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大人の寺小屋 余白 「麻育子」
大人の寺小屋 余白 は、日本文化の本質を学ぶ大人のための寺小屋です。宗教と美術について学ぶ「天」、環境と食について学ぶ「地」、私たち人間を動物から分化する文化について学ぶ「人」、3つの観点から体系的に学ぶカリキュラムが設計されています。大人とこれから大人になる人が、自分やそれを取り巻く世界について理解するための入門編の講座になります。大人の寺小屋は会員制の学校です。ご入会についての手順はこちらのHPをご参照ください。授業の詳しい内容や先のスケジュールなどは入会後に配信されます。この連載は、受講生による講座体験談をお届けいたします。今回は麻育子さんのお料理です。ぜひ高読ください。
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今回は、麻育子さんのお料理をいただく。鮮やかに照らされたサーモンの味わいは、まるでフルーツのような甘さと旨みがひとつに凝縮されていて、まぶされたバケットのサクサクとした食感が、サーモンの柔らかな口溶けと絶妙に絡まり合って舌を喜ばせる。炙りを効かせたズッキーニの肉詰めは、噛んだ瞬間に肉汁が口いっぱいに広がって、ほのかに漂うスイスのチーズの香ばしさが食欲を掻き立てる。あっという間に過ぎ去る食事の時間を身に染みて感じながら、その滋味深さゆえにもう一度脳内で二度目を味わおうとしてしまう。そんな名残惜しさを覚える私たちを察したように、暖かいお茶とアイスが目の前に届けられた。思わずみんなの身体は月のように満ちていく。
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麻さんの料理を食べていると、美味しさだけに留まらない空間の広がりさえも食卓に運んできてくれる感覚がある。それはどこか家族団欒とした体温のある優しさでいて、ここにいてもいいんだと思える場所である。一つの机を取り囲んで麻さんの料理をいただく私たちは、今この瞬間だけは家族そのものなんだと胡椒のアイスを頬張りながらそう思った。
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料理人:麻育子
「料理教室 麻」主宰。京都市生まれ。食べることが好きな家族に囲まれ、とりわけ味付け、盛付けに厳しい父に影響を受け育つ。食にまつわること(食べる、作る、飲む、器など)への興味が尽きず、京都料理専修学校家庭料理科にて料理全般を学び、ホテルの料理教室、数人の料理家に洋食、和食、中華、製菓を師事。フランスでも料理を学ぶ。ミナ・ペルホネンやアーティストの個展オープニングパーティー、アンスティチュ フランセ関西(日仏会館)ヴィラ九条山へのケータリング、ギャラリー季の雲(滋賀・長浜)、水の音-ノートルシャンブル(仙台)などアートギャラリーにて料理会など、「食」をテーマに幅広く活動中。現在は、主に様々なジャンルのお料理やお菓子、お味噌作りの教室を滋賀 瀬田にて開講。また、フランスで和食のレッスンも開講。
文・撮影:谷口雄基