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実りの秋、実践の秋
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1)寺子屋の実践
2)寺子屋を飛び出して挑戦!
- 秋の夜長に日本酒語らnight -
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1)寺子屋の実践
イチョウ、紅葉、桜の葉…料理のあしらいに使う葉っぱの中にもだんだんと赤や黄色が混じり、寺子屋のみんなで銀杏と零余子集め。道行く先々で見かける柿も色づいてきて、鳥たちがついばんでいる。見たいものがたくさんあって、自転車で山道や田畑の脇を走るスピードも自然とのんびり。近頃は丸鯵もはち切れそうなくらいまるまるして、アカバの脂もすごい。島の秋は山も海もおいしいものだらけ。
ゆっくりと秋が深まっていくのを肌で感じながら、ほくほくとした気持ちで過ごしている。
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夏から秋にかけての観光シーズンは終盤にさしかかり、離島キッチンでの実践は今月がピーク。2,3日連続で営業やお弁当の仕出しがあったり、1日のうちにお昼と夜の営業が両方あったりと、実際の飲食店のような経験ができた1か月だった。営業当日に厨房に入る時間や段取りなど「自分たちで決めるんやで」と、先生はぎりぎりの状況になるまで私たち生徒が考えてやりきることを見守ってくださるようになったのだけれど、その分失敗もヒヤッとする瞬間もたくさんあった。特に、お客さまがいらっしゃる10分前に料理を並べておく、という基本ができなかった日は猛反省…。事前に当日の流れを厨房メンバーで話し合っているのに、間に合わない原因は何だろう。落ち着いて振り返ってみると、個別の調理の課題と全体の課題がありそうだ。
▼課題
-個別調理の課題(個人の課題)
・お造里:カワハギなど、一度できれいに皮を引けずにやり直すことが多い。
・揚げ物:油の温度管理がうまくできず、揚げ始めるまでに時間がかかったりやり直したりしている。
・出汁巻:巻き鍋の温度調整が安定してできないため1本巻くのに時間がかかる。複数本巻く時は、巻き鍋についてしまった卵をきれいに取り除く時間が必要がありインターバルが長い…!
-全体の設計、連携の課題
・事前情報の連携:仕込みの段階で先生からいただいていた当日調理の指示がメンバー間で共有できておらず、厨房で修正・確認が入る。
・時間の把握:自分の調理に夢中になって、先生の一声でハッとする。
・進捗確認の連携:「〇〇終わってる?」と進捗確認した際に「終わってる!」と聞いたものが実は終わっていないことが直前に発覚する(1時間前の段階でやっていい作業が終わっているという意味で答えていて、後の工程がまだ残っている)
・導線、作業スペースの設計:コンロ周りの調理の段取りについては、事前にイメージが共有できているが、その他のスペースがうまく使えず作業効率が悪い。盛り付け前のお皿の配置、使った調理器具の処理などの整理ができていない。
個別調理の課題は、練習を重ねてできるようになっていくしかない。でも、全体の課題については今すぐにでも改善ができるはず。当日の厨房は、おいしさや見た目の美しさをレベルアップするための指導をいただく場所にしたい。そのためには、「〇〇冷蔵庫から出してあるんやろな」「もう〇〇しないと間に合わんぞ」と先生から進捗に関する指摘がない状態を目指したい。誰と一緒に厨房に入ってもどんな場所でも、いい動きができる人になるために、今すぐ行動を変えていかなければ!
▼今日から変えること
☑ 先生からの当日に関する指示はなかったか、事前の厨房ミーティングで1品ずつ確認。
☑ 常に時計をみながら、作業単位で目標時間を決めて動く。
☑ オンテー30分前には全体に声掛けをして、優先順位を整理。
☑ 進捗確認は「〇〇終わってる?」ではなく「〇〇の残りの工程はなに?」と聞く。
離島キッチンの実践の機会でないとできないことは、もう一つ。それはお客さまの反応を間近に見ること。ホール担当の役割は、料理を一番よい状態で間違いのないようにテーブルにお届けすることと、店内で快適に過ごしていただくためにお客さまの動きを見て、適切なタイミングでご案内すること。
そして最近、お客さまとお話していて大事だなと気が付いたことは、食の進み具合を見てその理由を考えること。お料理を残されるのは、味や食材が苦手だったのか、普段のお食事と比較して量がとても多いのか、今日は体調がすぐれないのか…そしてお客さまご自身は、完食できないことをどう感じていらっしゃるのか(少しずつでもいろんなものを食べられてうれしい、残して申し訳ないから最初から減らしてほしい など)
京都研修に行ったとき、鳥米さんが「お酒の進み具合を見ながら、料理の味付けを少し調整する」というお話をされていたのを思い出す。同じ献立の中でもその一人のお客さまが、最後の一品を召し上がった後に「おいしかった」と心から満足されるようにできることは何か。ただ料理を運び、下げるだけではなく、よく見て考え厨房に伝達し、お客さまにお声がけする。ホール担当で学ぶべきことはたくさんある。
このnoteを書いている今日も、昼の箱膳と夜の会席営業がある。11月に控えている山場、60名の会席に向けて、一つずつでも確実に変えていきたい!
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2)寺子屋を飛び出して挑戦!
- 秋の夜長に日本酒語らnight @きくらげちゃかぽん -
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「私日本酒大好きなんです!」
「えーだったら日本酒会しようよ!私もゆっくり日本酒味わいたくて…ゲストシェフやってみない?」
きくらげちゃかぽんさんでのアルバイト終わりに、店主のみかさんとおしゃべりしている中で、そんなうれしいお話をいただいて実現した企画。お店の厨房をお借りして、同期のさきちゃんと一緒に1日限り限定7名の小さなイベントを開催しました。
イベント概要や告知文を考え、食材を見ながら献立を決め、仕入れて仕込んで…鞍谷先生や恒光さんがいる“寺子屋”という守られた空間を一歩出て、自分たちの料理を食べに来てくださるお客さまからお金をいただいて料理を提供する。新しい挑戦にワクワクする気持ちの一方で、まだまだ修行中の身だけれどそんなことは言い訳にできないぞ!という緊張感がありました。
イベントで使う食材も島食で、仕入れはムラーズファームさん、大漁さん、つなかけさん、JA、隠岐神社、道路わきの斜面…と島の中をぐるぐる。ムラーズファームのフランクさんに「崎から自転車?! クレイジー!w」と笑われながらトラックの後を追いかけたり、学校終わりの暗闇の中さきちゃんとヘッドライトをつけながら零余子を探したり、観光客に不思議そうな目で見られながら隠岐神社の三つ葉を収穫したり…
直前までどんな食材が使えるかわからないという不安定さもあるけれど、調理しながらひとつひとつの食材に愛着を感じることができるのは、やっぱり自分の手で食材を集めることができる海士町ならではの幸せだなぁと思います。
当日はお客さまそれぞれが持ち寄った日本酒を並べて、わいわいとお食事。「南蛮漬け、一生食べてられる…!」「零余子ごはん、おかわりありますか?!」「もう全部おいしいー」と嬉しいお声。料理を食べて楽しそうに過ごしているお客さまの声を聞きながら料理ができるのは、やっぱりうれしい。
そしてイベント翌日には、隠岐神社で零余子を探すお二人と遭遇したり、離島キッチンのお客さまとしてまたお迎えしたり、なんと後日個人的にお手紙をくださった方もいらっしゃって…イベント後まで続いていく関係がとてもありがたくて、今回の反省を活かしてもっとおいしい料理を食べていただくんだ!と決意を新たにした出来事でした。イベントを開催させていただいたきくらげちゃかぽんのみかさん、当日ご来店いただいた皆さまに、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
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1日限りの小さなイベントだけれど今後に向けたはじめの大きな一歩を、隣で一緒に踏み出してくれたさきちゃんは、なんだかもう戦友のよう。いつもはんなりしていてマイペースだけれど(大好き。笑)渉外がとっても上手だったり、新しいメニューに果敢に挑むチャレンジャーだったりと、とっても頼もしい存在。当日、店主のみかさんからは「厨房がすっっっごい静かでびっくり!目の前のお料理とおしゃべりに夢中になれた!」というご感想もいただいて。基本的に二人とも声が小さいというのもあるけれど(笑)、厨房ではお互いに何も言わなくても動ける場面も多く、いつか寺子屋の先輩岡村さんのnote『大きな仕事をして』で読んだ「一(いち)言えば十(じゅう)理解してくれて、寺子屋という時間を共有していることの心強さを痛感した。」という一文がぴったり。さきちゃんがいてくれて本当に本当によかったです…ありがとう!
お店を開くという将来の目標に向けて、この日の気持ちを忘れずに、寺子屋で思いっきり学び、挑戦できる環境に感謝しながら日々を積み重ねていきたいと思います。
<文:島食の寺子屋生徒 河野>