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モチベーションを操作せよ

 先日挙げた「リーダーが持つべき能力とは何か」にて、
1.役割分担能力
2.モチベーション操作能力
3.問題発見能力
4.合意形成能力
の4つを挙げた。
今回はそのうちのモチベーション操作能力について、考えを深めていきたい。

モチベーションとは何なのか

 まず簡単に、モチベーションとは何かを確認する。
日本語訳をすると「動機」となるらしい。
言い換えると「〇〇をしたいと思う気持ち」となるだろうか。
 実は、このモチベーションというのは誰でも持っていて、いくつか段階がある。
ダニエル・ピンクという研究者が著書の「モチベーション3.0」にそのことを書いているので、少し説明。
・モチベーション1.0
 根源的なモチベーションで、生物が生命活動を維持するために湧き上がるもの。
ご飯を食べたいと思ったら、冷蔵庫に行き何か探し始めるし、眠たいと思ったらベッドへ向かう。
そんな風に、生理的な欲求自体がモチベーションとなる。
・モチベーション2.0
 外的報酬によるモチベーション
分かりやすいのは遊ぶためのお金が欲しいから仕事をするといったもの。
お金以外にも、例えば人に褒められるため、というのも外的な報酬を求めて行動を起こしているわけなので、このモチベーション2.0に含まれる。
・モチベーション3.0
 内的報酬によるモチベーション
例えば野球が大好きで、毎日上手になるために素振りの練習をする。
もしこれが、誰かに褒められるために素振りをしているのなら、それは外的報酬といえるが、純粋に野球が好きで上手になりたいからという話だと、「熟達」という内的報酬の形だ。
好きなようにやりたい、マスターしたい、将来これをしたい。
そんな他人関係なく、純粋に自分のうちから出る動機のことをいう。

どのモチベーションを重要視すべきか

 1.0は生理的なものといえるのでちょっと置いておいて、2.0(外的報酬型)と3.0(内的報酬型)について、2つの違いを比較していく。
この2つは、相反するような部分をもっていて、その違いもまた面白い。
 2.0は新たな発想などが必要のない単純作業において、強い効果を発揮する。一方、創造的な作業となるとむしろ悪影響を及ぼす場合がでてくる。また、熱しやすく冷めやすいといった特徴を持つ。
 3.0は創造的な作業に向いており、持続的である。一方で、短期間で爆発的にモチベーションを上げるというのは難しく、そもそも本人に興味がなければ全く使えない手法となる。
 これまで様々な世界でモチベーション2.0、つまり外的報酬によって人を動かすというのが多用されていた。
何かをしたからご褒美を出す。
そして、ご褒美を与え続けることで行動を引き出し続ける。
それが、ビジネスの上でのモチベーションの扱い方だった。
 しかし、2.0の特徴に「新たな発想などが必要のない単純作業」と書いた。
さて、それはどんな仕事だろうか。
そして、それは今後も残っていく仕事だろうか。
散々AIがうんぬん言われている昨今、2.0の持つ特徴を利用してできる何かがどんどん減ってきているのは説明するまでもないと思う。
そう、2.0を中心とした制度設計は、時代遅れになりつつあるのだ。

3.0のカギは

 とはいえ、内的報酬を利用するということは、それぞれの個性を把握し、好き嫌いを知っておくことに他ならない。
 単純作業がなくなり、仕事=クリエイティブな作業となりつつある昨今。
リーダーは組織を運営するために、内的報酬型のモチベーションを上手く操作する必要性が増してきている
その一歩目はメンバー個人をより把握すること。
嘆いても仕方がない、そんな時代なのだから。
「そんなのできないし知ったことか」というのなら、それはリーダーに向いていないということでファイナルアンサーかな。

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