あなたは本についてどう思いますか?|龍大文学部生がテラエナジーの魅力を見つけてみた!#05
このコラムでは、テラエナジーと龍谷大学文学部でのプロジェクト授業がコラボレーション。大学生がテラエナジーの様々な魅力や価値を掘り下げ、ウェブコラムとしてまとめ、皆さんへお届けします!
テラエナジーの魅力「ほっと資産団体」への寄付ができる!
今回はテラエナジーの魅力の一つである「⾝近な⼈を応援する喜びを実感できる寄付つきでんき」について「ほっと資産団体」がどのような想いを持って活動に取り組んでいるのか、龍谷大学文学部の大学生が取材をしてみることにしました!ぜひ最後までご覧ください!
あなたは本についてどう思いますか?
一つ前の記事では紙の本についてどう思うのか、学生と先生の意見について取り上げました。
しかし、「教育関係の人達だけでなく、学校外で実際に本と携わっている方に話を聞いてみたい!」と私たちは考えました。
そこで、古本に関する活動を行っている「本巡るノラネコ団(愛称:ノラネコ団)」の代表である川嶋総大さんにインタビューをさせていただきました。一般企業の方の生の声を聞いて、独自の視点や異なった意見を伺うことができました。皆さんもこの記事を通して見聞を広められるかもしれません。
本巡るノラネコ団の活動
ノラネコ団は引き取った古本をランダムに詰め合わせたものを契約者に送るというのが主な活動内容です。
送る古本のジャンルはビジネス書や小説絵本など様々で、本が好きな人はもちろん、ノラネコ団から送られてきた本を売ることで、ビジネスの練習をするといった団体の契約もあるようです。
みんなで本を共有して、本がノラネコのように色んなところでかわいがってもらえるようになるサービスです。
ノラネコ団の活動を始めた理由
川嶋総大さん:私どもの仲間内では、SDGsや支援の活動をしたいという相談をすごく受けるんです。しかしながら言うだけや思いだけになってしまっています。どうやったらお金をマネタイズ(収益化)して資金を確保することができるのかということを考えて、実際に練習するためには、ちゃんと事業として行わなければいけないんじゃないかというのが1つのコンセプトです。だから実はなんでもよかったんです。たまたま本があったから本でマネタイズさせたというわけです。
川嶋総大さん:また、何かをしようとすると本質がずれてしまうことがあります。事業を始めるに当たって、資金を得つつも、本来やりたいことからずれないようにするために、いつでも出来て、持続可能で、好きな時にできる、合間にできるような仕事を分散型で出来る仕組みはないかなというのが2つ目のコンセプトです。
川嶋総大さん:本はめっちゃ好きですよ。
コミュニティを作ろうとしても、世の中には、いろんな思いの人がいます。そのため、コミュニティを作るときに1つのライン引きとして『本が好き』という人で、コミュニティを作ったらどうやるかというのを考えたんです。
本を読めば読むほど行間を考えるようになります。想像力が豊かになり、考えることに繋がっていくんです。古くからの文学の成り立ちの1つには、書かれていないことを想像するというものがあると思うんです。文学部の皆さんはそういった想像豊かなトレーニングをしているということになりますね。
川嶋さんが読書に触れ合うきっかけ
川嶋総大さん:僕が子供の頃は、田舎と都会の地域のルールが全然違っていました。そういったカルチャーギャップに疑問を持ってしまいました。まだインターネットが身近にない時代に、真実を見つけ出すには本しかありませんでした。
川嶋総大さん:そうですね。僕は同じテーマの本を3冊、4冊と読みます。そういった照らし合わせする上で、大切なのが、多面的な視点と疑問を持つこと、そして「行間を読む」ということです。
「行間を読む」ということができれば、例え意見がぶつかる相手でも、なんで相手がそんな行動をするのかというところまで考え、突き詰めたコミュニケーションができるようになります。僕の仲間には本を全然読まなかった子がいるのですが、その子に1年間本を送り続けた結果、コミュニケーションにトラブルがなくなりましたといっていました。だから、僕はコミュニティを作るときに本能的に、『行間を読み』相手のことを考えれる人を求めて本で繋げたいと思ったのかもしれません。
川嶋総大さん:京都では古紙回収が行われています。その中にアレッ?と思った本があったんです。
生薬の雑誌の表紙をまとめた図鑑なんですが、この本は世界で130冊しかないんです。何がすごいかというと、小磯良平さんという有名な画家の方が全部の表紙を描いているのです。その中のリトグラフ(銅板版画)という作品の1枚だけでも50万円ぐらいするんです。で、それを捨てているわけです。
お金の問題じゃないけど、人はそれぞれ価値が違って、その人にとって意味がなくなっているというものが世の中にたくさんあるということを考えたわけです。人はそれぞれ多面的に価値を感じるから、要らない人の物を要る人に持っていく、これは基本的な商いの鉄則で、それをしながらみんなの価値を考えていくわけです。
紙の本の存在意義とは?
川嶋総大さん:結論から言って僕は紙媒体の本は残ると思っています。
これには2つの理由があって、1つは産業的に本をなくすということは今の日本でいうと難しいということです。
もう1つの理由はハードディスク(記録媒体)としての寿命です。
川嶋総大さん:実は世界で最も優秀なハードディスクは石なんです。メソポタミア文明やロゼッタストーンなどが今でも残っていて、そのおかげで言語がわかっているんです。そして、その次に優秀なのが紙なんです。
今、ハードディスクの寿命はだいたい10年と言われています。要するに、実はデジタルは記録としての能力は優秀じゃないんです。2000年にできたホームページなんかは今ないですよね。常に進化していくから過去の記録が残ってないんです。
デジタルの良さというのは複製できるということになりますが、本もそうですよね。紙というのは実は、複製できる能力と印刷するスペックとテクノロジーが合わさって一番持続可能なハードディスクなんです。
反対にデジタルの記録では、情報がビッグデータに集約されるわけですが、電波障害などをはじめとして、途中の過程で問題が起きるとデータが損失してしまう。今のデジタルでは、そういったことが日常的に起こってしまうんです。
川嶋総大さん:本では内容が改変されるということもありますが、より古いものが残ってしまうんです。つまり、嘘があることが分かってしまう状態が出来上がります。真実は本の中にあることが多いんです。
また、本は必要な時のための記録でもあります。例え今は必要な情報でなくても、本として残ることで、必要な時に情報を提供してくれます。
行間を読むことで想像する力を鍛える
川嶋総大さん:行間を読むというのは、つまり想像するということです。
元来、本というのは伝えるために創られたものであり、重要なことを文字として記録することができます。
しかし修験者や仏教の教えにおいては、一番大切なことは文字ではなく口伝で伝えられてきました。口伝ということは人を通してでしか伝わらないため、人が途絶えるとその教えも共に途絶えてしまいます。
そうすると残るのは本だけとなりますが、そこで必要となるのが行間を読む力になります。口伝された教えが途絶えた時、一番大切な教えを知る術は残された本からそれをくみ取ることのみです。修験道や仏教の教えの本当に伝えたいことは何か、最終的にはどういったことを意味するのかといったことを、残された本の文節、文字の一つ一つから想像するのです。
川嶋総大さん:その通りだと思いますよ。
本を読むことは本当に伝えたい事はなにかをくみ取るトレーニングになります。時代すらもこえた様々な文章を通してそれができるようになる場所こそが文学部であり、そこで培われた想像力こそが文学部生の強みになのではないでしょうか。
インタビューを通して
並んでいる様子といった視覚的な要素、パラパラめくるといった質感、紙としての存在感、以上が学生から主にあがった意見でした。
本を読むといった空間、一覧性の高さ、コレクション要素、本を持つことの意義、先生方からこのような意見があがりました。
行間を読む、本が持つ不変性、ハードディスクとしての持続可能性、川嶋さんから以上のような意見をお聞きしました。
共通する部分もありましたが、多様な着眼点があることにも気がつきました。そして、インタビューを通して多様な視点を持つことが本を読むことや文学における意義であるとわかりました。
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テラエナジーでんきは、お客さまが応援したい活動へ電気代の上限2.5%を寄付する「寄付つき電気」です。再生可能エネルギー由来の電源にこだわってお届けします。