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最近よく聞く「ソーシャルビジネス」について、コンサルタントの立場から説明してみました。
テラエナジー株式会社のように、ビジネスを通して社会課題の解決を目指す会社は「ソーシャルビジネス(以下SB)」とよばれ、SDGsを実現するプレイヤーとして、また、ESGの投資先としても世界的に注目を集めています。私はSBに特化したコンサルタントとして、テラエナジーの経営の伴走支援をしています。この連載ではSBの現場でどんなことが起こっているのか、経営判断をどのように行い、サポートしているのかをお伝えしていきます。
第一回目のコラムでは、①事例を通したSBの紹介、②コンサルでどんなことを大切にしているか、③テラエナジーはどんなSBなのかについてお話しします!
ソーシャルビジネスって?
環境問題、少子高齢化、男女格差の是正や人権問題、貧困、児童虐待、いじめ、などなど、世の中には社会的課題がそれはもう山積しています。それはグローバル化やデジタル化、社会の急激な変化によって多様化・複雑化しています。課題に対して従来の行政やNPO、ボランティアが取り組むのではなく、一般企業がビジネスを通して解決する仕組みが現在SBと呼ばれ、注目されています。
なかなかイメージしにくいかもしれませんので、例を挙げてみます。
株式会社食一という、魚の卸売り業です。
魚の卸売り?よくある業種じゃん、と思われるかもしれなせんが、食一さんは「珍魚」と呼ばれる、港の近くでしか流通していない魚を仕入れ、他店と差別化を図りたい居酒屋や寿司屋などに販売するビジネスをしています。ミシマオコゼ、エチオピアなど、聞いたこともないけど実はとてもおいしい珍魚は実はたくさんあります。しかし、珍魚は地域で安値で流通するのみで、漁師の売上にはあまりつながりません。大衆魚と呼ばれる、タイやヒラメ、マグロなどの方が高値で流通するのです。
漁業にはたくさんの問題があります。これまで魚を多く取りすぎていたり、地球温暖化の影響などによる漁獲量の減少によって、大衆魚の収穫量が減り、漁師の収入も減っています。それにあわせて後継者不足の問題も出てきており、漁師の高齢化が進んでいます。
食一さんは、今まで市場に流通していなかった珍魚に付加価値を付けることで、漁師の実入りが増え、子どもが漁師を継ぐことや、新規就労者が増えることを後押しします。「1000円の鯛を2000円で売ることは難しいけど、50円で流通している魚を500円や800円で売ることはできる」という食一の田中社長の言葉は象徴的です。
このように、本業のビジネスを通して社会課題の解決に寄与したり、そもそも課題を生まない社会を作る、そんなビジネスが「ソーシャルビジネス」とよばれています。
私は京都市の事業で(公財)京都高度技術研究所が設立した、SBに特化した中間支援機関「京都市ソーシャルイノベーション研究所」にて、コーディネーターとして5年努め、現在は宮崎に移住して、フェローとして活動をする傍ら、SB支援の仕事をフリーで行っています。
ソーシャルビジネスの支援って?
普通の企業とSBの支援はどう違うの?という質問もよくされます。営利企業なので、必要なことは一般企業と変わらず、販路開拓、情報発信、人材育成、資金調達等々ありますが、SBに特徴的な事が2点あると思っています。
一つ目は、新しいマーケットをつくる支援をすることです。
通常のマーケティングでは、既存のマーケットを分割し、どこに対して商品を投下するかを考えます。しかし、SBとよばれる企業では、食一さんのように全く新しいマーケットを生み出すことが多いのです。それは、既存のビジネスや社会の在り方で生まれている課題を解決するため、全く違うアプローチが必要なことが多いからです。
そして2つ目は、目指す未来・作りたい世界の理解者になるということです。
SBの事業者のみなさんは、食一さんの「漁村の活性化・日本の漁業を持続可能にすること」のように、社会イノベーションをおこし、現在の延長線上にはない新しい未来をつくる、というミッションを持っています。ソーシャルビジネスの支援者は、そのような世界観を共有し、目指す未来を実現するためにバックキャストで考える、そのスタンスが何より大切だと思っています。
テラエナジーはどんなソーシャルビジネスなの?
テラエナジーは4人の僧侶が立ち上げた会社です。一人はNPO法人の代表として自死を考える人の相談支援をしており、一人は仏教と環境問題の関係を研究しており、一人は地域コミュニティのハブとなるお寺がサステナブル(持続可能)になるためにどうしたらいいかを考えていました。
彼らは、自分たちの課題を解決し、豊かな未来を作るためにテラエナジーを起業しました。
寄付つき電気というサービスで、月々の電気料金から2.5%が社会的な団体に寄付され、ご家庭に自然エネルギーの割合が高い電気を送り、その寄付金の使い途の一つとして、お寺が地域に対して行う活動をサポートできます。
ご契約者様は、月々の寄付と、CO2排出量の低い電気を使うことで、サステナブルな未来作りに関わり、実感をお持ちいただけます。
このように、売り手よし、買い手よし、世間よし、そして未来よしの四方よしのSBの仕組みとなっています。
ただ、理念では良いことを語っていても、まだまだ設立3年目の会社。日々のお客様への情報発信やサポート体制、寄付先団体とのコミュニケーションやご支援など、やりたいことは山積しています。
ただ、私はテラエネのメンバーが大好きで、会議をするたび、なぜか元気になります。きっと皆さんが自社や自分のためだけに仕事をしているのではない、そんな「明るさ」があるからかなぁと思います。
次回は、自分がなぜテラエナジーに関わることになったのかについて、お話しできればと思います。ぜひテラエネのnoteをフォローいただき、チェックしてください!
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山中 はるな(やまなか はるな)
(株)リクルートでの企画職を経て、2009年から京都市まちづくりアドバイザーとして区基本計画の策定、地域活性化のためのワークショップを行う。
2015年より京都市ソーシャルイノベーション研究所のイノベーション・コーディネーターに就任。「これからの1000年を紡ぐ企業認定」、「イノベーション・キュレーター塾」の立ち上げを行う。2020年宮崎県延岡市に移住。旭化成(株)延岡支社地域活性化推進グループとの共催で「U35nobeoka未来会議」「w35nobeoka女性起業家会議」をmoyamoya innovationsにより実施。たまに、ドラァグな仮装をして、バーを開いたりします↓
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