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93歳の方のお姿に教えていただいたお荘厳の意義

秋季彼岸の週末、
93歳の方が、遠方から初めてお参りに来てくださいました。
「あぁ、良かった。こんな綺麗なところに…」
と、御本尊の前で手を合わせ、大切な人を想い、涙を流されていました。

寺嫁お京は、お茶請けをお出ししながら、ハッとしてグッときていました。
荘厳しょうごんをする意義って、そういうことなのか・・・と。

寺嫁お京、結婚して初めてのお寺の法要で、お内陣ないじんを見た時に、「なんで、こんなに豪華なの?」と、住職(夫)に聞いたことがありました。
「お浄土を表している」と、その時、きちんと”なぜ”の説明までしてくれていました。
その時は分かったつもりだったのですが、日々、教えられることを覚えることに重きを置いてしまい、私のお荘厳は、その並びや配置、形式、方法を覚えた通りに行うルーティーンになっていました。
もちろん、マニュアルは大切です。
その一方で、その意義がおそろかになっていたのでした。

仏説阿弥陀経

極楽浄土は、「仏説阿弥陀経ぶっせつあみだきょう」というお経の中でこう説かれています。以下、現代語訳から抜粋ですが、さらに、省略しています。

極楽世界には七つの宝でできた池があって、不可思議な力を持った水がなみなみとたたえられている。池の底には一面に金の砂が敷きつめられ、また四方には金・銀・瑠璃・水晶でできた階段がある。岸の上には楼閣があって、それもまた金・銀・瑠璃・水晶・硨磲・赤真珠・瑪碯で美しく飾られている。また池の中には車輪のように大きな蓮の花があって、青い花は青い光を、黄色い花は黄色い光を、赤い花は赤い光を、白い花は白い光を放ち、いずれも美しく、その香りは気高く清らかである。・・・(以下省略)


その景色を想像してみると、まさにお内陣なのです。

壁や支柱、金灯籠かなどうろう輪灯りんとうは金色に輝き、
深く彫られた蓮の花は赤や青や白などに装飾され、金色の蓮が咲き誇る欄間。その金色を照り返す漆黒。

お参りにこられた方が、御本尊を前に手を合わせ、それぞれの想いと向き合うことができるように。
そのための時間・場づくりが、私たちが担っている役割なのだと、深く気付かされました。

住職から教えてもらったこと、お荘厳の実際、御門徒ごもんとさんの想い、が繋がったこの瞬間は忘れずにいたいです。

余談ですが、ルーティーンでもお掃除、お荘厳、頑張っててよかったなぁ・・・と心底思いました。

今後は、それぞれのお荘厳の意義やこれらを作ってくださっている職人さんにも目を向けて、お寺の魅力を発信していきたいと思います。

最後まで、お読みくださりありがとうございました。

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