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いちばんの夏

生徒が主体になって作りあげる、今年度初めての留学弁当。記念すべき第1回目を担当した。前例がない分、何を作っても献立の被りを気にしなくて大丈夫なところは良かったなと思う。一方で、試行錯誤できるほどの時間的余裕があまり無かったので、お弁当箱にちゃんと綺麗に詰められるのか、理想が現実になる最後の盛り付けまで、かなりやきもきした。

献立は何にするのか、それぞれの料理に食材をどれくらい使用して、仕入れの量はどのくらいになるのか。魚の仕入れで、割と安定的に入っていたシマメを使った料理を考えて漁港に行ってみた。結果、まさかのゼロ。次の日も、望みをかけて行ったが一杯だけ…留学弁当50食近くは到底賄えない。さてどうしよう…と考えている間にも、出荷作業が進んで行くので、仕入れるなら早くしなければいけない。その場で臨機応変に、迅速な判断をする必要がある。これまでは先生の指示に頼りきりで、あまり自分事として考えられていないところがあった。
献立作りから仕入れ、調理、盛り付けなど、全体を把握して順序立てて工程を考え、指示する大変さを身に染みて感じた。これを1人で考えている先生は本当に凄い…。引き出しが多くないと、こういう時に柔軟に対応できないと思うので、もっと食材の特性と調理の幅、盛り付け術を知っていかなければと改めて思った。
他のグループの留学弁当からも、学ぶことが沢山あり良い刺激になっている。

帰ってきたアンケートで、作ったものへの感想を嬉しく思いつつ、人それぞれ食感や味覚などに違いがあることを実感した。全ての人のストライクゾーンを狙うことは難しいけれど、島の食材で意外性と共に美味しさも合わせて提供できるよう、努力して取り組んでいきたい。

今月は、人生でこの夏の思い出を越えることは無いんじゃないかと思うくらい、最高の夏休み気分を味わった。
海無県から来たので、この夏海に入る機会があれば全て入りたいと、シュノーケルセットを数ヶ月前から買って、待ちに待っていた。近場の浜辺から、有り難いことに、船でしか行けない磯へ誘っていただける機会も何回かあり、綺麗で豊かな海を覗き見ることができた。海の中に陽が差し込んで、キラキラと小魚に反射したり、そこそこ大きい魚の群れが泳ぐ様など、沢山の生き生きとした海洋生物を目の当たりにして、脳内BGMはずっとアンダー・ザ・シーのリピート。見ているだけでも全然飽きないけど、素潜りもしたくなってくる。潜ってみたところ、耳抜きが上手く出来ないことが発覚。素潜り百戦錬磨の達人方にコツを教えてもらい、何とか3〜4mくらいは潜れるようになった。始め、サザエすら見つけられなかったけど、面白いくらい見えるようになったし、自力で運良くアワビを見つけられるまでになって嬉しく思う。獲ったサザエ、アワビをその場で浜焼き・刺身・炊き込みご飯にする、地元ならではの夏の日常・海の楽しみ方に交わらせてもらって幸せでした。

海士町と崎地区の盆踊りでは、屋台の出店をした。
だし巻き玉子はまだまだ練習中で、私は、ちゃんと巻けて玉子焼きにでも出来ればマシな方。スクランブルになる事もしばしば…完璧なだし巻きは一度も出来ていないなんて状態での出店。緊張の中、皆んなで何とか巻いてやりきった。先生が作る、表面が滑らかでフルフルの巻いた層のないだし巻きを、早く私も巻けるように頑張りたい。あくせくしながらも、夏祭りの雰囲気を感じられて楽しかった。

他にも、海水から塩作り・竹を切り出してきて寺子屋ファームで流しそうめん・青谷でスイカ割り・流星群を見たり・台風の影響で無念の中止が決定してしまったけど、キンニャモニャ祭りの踊りの練習などなど…濃い夏になったなぁ。

《自主企画》
日本酒・酒粕を使った料理やお菓子で、アルコールが苦手で飲めない人にも、お酒を楽しむ場をつくる。

(文:島食の寺子屋生徒 小澤)