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ターフ童話 こわいオオカミとらんすひつじ
ターフ童話①
こわいオオカミとらんすひつじ
オオカミとひつじがいる国がありました。オオカミは、ひつじを襲います。ひつじたちはオオカミが怖いので、ひつじの仲間どうしで村をつくって暮らしていました
ある日、ひつじたちの村に、一匹のひ弱そうなオオカミがやってきました。羊のマネをしているつもりなのか、ごわごわの紙でできた粗末な帽子をかぶって、灰色く薄汚れた羽毛のコートを着ています
ヒツジのマネをしているオオカミは、村の門の前でこう言いました。
わたしはひつじなの!生まれたときから自分は狼じゃないって、ずっと思ってきた。あなたたちの村に入れて、ひつじの仲間にしてください。
ひつじたちは、声を揃えてメエメエギイギイ笑いました。
めえ〜めえ〜。あんたがひつじ?どこが?あんたはどう見たってオオカミだよ!ここはひつじたちだけの村!私たちは安全に暮らせる場所をやっと手に入れたんだ。オオカミ入れるなんてぜったいに絶対にありえない!オオカミの村に帰りな!
心がひつじだというオオカミは、泣きそうな顔で言います
どうか!お願いします!わたしはオオカミたちの村ではいじめられて、どこにも居場所がありません。毎日つらいんです。家族からも見捨てられました。友達は誰もいません。このままだとひとりぼっちで死んでしまいます…
ひつじたちは笑い出しました。
めえ!めえ!あははは!死ぬなら死ねばいい!この世界からオオカミが一匹消えて、私たちはせいせいするよ!めえ〜!めえ〜!
心がひつじだというオオカミは涙を瞳いっぱいにためて、今にも泣き出しそうです
その姿を見て、羊たちはもっと追い詰めてやろうと思いました。これまでいつもいつもオオカミに苦しめられてきたのです。今度は私たちの番です
そんなに羊の仲間になりたいの?
心がひつじのオオカミは涙をいっぱいに瞳にためて、ぶんぶんとうなづきます
あんたのその鋭い牙、おおこわい!尖った爪!おおこわい!大きなお口、大きな耳、どう見たってオオカミだよ。そんなひつじがいるもんか!
なんでもします!この牙がこわいなら抜きます。この爪がこわいなら切り落とします!
ひつじたちはニヤニヤ笑いながら言います
ふーん、それじゃあ、あんたのそのキバをぜんぶ抜いて、手指の爪も削ぎ落として、オオカミの口も整形手術して来なさい。そうしたら仲間に入れてあげるか考えてもいい、わ、よ?
心がひつじのオオカミは、嬉しそうに頷くと、勢いよく駆けて行きました
羊たちはシープズトークします。ふふふ、あのオオカミ本当に牙を抜いて、爪も削ぎ落としてくるかな?そうしたら、あの弱そうなオオカミはもっと弱くなるでしょう。今までのぶん、たっぷり復讐してやりましょう