アイスホッケーイロハの「イ」
ご安心ください。
※まさかイロハの「イ」で死ぬことはございません。
さて、熱戦が繰り広げられている女子アイスホッケー。
私も解説経験者なのでわかりますが、スポーツの中でも屈指のスピード感で展開されるアイスホッケー。咄嗟に出た言葉、アイスホッケーを知らない人の為に砕いてるつもりのワードが視聴者にとっては「?」となっている人も多いかと思います。
ちなみに解説の山中さんは一生懸命砕いて伝えようとしてくれてます。
そこで!
今回はアイスホッケーのイロハのイとして、めちゃくちゃ入口の知識からアイスホッケーを少し上手に見る方法まで、北京五輪の解説を狙っていたテラオさんが無念ながら地元苫小牧よりアイスホッケーに興味を持っていただいた方々に愛を込めてお伝えします。
ぜひ、次戦をご覧になる前にここまで用語やルールに「?」となった方はご覧ください。
時間
最初に
アイスホッケーは何分間やるの?
20分間を3回・・計60分間 戦います。
プレーが止まると時計も止まり、ピッタリ20分を3回です。
なのでロスタイム的なものもありません。
1回目の20分間を「第1ピリオド」
2回目の20分間を「第2ピリオド」
3回目の20分間を「第3ピリオド」または「最終ピリオド」
と呼び、各ピリオドの間には休憩タイム(オリンピックは15分間)があり
カーリングとは違い、一旦控室に戻りますので休憩の様子は見られませんが、選手によってはウィダーのようなもの、バナナ、はちみつ漬けレモン、サプリメント等々、ドーピングに引っかからないものを、もぐもぐタイムする人もいます。
※ちなみに、いちごを食ってる人は見たことありません。
~お得情報~
ピリオドを略して「ピリ」を使うと、知ってる人からすると「おっ?」となりますので大変オススメです。
「いや~昨日のスマイルジャパン、1ピリの入り良かったよねぇ~!」
「いや~昨日の井上、2ピリの失点マジいらなかったよねぇ‥」
なーんて使ったらもう貴方は他より一枚上手。
球・円盤 と 杖・棒
「あれ!あれ、なんっつーの?球みたいな円盤みたいなやつ」
こちらパックと言います。
なんとなくかわいい響きでしょ?(彼とは無関係です)
機能性を損なわなければこのパックに印刷を入れたりしてOKです。
今回の北京オリンピックでもオリンピックイメージの印刷がなされており、こうすることで記念・価値になります。
が、ただのパックで他と変わりありません。
素材は硬質ゴムで非常に硬く、当たれば平気で骨折します。
さらには不幸にも亡くなってしまった方もいます。
その可能性が十分にあるってのに、
こうやって‥
あ、違いました。
命をかけてシュートからゴールを守るってんだからホッケープレーヤーは頭おかしいです。
と、ちょっとズレましたが球・円盤はパック!
特に略もなくパックでオッケーです、恥ずかしくありません。
さぁ一緒に!SAY!!
「パック!!」
ちなみに、アイスホッケー好きな人が飼うペットの名前ランキング3位が「パック」です。
※2022年2月 独自調査結果
そしてもう一つ
「あれ!あれ、なんっつーの?棒みたいな杖みたいなやつ」
これはスティックと言います。
凄く軽くて最新モデルで現在は約385g
ちなみにスティックのそれぞれの部位名称は以上の通り。
曲がり方にも柔らかさにも角度にも色々あったりします。
長くなるのイロハの「イ」では割愛。
チェック
そ、そらぁそうやろ‥。
セクハラ的な観点からも常識です。
ですがこの「チェック」今の実況・解説者さんは優しいのでちょこちょこ次のように言ってくれますね。
チェックいわゆる「ボディコンタクト」が禁止されています。
こんなことや
こんなことが禁止されている、という事です。
こういう激しいぶつかりから氷上の格闘技と言われるわけです。
氷上の格闘技=乱闘 ではありません。(一部ではありますが‥)
次にホッケーを知ってるけど女子ホッケーをあまり知らない人からよく聞かれる質問。
質問者「女子ってチェック禁止じゃないの?」
私「はい‥。だから禁止って言ってるじゃん」
質問者「エッ?禁止なのにこれはいいの?」
私「はい、これはチェックではなく【競り・身体寄せ】です」
質問者「は?なにそれ、意味わからん」
結論
こればっかりはレフェリー(審判)の判断次第ですが
もちろんその時に掴んだり、引っかけたりすればそれは男女共に共通で反則になります。
さらに表現すれば
サッカーくらいの競り合いならオッケー。
ラグビーくらいのぶち当たりはダメ。
ねっ?わかりやすいでしょ?
天才。
はい、次。
エリア
エリアについては人によって色々な呼び方があります。
そして上級になればなるほど細かなエリアを色んな呼び方で表現します。
「ロイヤルロード」なんてそれはそれは華々しいエリア名もあります。
今回はイロハの「イ」なので簡単に
3等分して守り・真ん中・攻めでこんな感じです。
~お得情報~
主に
守り→自ゾン(自分のゾーンという意味)
真ん中→ニュートラル
攻め→アタッキング
と表現すれば、知ってる人からすると「おっ?」となりますので大変オススメです。
人(ポジション)
アイスホッケーの人数って何人?
それぞれの役目は?
まずは欠かせない守護神的存在
GK(ゴールキーパー)
アイスホッケーではゴーリーと呼んだりします。
一人だけ全ての装着品が違います。
もちろんそれぞれの防具は重く、パックが当たっても痛くないようにできているのですが受け方・場所によっては骨折も平気でします。
ただし、裏面(背中側)はほぼ何も付いてません。
(基本的には体の正面で受けるから当たり前ではありますが)
実はユニフォームなんかもGK用に特注なんですよ。
ちなみにスマイルジャパンでは彼女達がその役目(GK)を担っています。
そしてこのGKを除く
プレーヤーと呼ばれる選手は氷の上に5人
それぞれに呼び方があり主な役割があります。
じゃん!
オリンピックなので特別に使っているアプリ画面をそのまま公開。
まずはセンターフォワード
こちらの代表的な役目はフェイスオフ
フェイスオフとは、試合が開始または再開される時にレフェリーがパックを素手でリンクに落とし、それを両チームのセンターフォワードが「せーのっ」で取り合うシーンのことです。
ちなみに先日、解説でご一緒させていただいた上杉周大さんはこの「フェイスオフ」という言葉を覚えて満足しておりました。
また、氷の上では攻守に貢献しなくてはいけないポジション。
攻めへの加勢はもちろんですが、守りも意識しながらリンク上の状況を把握し動き回る役目があります。
さらにはセンターという名前だけあって真ん中に位置することが多く、自分にとって両サイドにホッケースペースがあるので広く状況を捉えて両サイドにパックを捌きながらホッケーをする必要があります。
だからセンターはマジ大変。(という個人的イメージ)
ちなみにスマイルジャパンでは彼女達がその役目(CF)を担っています。
次にウィングフォワード
右側にいるのがライトウィング、左側にいるのがレフトウィング
ウィング→フォワードという場合もありますね。
スティックの曲がりがライトハンドなのかレフトハンドなのか、得意・不得意、作戦などによってライトかレフトかを決定し位置します。
主にサイドを駆け上がってチャンスメイクをしたり、実際に点を取ったりする役目です。
もちろん状況次第で守りにも加勢します。
(ここ細かく説明すると長くなのでイロハの「イ」では省略)
ちなみにスマイルジャパンでは彼女達がその役目(WF)を担っています。
※前述のセンターも含み前線(攻め)で戦う3名を総称して「フォワード」と言ったりします。
そして最後にディフェンス
ウィング同様、右側にいるのがライトディフェンス、左側にいるのがレフトディフェンス
ライトかレフトかの決定も基本的にはウィング同様です。
但し!!(補足)
ウィングもディフェンスも私がライトだからと言って常に右側に位置してホッケーをしているわけではありません。
流れの中で本来とは逆の位置で構えたりサポートしたりとしなくてはいけないので、試合中どっちのサイドにいなくてはいけないのかはゲーム展開次第であり、決まっているようで決まっていないもの。という認識でOKです。
さて、ディフェンスに話を戻しますが、
何となく察されてる通り、守る人です。
守る、と言っても
失点をしないようにゴールを守るだけでなく
守護神のGKを敵から守る役目もあったりします。
それはそれは国の王様を守るかの如く、ゴール前に突っ込んでこようものなら反則になっても構わない勢いで近寄らせません。
私も監督として、そういうシーンになればDFに言います。
「あったらもんゴール前きたら、ぶっ○していい」
(もちろん、○してはいけませんが)
このように守るといっても失点面もそうですが大事なGKを敵から守る、いわばチームを守る番人のような存在。
また、攻めが上手なFWに頼んだぞ!とパスを供給するのも重要な役目です。
いくら上手なFWがいても、良い土台から良いパスをもらわないと、もらった瞬間に相手に奪われてしまい自分のパフォーマンスを発揮する前に潰されます。
守りでありながら攻めの土台、と言っても良いのではないでしょうか。
(私がDF出身なので紹介が大袈裟)
ちなみにスマイルジャパンでは彼女達がその役目(DF)を担っています。
主にこの4つのポジションでそれぞれが役割を果たすべく戦っています。
もちろん中にはFWでもDFをやれる選手がいたり、元々はDFだけどコンバート(ポジション変更)されて今の自分があったりと、それぞれ今のポジションに就くまでエピソードがあったりします。(割愛)
これらの役割を行う5人を1つの組として、試合ではだいたい3組~4組の計15名~20名程度でグルグル組を回します。
また、1つの組が出てられる限界は45秒程度。※ルールではなく体力的にです。45秒を過ぎると‥
胸のタイマーは光りませんので自主的に交代しましょう。
この組の事を「セット」と言い、
1番最初に出てくる5人を「1つ目」
2番目に出てくる5人を「2つ目」
3番目に出てくる5人を「3つ目」
4番目に出てくる5人を「4つ目」と呼びます。
「昨日のスマイルジャパン、3つ目めっちゃ良かったなぁ~」
なんてセリフを次の日、会社でぼやいてみましょう。
Let's try!
次ッ!
用語
冒頭に記述の通り、実況・解説の方がわかりやすく噛み砕いて説明しているつもりでも、実際は展開がスピーディー過ぎて用語説明の精度が落ちます。
私も解説の時に非常に困ります。笑
次の言葉がよく出てくる言葉かと思うので、イメージできるように復習しておきましょう。
ボード・フェンス、コーナー
リンク周辺にある「壁」の事を総称してフェンスまたはボードと言ったりします。
イロハの「ロ」くらいになってしまいますが、ちなみに氷面と接してる黄色い部分は「キックプレート」と言い、パックをよりキック(弾く)為に特殊素材になっている部分です。
クリアボードを含まないフェンスの基本的高さは107cm
こんな可愛い小さな子供がすっぽり隠れる高さです。
このような壁を活用して行うスポーツは非常に珍しく、利用方法はたくさんあります。
例えば
自分(AKさん)と味方(ちかさん)を結ぶ線上に敵(②)がいてパスカットされる可能性が100%であっても
あら不思議
簡単に繋げちゃう
そう、アイスホッケーならね。
というわけでパス以外でも色んな使い方ができるフェンス。
故に、このフェンス際(ふぇんすぎわ)・ボード際(ぼーどぎわ)と呼ばれる場所での攻防の強さも非常に大事になってきます。
コーナーというのは主に赤と青があり
‥ハイ、冗談です。
コーナーで重要なのは第4コーナーで、
ハイ、いい加減にします。
この角のエリアの事ですので、お間違いなく。
ツギッ!
エントリー
簡単に言うとパックを持った人がアタッキングゾーンに進入すること。
です。
‥まぁこれも一応エントリー。
ちなみにこれもエントリー。
敵にエントリーさせる場合、フェンス際で窮屈にエントリーさせるのがセオリーです。
「昨日の試合はなかなか良いエントリーさせてくれなかったからその後の展開、上手にやらせてくれなかったよねぇ…」
なんてセリフを次の日、学校でぼやいてみましょう。
Let's entry!
ペナルティー
です。
嘘です。すみません。
要するに反則のこと。
スティックを使って妨害したり、
殴ってみたり‥(女子だってあるよ)
種類を紹介するとキリがないので省略します。
ペナルティについて気になる方はこちらをどうぞ。
ペナルティをすることでその選手は指定された時間(ほとんどが2分間)の退場となり、その間そのチームは1人少ない状態で守りのホッケーをしなくてはいけません。
この反則してしまった側のチームの状態を「キルプレー」といいます。
本来"penalty killing"略して"PK"なのですが、日本でよく使われるのがどうしてキルプレー(kill play)という野蛮な言葉なのかは不明です。
一方で、相手が一人ないし二人少ない状態で攻めることができるラッキーチャンスタイムを得たチームの状態を「パワープレー」と言います。こちらは略すと"PP"となります。
1人退場し、退場している最中にもう一人が反則して計2人が退場した場合はリンク上は攻め5人VS守り3人となり、攻め側にとってはスーパーウルトララッキーチャンスタイムです。
一方、3人で守らなくてはいけない方はスーパーウルトラピンチタイムとなり、骨の一本くらい折る覚悟でなんとしても身体を張って守らなくてはいけないシーンとなります。
~お得情報~
略して「PP・PK」を使うと、知ってる人からすると「おっ?」となりますので大変オススメです。
「昨日のスマイルジャパン2つ目のPP良かったよねぇ」
「でも相手のPKもしっかりしてたよね!」
なーんて会話を仲間と一緒にコーヒー片手にしてみましょう。
他にも‥
出てきてもおかしくないワードをここまでの流れから信じられないほどのスピードで翻訳しておきます。
Ready go!!
リバウンド→一度シュートを打ってGKがセーブしきれず、こぼしたパックのこと
(パック)キャリア→パックを保持している人またはパックの位置のこと
ルーズパック→誰も保持(キャリア)できていないフリーな(流れている)パックのこと
ディフレクション→味方がシュートしたパックを少しだけ触り軌道を変えること(角度変え)
スクリーン→相手GKの前に立ちはだかり、シュートやパスを見えなくする行為。
ワンタイム(シュート)→流れてきたパスをノートラップでそのまま勢いよく叩くシュートのこと(ワンタイマーと呼ばれることも)
とりあえずイロハの「イ」では、ここまで!!
パックを目で追えない現象
Twitterのタイムラインでたまに見かけます。
「アイスホッケー見てて楽しいんだけど、早すぎて目で追えない‥」
では経験者の私達は画面越しで全て目でパックを追えているのでしょうか。
答えは
追えていません。
というか映像で捉えられてないシーンもあるので現実問題、無理です。
じゃ、どうやって見ているの?
では、まずこちらをご覧ください。
このシーン、パックは画面に映っていません。
ですが見慣れている人ならパッと見ただけで、GKのキャッチング(左手に装着している野球ミットのような物)の中にあることがわかります。
選手が向いている方向、または向かっている方向
パックに皆が寄ること(カメラも)これらをよくわかり、パックなんかの小さくて黒い点を追うよりも全体の動きと行動で見た方が状況がわかりやすいです。
パックを持っている人がスティックを振ればパックは移動します。
動いたパックを見るより、振ったスティックを見た方がゲームの動きは捉えやすいです。
シュートをスロー無しでどこからどうやって入ったのかを確認するのは正直無理に近いです。笑
こんなのどこに当たったもんだか、直接入ったもんだか、いつゴールしたもんなんだかわかりません。
あ、入った。以上です。
こういう場合はスロー機能に頼りましょう。
とにかくパックを中心視野に置いて目で追おうとしないこと。
大事なのは周辺視野です。
こればっかりはこの記事を見て、すぐにできるわけではないと思います。
慣れもある程度必要だと思うので、オリンピックだけじゃなくオリンピック後も継続して見ていただければ更にめちゃくちゃ楽しくアイスホッケーを見られるかも!?
結びに
以上、大変長くなりましたが少しでもホッケー観戦初心者というホッケー界には非常に大事な方々(そう貴方!貴方の事!)に参考になればと思い、綴らせていただきました。
もし、不明な事があって知りたいけど調べるまでは‥という方は下記の私のTwitterまで気軽に質問してください。
ホッケーのこと、色々発信していますのでお気軽にフォローもお待ちしております。
引き続きスマイルジャパンの戦いは続きます。
この彼女達が自力でつかみ取ってくれた4年に1度のキッカケを少しでもホッケー界へ響かせられるように。
応援、宜しくお願い致します。
てらを