ときどき考えること ①
私の月謝で行かないで
この仕事を始めた当初、私にはアメリカに大切な人がいたので、年に何度か海外に出かける生活をしていた。
そんな生活の中で、夏休みに前倒しで授業を振り替えて、定期試験などがなかった(今はあるけれど)9月に2週間ほど休みをとったことがある。
「先生、お休み、何するの?」
と、中学生に聞かれたので
ーアメリカとカナダに行きます。
と、応えると、
「私の払った月謝で行かんよな、行かんといてな」
・・・という思いがけない申し出があった。
私は、どうやって生活をしていると思われているのだろうかと思いつつ
笑いながら
ーじゃ、あなたの授業料はのけて、ほかの人のでいくわ。
と、言っておいた。
授業料が高い①
授業料の話といえば・・・
小学校低学年の頃、同級生に
ーお前の父ちゃん、母ちゃんはケチか?
と、聞かれたことがある。私のつぎはぎのある兄姉からのお古の体操着などを見て、同級生の男の子が言い出した。
「は?」
と、聞き返すと
ーうちの兄ちゃん、お前んとこの塾行っとるけど、月謝高いって父さん、母さんが言っとったのに、なんで、お前、お古、着とんのや?
と、言ってきた。私の父も塾を経営していた。
何、言っとんのや、この人、と、笑いながら、私は
「まだ着られるからやろ」
と、応えた。
授業料が高い ②
今も、ときどき「授業料が高い」とわざわざ言ってくる生徒や保護者の方がいる。
その度、思うのだけれど
「高い」か「安い」かは主観で、その人によって違う判断基準がある。
そして、提供されるサービスへの対価である料金が「高い」というのは、その提供されたものへの「不満」と同じ。
不満の伝え方は他の方法の方が効果的なはずだ。
わざわざ私たちに面と向かって「高い」ということは、私たちの働きを軽んじている発言だということを、わかっていないのだろうな
と、苦笑してしまう。
もちろん、高いとボヤくこともあっていいというか、あると思う。
自分たちの生活の中で「負担になっている」という意味で使っていることもあるだろう。
全く不満のない買い物やサービスはたぶん世の中には本当に少ないのだと思うけれど、
自分の懐と相談しながら、BESTではなくBETTERを求めていくのが私たちの買い物であり、サービスの選択のはずだ。
提供している側から言わせると、入塾前に「高い」と言われるのも、値切られたりするのも、おかしな話だと思うけれど、入塾後に値段が「高い」と面と向かって言われるのも、それが子どもたちが相手でも、気分の良いものではなく、何度言われても慣れないな、と思う。
こちらが自信を持って対価として受け取っている限り、その不満を解消する方法は私たち側にはないのだから。
そして、お父さん、お母さんには、子どもたちが外で口に出してしまうことを考慮に入れておうちでの会話をしてもらえたらありがたいと思う。