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監査シニアスタッフは板ばさみでたいへん?【監査スタッフ向け】

ある監査スタッフいわく、「シニアスタッフは、マネジャーからもスタッフからもいろいろ言われて対応しないといけないので、たいへんそう」。実際はどうなんでしょうね?


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

監査スタッフの方から、こんな質問をいただきました。

シニアスタッフは、上からも下からも対応を求められ、たいへんそうで不安です

ふむふむ、確かに。
実際のところどうなのか、考えてみましょう。



🥪板ばさみはシニアスタッフだけじゃない

最初に嫌なことを言いますが、板ばさみはシニアスタッフだけじゃないんです。

まず、マネジャーやシニアマネジャーの上にはパートナーがいるので、板ばさみの構図があまり変わらないのは想像しやすいでしょう。

さすがにパートナーになれば、経営層なので板ばさみから解放されると思いますか?
上場企業は複数のパートナーで担当することが多いので、先輩パートナーと組むことになります。「先輩」といっても、最近まで上司だったり、ひょっとすると監査法人に入ったときにすでにパートナーだった人かもしれません。
その人のキャラにもよりますが、気も使いますし、相談したり、指示を受けたりもします。

監査法人のトップになったらどうでしょうか?
上を見ると、税務やFASなども含めたグループのトップがいます。
グループのトップになったとしても、グローバルファームの誰かに報告しないといけません。
いつになっても上司はいて、一方で部下の数は増えますので、板ばさみの問題は継続します。


🥪組織につきものの板ばさみ

上司がいて部下がいる、という状態は、もちろん監査法人などプロフェッショナルファームだけではありませんよね。事業会社官庁も、学校などの教育機関に勤めたとしても同じです。

なぜ、板ばさみになりながらも大多数の人たちが組織を構成しているのか。
それは、組織の方が、より大きなことを、より小さなリスクでできるからだと思います。

人数の多い少ないだけでなく、個人の足りないところを埋めあえることも組織のメリット。スーパーマンはいなくても、得意なものを持ち寄ってチームを作ることができますよね。


🥪板ばさみの中でどう生きるか?

質問をいただいた方は「不安です」とのことでしたので、組織の中でどう考えて行動すればよいかもお話ししておきましょう。

🔸同じ目標を共有する仲間

まず、上司も部下も、同じ目標に向かって努力する仲間だと認識する必要があります。
お互いプロフェッショナルなので、上司の指示は絶対ということはなく、上司が誤っているときや自分の方がよいアイデアを持っているときは、それを伝えればいいんです。
その上で上司が意思決定したら、それに従って行動します。

🔸上司・部下は、役割の違いと割り切る

ある監査チームが特殊なスキルを必要とし、そのチームに所属しない私がたまたまそのスキルを持っていたとしましょう。私がパートナーだとしても、私をスタッフとしてアサインすることがあってもよいと思います。
その場合、私はそのチームのシニアスタッフの指揮下に入ります。シニアから指示を受け、調書をレビューしてもらい、レビューメモに対応します。

実際には、その人にしかないスキルなんてほとんどなく、またスタッフワークする時間もないので、そんなことはほとんど起こりません。しかし、理屈の上では可能です。

何を言いたいのかというと、パートナーもシニアスタッフも、絶対的な上下関係があるわけではなく、役割が違うだけ、ということです。
サッカーのフォーメーションのようなもので、フォワードもいればディフェンダーもいて、誰が偉いとか関係なく、全員が役割を果たさなければ目標に到達しない、ということになります。

🔸心配しなくても、慣れます

誰でも経験したことがないことは不安なのは分かりますが、過去、ほとんどのスタッフはシニアスタッフとして活躍しています。そしてマネジャーに昇格したり、惜しまれながら(😭)退職していきます。
だから、大丈夫です

私もシニアスタッフになったばかりのときは、肩に力が入っていたと思います。
担当していない監査チームにスタッフとしてアサインされたときに、「言われたことだけやっていればいいのは、こんなに楽だったんだ」と気づきました。

慣れないといけないのは、シニアスタッフになると担当するタスクが大幅に増えることです。部下の面倒を見たり、クライアントから相談されたり、上司からぼんやりした指示が飛んできたり、多数のタスクを抱えることになります。
そこで、タスクを管理する方法を確立しておく必要があります。ただそれは、マネジャーになっても個人開業しても、役に立つことです。


🐣おわりに

書いているうちに、シニアスタッフになってからのことを心配している人は、どれくらいいるんだろう、と私のほうが心配になってきました。
ただ、質問者の方お一人はいらっしゃることが分かっているので、その方に届けばと思います。

きっとシニアスタッフになり、マネジャーになれば、スタッフ時代に心配していたことを懐かしく思い出すことになります。
これからの大きな飛躍のために、この記事が参考になれば幸いです。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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