Jazzはちっともお洒落じゃない。
一番好んで聴くジャンルはJazz、若しくはなにかしらJazzのテイストを感じるものだ。と答えると、お洒落ですねーなんて反応する方が少なくない。
都心のオーセンティックなBARや、映画のロマンティックなシーンでふとながれてくる落ち着いた音楽、確かにJazzは大人の男女が嗜む音楽という印象がいつのまにか付いてしまった。
僕も十代のころ、Jazzは背伸びをしなければ理解できないジャンルのように感じていた。しかし、音楽を徐々に深く感じるようになり、自分なりに音楽史を紐解いていくとJazzは大人のために用意された贅沢な音楽でないことに行きついたのは僕が大人になってからだ。
深い考察は省くけれど、米国の奴隷制度によってぞんざいに扱われた黒人の作り出した音楽はブルーズ、そこに教育のある黒人達が西洋の音楽理論を加えて彼ら独自に産み落としたものがJazzだ。Jazzは社会へのメッセージであり、アイデンティティであり、彼らの武器だった。
マイルスは決してジャケ写では笑わなかった。ジャケットで笑顔をいつも作るサッチモを、白人に媚びていると非難していた。マイルスバンドに加入したまだ若かったビルエヴァンスは、ずいぶんといびられたそうだ。
コルトレーンはつねに暴力を感じさせたし、当時の米国はいまよりずっと黒人差別はひどかったのだ。
若い彼らが新しいムーブメントを生み出し、あらゆるカルチャーと融合させ進化させた歴史は、現在のHIPHOPの歴史ともかぶる。
Jazzはまだまだ進化している。大人のたしなむ嗜好品のような扱いは僕はすきじゃない。
時計じかけのオレンジで若者たちがベートーベンを聞いて駆り立てられたように、Jazzだって毒物として聞いたっていいではないか。