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構造解析を無料のソフト「FreeCAD」で行う方法①

構造解析を無料で行う方法をここで紹介します。
使用するソフトは「FreeCAD」です。
インストールする手順は以下で紹介しています。

インストール以外の設定は不要ですので、すぐに試すことが可能です。


解析の目標を決める

解析はやみくもにすればよいわけではありません。
ここでは、以下サイトから曲げの変位を計算します。
梁のたわみと応力計算ツール (d-engineer.com)

条件は「片持ち」「集中荷重」とします。
他の条件は以下です。
・断面条件は「四角」
・材質はA5052
・パラメーター
 はりの長さL:500mm
 荷重F:10N (1.020kgf)
 幅b:50mm
 高さh:5mm
これを打ち込んで、「計算する」をクリックすると結果がでます。
結果は「12.836」mmです。
この変位を目標にして、解析を行います。

FreeCADにデータを読み込ませる

FreeCADで図面を描けますが、描きにくいので他のCADで描くことを推奨します。
他のCADで設計したデータをSTEPデータに変換すれば、FreeCADに読み込ませることが可能です。

使用するデータをダウンロードする

この記事では500×50×5のアルミの平板を、他の曲げツールと比較しながら進めます。
アルミの平板は以下STEPデータをダウンロードしてください。

FreeCADを起動する

FreeCADをデスクトップ上のアイコンから起動します。

STEPデータを読み出す

FreeCADが起動したら、左上にあるフォルダのようなアイコン(下の赤枠のアイコン)をクリックして、上でダウンロードしたデータ「500×50×5_demo.STEP」を開きます。

以下のような画面になれば、読み出しが完了します。

解析条件を設定する

FreeCAD上で図面を回転させるためには、右上のサイコロのようなアイコンで行います。
他には、ホイールボタンを押しながらだと「平行移動」、ホイールボタン+右クリックを押しながらだと「回転移動」を行うことが可能ですので、試してください。

FreeCADを解析できる状態「FEM」モードにする

FreeCADには「ワークベンチ」と呼ばれるモードの切り替えができます。
切り替えは「START」のアイコンから変更可能です(下の赤枠です)。
「START」から「FEM」のモードに切り替えます。

解析条件を設定できるようにする

FEMモードに切り替えることで、たくさんのアイコンがツールバーに出てきます。
その中の「A」というアイコンをクリックすることで、解析条件を設定できるようになります。
左の枠(コンボビュー)に「Analysis」という文字が出てきます。

拘束条件を設定する

拘束条件とは、どこを固定するかということです。
固定端または自由端がそれに該当します。
ここでは、最初の「片持ち」を再現します。
鍵付きのアイコンをクリックします。

「追加」を押して、ホイールスクロールで平板を大きくして選択しやすいようにし、片面をクリックすることで、枠内に「Part_Feature:Face3」が出てきたら「OK」を押して完了します。
他にも、下のように赤い板のようなものが出てきたら拘束していることを視覚的にわかります。

荷重を設定する

平板にかかる荷重を設定します。
ここでは「集中荷重」の「10N」を再現します。
矢印のついたアイコンをクリックします。

先ほどと同じように「追加」をクリックし、平板の固定側とは逆の面のエッジ(面ではなく角)をクリックします。
すると以下のような矢印が出てきます。
これはz方向に力が加わるということです。
しかし、ここではy方向に力を加える必要があるので方向を変更します。

「方向」をクリックし、面をクリックします。
すると「Part_Feature:Face4」という文字が出てきます。
あとは荷重を10Nに変更して、完了です。

重力を設定する

平板自身の荷重も加味する必要があるため、重力を設定します。
緑色の下向き矢印のアイコンをクリックすることで、「ConstrainSelfWeight」が出てくるので、そこで「Gravity」を設定します。
デフォルトでは(x,y,z)=(0,0,-1)になっていますが、ここでは(x,y,z)=(0,-1,0)にします。

材料を指定する

平板をアルミニウムに指定します。
丸いアイコンをクリックします。

マテリアルカードを「Aluminum-Generic」に変更します。

メッシュを作成する

解析にはメッシュを作成する必要があります。
メッシュを細かくすることで精度があがりますが、計算時間がかかります。
逆にメッシュを粗くすると精度は下がりますが、計算時間は早くなります。

メッシュ作成は、平板をクリックしたら、Nとかかれたアイコンのグレイアウトが解除されます。

解析設定は以下です。
・最大サイズは10~100程度が目安で今回は「10」 
 ※最大サイズを1~5にするとかなり計算時間がかかります
・2次精度にチェック
・細かさは「細かい」
・最適化にチェック

解析を実行する

計算を行う

計算の実行は「Solver」のアイコンをクリックし、コンボビューに出てくる「SolverCcxTools」をクリックすると、「ソルバージョブ制御」(下の矢印のアイコン)が選択できるようになるので、それをクリックすることで計算が始まります。
コマンドプロンプトの枠が出てきて、形状やメッシュに応じた時間がかかります。
例えばアルミフレームなどは複雑形状のため、10分くらい計算にかかります。
計算が完了したら、最後に変位を確認します。

計算結果を確認する

計算が完了したら、コンボビューの「CCX_Results」をダブルクリックします。※クリックではないです
そこで「変位の大きさ」を選択することで、曲げの大きさを確認できます。
ここではy方向の変位以外はμmスケールのため、影響はありません。

結果は「12.65」mmとなりました。
初期の計算では「12.836」mmで、ずれています。

ポアソン比による影響

これは「ポアソン比」を調整することで合わせることができます。
ポアソン比は横ひずみと縦ひずみの比率のことですが、上のツールでは梁の曲げ計算では織り込まれておりません。
解析では織り込まれているので、この値を「0」にすることで計算値があいます。

ポアソン比の変更は、材料のアイコンを選択します。
「このタスクパネルを使用」をチェックし、ポアソン比を「0」に変更します。

結果は「12.84」mmとなり、初期計算結果「12.836」mmと合いました。
ポアソン比は縮みに反映しているので、解析値の方が実際には近い値になると考えます。

最後に

今回は500×50×5mmという平板で行いました。
これは計算を合わせる目的もありました。
次回は曲げを加えて、より実機に近い形で解析を行いたいと思います。
手順はここを参照とするので、この記事を一通りしてもらえると、構造解析の流れがわかります。

構造解析について色々ご相談がありましたら、そのお手伝いをさせていただければと思いますので、以下XのDMまでお気軽にお問い合わせください。

Xのプロフィール:https://twitter.com/terato0807

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