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祝い月

ここ最近、身に沁みる寒さと、日の入りの早さに、いよいよ冬の到来を感じる。暖房を使い始めたけれど元から苦手な朝は、より一層布団から出辛くなってきた。

今月は、8年ぶりの開催となる『崎村だんじり』の仕出し弁当120個を早朝3:30から作ったり、海士町新庁舎竣工式の前夜祭にあたる多人数の夜会席(厨房担当)があった。初めての弁当の品数と人数の多さに、不安と緊張感がありながらも、何とか無事に提供できた事に安堵している。
記念すべき日の食事を寺子屋で作らせていただき、大変ではあったけれど、一生に一度の貴重な経験ができた事を嬉しく思う。

手早にクオリティーの高い動きが出来たかと言われると、まだまだ鈍間で拙い現状ではある。悲しいことに大根の桂むきも、猛練習していた数ヶ月前の3番目くらいの出来に戻ってしまい、焼魚のグラムカットや、ブリ系の皮の鋤き引きなどもまだ完璧とは言えないレベル…。先月目標とした、丁寧さと効率の両立は、自分の技術力が伴っていないと難しいと感じた。全く初めの頃よりは、マシになっていると思うけれど、まだまだ素人の域から抜け出せないでいる…。もう気づけば、年末目前。残り少なくなってきた期間で、なるべく魚に沢山触れて頑張っていきたい。

また食の感謝祭では、手作りのお茶菓子で野点のお手伝いをした。短大の茶道サークルの時以来やっていなかったので、動画を見ながら思い出し練習…。当日までに何とか人様に見せられる程度にはなり一安心すると同時に、お手前の動作の中で、どことなく自分が常に焦燥感に駆られている事に気付かされた。仕込みや片付け等、日々の作業で急がなければならない場面があったり、将来の不安などがそうさせているのかな…と思われる。自分の中をリセットする機会にもなったので、久しぶりにちゃんと出来て良かったなと思う。焦りは禁物。急がば回れ。

ありがたいことに、以前応募したサステナブル・シーフードの未来レシピコンテストで、ファイナリストに残ることができた。周りはレベルの高いものばかりで、なぜ私のレシピが評価されたのか不思議だった。審査員のコメントを見て、料理に対する向き合い方や考え方が評価されている印象を受け、調理技術だけでなく、料理の見せ方・伝え方など、全体的にレベルを上げなければならないんだなと感じた。どれだけ味が美味しいとしても、目で見て楽しめて、食べたいと思ってもらえるような盛り付けでなければ、その料理の良さは伝わらないという事を再認識。食材や盛り付けも勉強を重ねて、磨きをかけていきたいと思う。東京でのセレモニーにも参加させていただき、こんな華々しい場所で働く選択もあるんだなぁと、料理共々勉強になった。

留学弁当もこれで2周目。1周目の時から、また色々な経験を積んでの今回なので、今までの経験を活かしたお弁当を作りたいと思う。

(文:島食の寺子屋生徒 小澤)