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様々なところに使われているモーター

私たちの周りにはモーターが使われている製品がたくさんあります。例を挙げると電気自動車、空調、産業機器など多岐にわたります。これら製品は用途も様々であることから、要求する性能が異なることもあり、色々なモーターが使われています。モーターの種類を知ることで適切な選定につながるものかと考えます。


モーターの使われているところ

モータは様々なところに使用されます。私が実務を通して知見を得られた製品を紹介します。

  1. 電気自動車

    1. 駆動モーター

    2. 電動パワーステアリング(EPS)用モーター

    3. トランスミッション用モーター

    4. ESC(横滑り防止)用モーター

    5. ABS(アンチロックブレーキシステム)用モーター

    6. オイルポンプ用モーター

    7. カーエアコン向けモーター

    8. 電動パーキング用モーター
      ※これらは一例です

  2. 空調

    1. ファン用モーター

    2. 圧縮機用モーター

    3. ルーバー用モーター

  3. 産業機器

    1. サーボモーター

    2. ステッピングモーター

    3. ブラシ付きモーター

どのようなモーターが使われているか

電気自動車向け

駆動用モーターやインホイールモーターといったエンジンに代わるモーターはブラシレスDC(BLDC)モーターが使用されます。
BLDCモーターは長寿命のモーターで、一般的にはネオジム磁石やフェライト磁石などの永久磁石が使用されたモーターを指します。
現在BLDCモーターは様々な研究がなされており、小型でありながら高トルクを出すことが可能になっています。
BLDCモーターの制御方法はインバータを使った駆動方法が使用されます。インバーターは直流電源を交流電源に変換する機器のことです。
BLDCモーターは交流の電流に合わせて回転するので、インバーターを使って交流の周波数を変換することで、任意の回転数で運転することができます。BLDCモーターはとても使いやすいのですが、制御がとても難しくコストがかかります。
BLDCモーターが使われているのは、上の例ではEPS用モーター、カーエアコン向けモーター、一部オイルポンプ用モーター、一部ESC用モーターになります。

他方、ABS用モーターはブラシ付き直流モーター(ブラシモーター)が主流です。
ブラシモーターは直流を直接通電するだけで運転させることができるモーターです。
ブラシと呼ばれる部品が通電することで回転力を生み出します。
ブラシモーターはPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)という制御を用いて回転数操作を行うことができます。
こちらの制御は比較的簡単なため、安価に作ることが可能です。
ブラシモーターはブラシがすり減りやすいことから、寿命の短いモーターです。
ただ、BLDCモーターにくらべてとても安価にできるため、電動パーキング用モーターやECS用モーターとオイルポンプ用モーターの大部分で使用されています。

整理すると以下のような表で表せられます。

空調向け

ファン用モーターや圧縮機用のモーターは長寿命が求められるため、DCBLモーターが主流となっています。
最近のエアコンがインバーターエアコンと呼ばれているのは、DCBLモーターが使用され、インバーター制御で運転されているからです。

他方、厨房向けやダクトタイプなどのビル向けの大型エアコンには誘導モーターが一部で使われています。
誘導モーターはAC電源で動かすことができます。
加えて、BLDCモーターのように制御の難しいモーターと違って、脱調(ローターが制御された電流に追従せず、急な減速や停止になること)が起きにくいモーターでもあります。
デメリットは、モーターがBLDCモーターよりも大きくなる、発熱が大きいことがあげられます。
価格としては、以前は誘導モータの方が安価でしたが、BLDCモーターの普及から大逆転現象が発生しており、誘導モータの方が若干高くなりつつあります。

ルーバー用のモーターは、ステッピングモーターと呼ばれ、直流電源で運転します。
BLDCモーターと同様にブラシレスのため長寿命なモーターになりますが、制御方法が違います。
ステッピングの名の通り、ステップした制御ができるモーターです。
ステップ制御が簡単にできることから、ルーバーなどの角度調整が必要な個所にぴったりです。

まとめると以下になります

産業機器向け

産業機器によく使われるサーボモータはBLDCモータです。
高効率高トルクが実現できるため、ロボットやラインとなる機器によく使われます。
ステッピングモーターは位置決めが容易で追従性が良いため、ボールタイプのリニアモーターや中空アクチュエータによく使われます。
ブラシ付きは切り替えスイッチに使われることが多いです。

モーターをどう置き換えていくか

モーターの選定はコストと騒音の兼ね合いになります。基本はBLDCモーターへの置き換えになるでしょう。
各モーター置き換えのメリットデメリットを比べます。

①AC誘導モーターからBLDCモーターへの置き換え
メリット
 ・回転数を一定にできる
 ・高効率になる
 ・小型化できる
 ・トルクアップ
 ・騒音対策しやすい
 ・内外輪温度差の考慮がなくなる
デメリット
 ・制御にコストがかかる
 ・軸電圧への対策が必要
 ・モーターの単価が高くなる(場合により安くなる可能性もある)

②ブラシ付きモーターからBLDCモーターへの置き換え
メリット
 ・回転数一定の精度が上がる
 ・高効率になる
 ・トルクアップ
 ・騒音対策しやすい
 ・高寿命になる
 ・ブラシ交換不要
デメリット
 ・制御が複雑になる
 ・制御のコストアップ
 ・モーター単価が跳ね上がる(倍以上になる可能性大)

③ステッピングモーターからBLDCモーターへの置き換え
メリット
 ・高効率になる
 ・高速回転ができるようになる
 ・高イナーシャ(慣性モーメント)に対応可能
デメリット
 ・制御が複雑になる
 ・制御のコストアップ
 ・モーター単価が上がる
 ・追従性がなくなる

置き換えによりメリットは大きいです。
「トルクアップ」や「効率向上」は省エネ時代には必須の項目になります。
デメリットとしては大きくまとめると「コストアップ」です。
BLDCモーターの制御は難しいのですが、制御技術は確立しているので制御ができない状況にはならないと思います。

ただし、ステッピングモーターについては置き換えのメリットが少なく、検討する必要性がありません。
ステッピングモーターもかなり使いやすいので、分厚くて径の大きい円盤といった高イナーシャになるものを回すときにBLDCへの置き換えを検討すればよいかと思います。

お困りごとがあれば

モーターについての選定など、各メーカーが選定ツールを出しており、便利になりつつあります。
しかし、選定ツールは自由度が高いので、それらを駆使するのも難しい方もいらっしゃると思います。
そのお手伝いをさせていただければと思いますので、以下XのDMまでお気軽にお問い合わせください。

Xのプロフィール:https://twitter.com/terato0807

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