ステンレス管(カラーレーザープリンタードラムユニット)を掃除した噺
わが家には「RICOH SP C740」というカラーレーザープリンターがある。このプリンターの感光体ユニットを初めて分解清掃したので、興奮冷めやらぬうちに覚書として記す。
加えて、プリンターに関連するネタを2年ほど前に書いた(イーサネットコンバーター作成の覚書)ことを激しく思い出している。
フィルムステッカー巻き込み事件
事の発端は、透明フィルムステッカーの給紙時に剥離紙からシールがめくりあがってしまったことだ。
ひどい異音を放ちながらあれよあれよと吸い込まれていった様子を、ほんの短い時間だったはずなのだが、2年間のプリンターとの思い出が走馬灯のように駆け抜けていった。
黒一色での印刷だったので、迷わず黒ドラムユニットを点検。フィルムがドラムにぐるりと巻き付いた様子は一目で分かるものだった。
ドラムユニットの片端には白いギヤが見えている。これを回せばうまく剥がせるだろうかと、ギヤ回しに挑戦するも、トルクのかからない素手では回すこと敵わず、路頭に迷う。
ドラムユニット分解に腹を括る
悩んでいる時間はない。頼まれている案件を処理するために、1秒でも早くプリンターを復旧しなければならない。
早速Amazonからリサイクル品をポチる。しかし、到着まで4日もかかる。できれば2日くらいで届いてほしかったが、そんなワガママは叶うはずもなく。
思い切って分解修理に挑戦してみようという気持ちが沸々と湧き上がる。「どうせ新しいドラムユニットが届くし、ダメでもともと。やってみよう!直せればラッキーだ!!」そんな思いが後押しし、腹を括ることに。
2時間1本勝負!!
私のこれまでの経験上、初めての分解作業は解体開始から復旧まで2時間以内であれば(ほぼ)100%元に戻せる。なので、2時間で勝負を決めなければならない。なぜなら、黒トナーまみれで真っ黒になり、写真はおろか記録すら取れないことが容易に想像できたからである。
セリアで、アルミのレジャーシートを購入。ペラッペラの物だと、作業時にめくりあがりそうだったので、少し厚みがあるものを選んでみた。バラした部品を置く際も、多少クッション性があるほうがいいと思ったのだ。
レジャーシートを広げ、さらにA3コピー用紙も数枚並べて、ドライバー、ウエス、エタノール、ごみ袋を脇に並べて、作業開始。
肝はギヤを定位置にした状態で戻すこと
SP C740のドラムユニットはトナーと連結する仕様のため、トナーを外すところから作業は始まるのだが、トナーはもともと容易に外せる仕様なので、ここでは開始前の作業となる。
トナーを外すと、ドラムユニットの中にはトナー粉末が大量に見える。このままひっくりかえしたら大変なことになるのは目に見えていた。(実際、ひっくり返して大変なことになることを確認したことは伏せておく。)
なので、トナーを外す前にトナー側を下向きにし、両脇をトントンと叩くようにしてドラムユニット内のトナーをトナーケースにできるだけ戻すことで、トナーを節約する。(これをやったからと言って、全てのトナーがトナーケースに戻るわけではないが、やらないよりは全然ましなのである。)
表面にはネジが隠されることもなく見えているので、迷わずに外す。外した順にきれいに並べておくのは、戻し時の配慮。(後に、全部同じネジであることが明らかに。)
トナーケースが乗っかる部分はドラムユニットの二になっているので、これを外す。外す時にやみくもにやると絶対に壊すことになるので、慎重に爪を外していく作業が必要なのだが、前述のとおり、この時点で既に手は真っ黒なので写真も何にもない。
ふた部分を外すと、グリーンに光るアルミ管が見えてくるが、立ちはだかるのは手前のゴムローラー。これを外すには、再度のギヤボックスを横に引き抜かなければならない。横に貫通しているシャフトにはEリングなどのストッパーの類は見当たらないので、そろりそろりと、でも力はしっかり入れなければならないという難易度高めの作業。(ここで思い切り過ぎるとバネ類を飛ばし、ギヤ類を飛ばし、ヤル気も飛ぶ。)
バネは見えるところには2種類がそれぞれ2個ずつ。(分解した結果、それ以外のバネは容易に外れるところには無かった。)シャフトを無事引き抜くと、手前のシャフトとゴムローラーを外せる。
ここまでくるとアルミ管にアクセスできるようになるが、ゴムローラーの上にかぶさっているビニル製のスクレイパーのようなものを両脇ネジを外して撤去したのを思い出した。
改めて、アルミ管を取り出すことができるので、どこにもひっかけないよう慎重に取り出す。
取り出したアルミ管から、慎重に粘着フィルムを剥がす。案の定、粘着剤は管に付着したままとなっている。
ここで出番となるのがエタノール。ウエスにエタノールを惜しげもなくしみこませ、アルミ缶を丁寧に清拭する。これで感光体ドラムの清掃が完了。
問題は、ここから元に戻すことだ。時計を見ると残り時間30分。外した逆の順に戻すのだが、記憶だけが頼りだ。しかし、戻す段になり手にするパーツのトナー汚れが気になる。金属通電個所の汚れも気になる。なので、ウエスのきれいな部分を使って、染み込ませたエタノールの力できれいにしていく。(結局細かい部分は綿棒とつまようじを使った。あらかじめ用意しておくことをお勧めする。)
ギヤは思ったほど複雑ではなく、収まるところにしか収まらないので、しっかりと復旧伊智にセッティングしながらシャフトを挿し込んでいくことになる。
当然、複数個所を同時にはめ込まなければならないので、最後の5㎜が押し込めないという事態に。記憶をたどると、ここさえ収まれば後は2時間をオーバーしても影響はないと判断したので、ここを慎重に作業することに。
バネ類は作業場どうしても外れる箇所があるので、それを戻す作業があるのだが、せいぜい2個、最大で4個はめ込む作業となる。
止まない雨はない、終わらない作業はない。
座り込んで作業をすること2時間15分、私の奮闘は終わり、いよいよプリンターに戻す時がきた。
本体にセットし、電源を投入・・・正常に起動した。異常はないようだ。次に印刷テスト。本体メニューからステータスを印刷・・・無事印刷された。何事もなかったかのように印刷された。心なしか印刷結果がキレイになった気がするのは、気のせいだろうか。
挑戦だけは止まらない
1秒でも早く復旧させたいという思いから着手し挑んだドラムユニットのクリーニング。
再稼働まで4日かかるはずが、1日で復旧してしまった。素晴らしい!!
短縮できた3日間(1日ロスしたとは考えない)で受託作業を前倒しで進めることにする!!(前倒しになっていないことはこの際気付かずにおく。)
作業報告(まとめ)
ドラムユニットは分解清掃できる・・・が慎重な作業を要する。そして、めちゃくちゃ汚れる。
結構大変な作業だったから写真撮っておきたかったorz
【今回の作業を行うにあたり、事前に調べた情報は次の通り。】
感光体ドラムはアルミ管
感光体は1500ルクス以上の光にさらしてはNG
クリーニング剤としてエタノールが使える
エタノールと純粋だけを含んだウェットクリーナーでも使えるが乾拭仕上げが必要
シャフト周りの留め具(Eリングなど)の確認と必要工具の用意
先細ピンセットがあるとバネの処理が楽
作業用手袋が良い。ビニル手袋だと、細かい部品に引っかかって破れる