしてもほかの参考書にしても、完全制覇することが目的ではなく、1ページ覚えると1ページ分の力になります。最初のページから始めるのではなく、興味のあるところ、仕事に役立ちそうなところを選んでください。Q これって、「監査人のため」に限ったものではないのでは?
確かに… 監査人のようにレベルの高い方々にふさわしい勉強法、とご理解ください。
おわりに
幸いにして日本は英語を使わなくても生きていけますが、英語ができる方が仕事の幅が広がります。
また、日本経済が成長軌道に戻ってほしいと切に願うものの、日本に全フリすることは個人としてはリスクがあります。英語を使えるようにしておくなど、海外で報酬を得られるように準備することが皆さんの将来を確実にすると考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのコメントや、Twitter(@teritamadozo)などでご意見をいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。
てりたま