![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/144989457/rectangle_large_type_2_cf24327b9093d46713aca0a02d91282e.jpeg?width=1200)
大人の寺小屋 余白 「台湾素食」
大人の寺小屋 余白 は、日本文化の本質を学ぶ大人のための寺小屋です。宗教と美術について学ぶ「天」、環境と食について学ぶ「地」、私たち人間を動物から分化する文化について学ぶ「人」、3つの観点から体系的に学ぶカリキュラムが設計されています。大人とこれから大人になる人が、自分やそれを取り巻く世界について理解するための入門編の講座になります。大人の寺小屋は会員制の学校です。ご入会についての手順はこちらのHPをご参照ください。授業の詳しい内容や先のスケジュールなどは入会後に配信されます。この連載は、受講生による講座レポートをお届けいたします。第3回は松永智美先生による台湾素食です。ぜひ高読ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1719297441328-AjjChc2413.jpg?width=1200)
窓の外は青く落ち着き、部屋の中は蛍光灯の明かりでぼんやりオレンジ色に染まっている。ちょうどお腹が空腹を知らせるころ、みんなで台湾素食をいただきます。台湾素食とは、台湾の日常に深く根付いた精進料理のことで、三厭五葷(-さんえんごくん-獣・魚・鳥の動物性、臭いの強い野菜類、主にネギ属の植物)を使わない文化をいう。次々と並べられていく美しい料理は、まるでジュエリーのような輝きを放っている。タモギタケから採れた黄色いお出汁は、透き通りながら喉を開いて準備万端にさせた。動物性の食材を使っていないこともあって、纏わりつくような脂分のベタつきが一切なく、身体に優しく染み渡るような美味しさを感じる。
![](https://assets.st-note.com/img/1719298002851-qQ1XkgK7j4.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1719298364296-aTfhgccngx.jpg?width=1200)
精進料理というのは、大概どこか物足りなさを感じることも多いが、滋味溢れる先生の作る料理はそんなイメージをも覆す。どんな素材で作られているのか、視覚と味覚を研ぎ澄ませながら味わう体験は、想像以上に食卓に豊かさをもたらしてくれる。イカが出てきたと思ったらイカではない、魚が出てきたと思ったら魚じゃないと想像を超えてくる。「先ほどの煎茶の授業では、登竜門の鯉の掛け軸の季題が出されたと聞いたので、魚に見立てた料理を中心に考えてきました」と、智美先生。視覚や味覚の追求を超えたプロの仕事を堪能した身体は、普段の食卓にどのように活かすことができるだろうか、食べながらクリエイティブな思考を走らせるのが楽しい。
![](https://assets.st-note.com/img/1719298416638-ZDkAKI9sCN.jpg?width=1200)
本日の料理人
松永智美先生と、若林麻耶さんのおふたり。おふたりは母と子の関係で、智美先生の姿を見て麻耶さんは育ったそう。麻耶さんは、京都岡崎にあるタルトタタンで有名な「ラ・ヴァチュール」を祖母から大学卒業のタイミングでお店を引き継ぎ、母である智美先生は、料理研究家でありながら、ジュエリーデザイナーとしても長く活躍される正に二天。
文:谷口雄基
撮影:中村心音