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ソーシャル坊主起業奮闘記 #7「全然人手が足りず、どうしたものかと悩みながら行ったはじめての求人・採用で、愉快な仲間と出会った話」

このnoteでは、ビジネス経験のない僧侶たちが新電力会社の起業に至った物語や、いまなお悪戦苦闘し続けている様子を、取締役・霍野の視点で赤裸々に告白します。

信頼する税理士や起業家の方から「起業はやめといた方がいいんちゃう」と言われたにもかかわらず、立ち止まることなく起業に向けて準備を進め、社名やロゴ、パンフレットなどを制作。「お坊さんが新電力会社を起業」との情報がマスコミにリークされ、ネットで大炎上。Yahoo!コメントには約900件のコメントがつき、Twitterは約4000件のリツイートがある大事態。その後記者会見も行い、多くのテレビ・新聞でも取り上げられ、私たちのやりたいことや想いは予期せぬ形で広く発信されました。

今回は、実際に電力事業を始めるには到底人手が足りず、これまで求人や採用の経験は皆無だけれど周囲にサポートしてもらいながら行った、はじめての求人・採用について書き進めます。

全然人手が足りない…

予期せぬ形で大々的に広まったテラエナジー 。その様子は前回の記事をご覧ください。

しかし実際には、まだ経産省に小売電力事業への登録申請を進めている状態。電力事業を実施するにあたって必要なノウハウも人材も揃っていません。

小売電力事業の事務的な業務は大きく3つ。1つは契約業務。他社からテラエナジーに契約を切り替える当たって幾つかの機関に届出が必要となります。これは全てテラエナジーで行うので、お客さまは申込書の記入などの簡易な手続きでOK。2つに、お客さまに届ける電力の需給管理が必要です。毎日全国各地の天気や気温などからお客さまの電力使用量を30分単位で予測し計画値を策定し電気を購入しなければなりません。電力小売事業のなかで最も大変な業務です。3つ目に、毎月の電気代の請求業務。このほかにも、お客さまの顧客管理などバックオフィスでやらねばならないことは多くあります。

さらに、営業はもちろんですが、私たちは電力事業を通して経済循環を促し、寄付つき電気で、ソーシャルグッドな活動にサポートしたい。寄付先団体との関係性づくりや、寄付金の管理なども必要です。加えて、再生可能エネルギーの普及のために情報発信も行っていきたい。

当然のことながら、起業メンバーでは到底人手は足りません。事業を進めるにあたって採用は必要不可欠。しかし、僧侶4人で立ち上げた新電力会社。僕たちはリクルートや求人、人事の経験があるわけもなく、何から始めたら良いかも分からず、またしても壁にぶちあたります。

求人、うちでやってくれれば良いじゃないですか!

テラエナジーがあっぷあっぷしているにも関わらず、ちょうどその頃、僕は、大阪・梅田にあるショッピングモールのLUCUA(ルクア)でのプロジェクトに携わっていました。ルクアにはため息からトキメキをつくる「トキメキ事業部」という大企業らしからぬユーモア溢れる事業部があります。この事業部のプロジェクトの一つが「妄想ショップ」。ルクアのお客さまのため息をヒントに、新しいお店やサービスをつくるショップです。乙女心をくすぐるような企画や、ためになる企画などバラエティ豊か。

直近では、自宅にある洋服の写真を送るとショップ店員がコーディネートを提案してくれる「コーディネート屋さん」が開催されます。ワクワクする企画が目白押しですので、ぜひ関西在住の皆さんはチェックしてください!

この妄想ショップの企画の一つとして実施したのが「お坊さん喫茶」。「人には言いにくいこのモヤモヤを誰かに聞いてほしい」というお客さまの声と、「もっと気軽に話しかけてほしんだけどな」というお坊さんのモヤモヤから生まれた企画です。

この「お坊さん喫茶」をルクア・トキメキ事業部と一緒に企画をつくったのが、大阪で若者の就労支援を中心とした「働く」にまつわる事業を多方面に展開する、NPO法人 HELLO life(ハローライフ)。僕は、ひょんなご縁で代表の塩山さんと出会ったのがきっかけで、ハローライフの皆さんと懇意にさせてもらっていました。

ハローライフが紹介されているWEB記事はこちら!

塩山さんから妄想ショップ企画の相談を受け、24名のお坊さんたちに協力を仰ぎ「お坊さん喫茶」を開催。3日間の開催で、参加者は総勢223名。ルクアのオープン時間にあわせ10時から21時の開催でしたが、お昼には全ての予約が埋まるほどの大好評となり、テレビでも取り上げられました。

「お坊さん喫茶」を終え、後日、お疲れさま会のなかで、ハローライフの皆さんに採用について相談。実際にハローライフが採用のさいに大切にしていることや評価制度、社内研修などお聞きし、テラエナジーの現状についてもお伝えすると…「求人、うちでやってくれれば良いじゃないですか!」とご提案をいただき、「あっ、そうか、そうだ。お願いします!」とその場で決定。実は、ハローライフは採用支援サービスも提供されていました。

こうして、テラエナジーはついに初の求人を始めることとなりました!

ちなみにその後、ハローライフさんはテラエナジーの寄付先団体としてご一緒いただいています。

苦戦が予想される求人

求人を始める前に、既に1人の採用は決めていました。代表の竹本や僕も一緒に認定NPO法人京都自死・自殺相談センターで活動していて、長年にわたって事務局長をやってくれていた「よっしー」こと吉田。僕や竹本の得意なところも抜けているところもしっかりと認識してくれている頼もしい人材です。管理部長として、電力の需給管理を中心に電力事業全体の業務を担ってもらいます。

ハローライフでの求人を始めるにあたって、先ずはテラエナジーの想いや人柄、業務内容について丁寧に発信するレポート形式の求人記事を制作。ハローライフの担当者が、竹本と吉田にインタビューを実施。自分たちでもどのような人材にエントリーして欲しいのか漠然としていることもありましたが、対話的にインタビューしてくださったおかげで、一緒に働きたい人材のコアが少しずつ浮き彫りになってきました。

テラエナジーは立ち上げ間もない会社です。かつ、電力事業の実務経験もない。さらに、企業での就労経験がない僧侶が立ち上げた会社。はっきりと役割が分担されているわけでなく、オールマイティーに、主体的に関わってもらう必要がある。そうしたなかで出てきたキャッチコピーが「攻めのバックオフィス」。

完成した求人記事がこちらです。

担当者に伺った話では、ベンチャー、かつ、業界のことがよく分からない新電力会社、さらに、お坊さんが立ち上げた会社。苦戦するだろうと心配してくださっていました。

が、蓋を開けてみると、採用人数1名のところに、14名のエントリーをいただきました。エントリー時に履歴書と一緒に「わざわざテラエナジーで働いてみたい理由ってなに?」とか「あなたはどんな人ですか?」とか「質問を考えて、自分で答えてください」という、面倒くさい資料提出必須にも関わらず、想いを込めてエントリーしてくださった皆さんに改めて感謝します。同時に、テラエナジーがやろうとしていることに共感してくれる人が確かにいるんだとの自信にもつながりました。

個性あふれるメンバーをご紹介

当初は1名の採用のつもりでしたが、とっても素敵な方々で、このチャンスを逃したらもう出会えないとの思いが勝り、最終的には2名採用することとなりました。お二人ともお寺と関係のない一般の方です。

個性豊かな素敵なお二人のエピソードを少しだけご紹介。

僕らは基本的に愛称で呼び合っています。自分が言われて心地よい名前でお互いに呼び合いたいという想いで、自身でなんて呼ばれるかを決めてもらっています。例えば、僕は下の名前で「こうゆう」、代表の竹本は「たけ」。そのなかで早速にユーモアをブチかましてくれたのが「ゆかり嬢」。気品のある女性ですが、なんとテラエナジー では最年長(内面も外見も若々しい)。最終面接のときには、それまで一度も使ったことがなかったパワポを娘さんに指導してもらいながらプレゼン資料をつくり、想いの丈を語ってくれました。そんな努力家に呼ばれたい名前をお聞きして返ってきたのが「ゆかり嬢」。その場に居合わせたみんながなんとリアクションして良いのか躊躇しました(笑)。その理由を聞くと、最年長であることを思うと「ゆかり」と呼び捨てではみんなが気を使う。かといって「ゆかりちゃん」もなんか心地悪い。「ゆかりさん」もテラエナジーの雰囲気からすると固苦しい。そうして出してくれたのが「ゆかり嬢」。組織の空気感やお互いの関係性を上手くキャッチアップしてくれる勘所とユーモアあふれる人柄に早速脱帽。

もう一人は「ななちゃん」。前職がかなりビジョナリーな企業にいたそうで、僕たちも唸るほどの深い思想・思考の持ち主。早速その本領を発揮してくれたのが、入社する前に実施した歓迎会。会場は、京都で大人気の焼肉ホルモン・アジェ(実は僕が10年以上バイトさせてもらっていたお店)。美味しいお肉とお酒に囲まれ、会話も弾む。ななちゃんに最近気になることあるって聞くと「人の善・悪って何が基準なんですかね?」「テラエナジーにとって企業の成長ってなんですか?」と最高のお酒のアテを投げてくれる。大いに語り合って歓迎会を終えた翌日、代表の竹本の様子がおかしい。なんと、お酒を飲みすぎて歓迎会の記憶が無い(笑)。なんでそんなに飲んだんですか?と聞くと、ななちゃんが横で良いペースで飲んでるし、社長として新入りには負けてられないと意気込んで同じペースで飲んでいたら、完全にキャパを超えてしまったとのこと。入社前から酒豪っぷりを見せつけてくれました。

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(歓迎会の様子。写真手前でワケのわからないポーズを取っているのが、このとき既に記憶を無くしつつある代表の竹本。そのお隣でピースをしているのがななちゃん)

そんなお二人の採用ストーリーはこちら。

いよいよ電力事業を始める下準備が整ったテラエナジー。さぁ、いよいよこれからだ!と気合いを入れてにお寺を中心に営業に奔走するものの、なかなか思うように契約が取れず、相変わらず悪戦苦闘し続ける様子を書き進めます。

霍野 廣由(つるの こうゆう)
1987年福岡県生まれ。浄土真宗本願寺派覚円寺(福岡県)副住職。龍谷大学実践真宗学研究科在学時に、自死・自殺や終末医療、高齢者福祉の活動に携わるとともに、寺院活動を研究する。大学院を修了し、認定NPO法人京都自死・自殺相談センターに就職し、現在は事務局長を務める。2018年、ソーシャルグッドな新電力会社、TERA Energy株式会社を立ち上げる。相愛大学非常勤講師、浄土真宗本願寺派子ども・若者ご縁づくり推進委員など。

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テラエナジーでんきへのWebサイトはこちら
https://tera-energy.com/

3分で完了!テラエナジーでんきのお申込みはこちら
https://tera-energy.com/form/#anc-top


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