中国ドラマのわたし的疑問:いつまでその男と一緒にいるのですか?彼女を深く愛していながら虐待する男達
21世紀のこのご時世に親の仇を取るとか、親の犯した罪を償うために身を捧げるとか、馬鹿馬鹿しくてありえないんだけど中国ドラマでは現代の話でもまだそういう設定が出てくる。それから資産家の男が主人公の1人だと大概もの凄い怖いお母さんが出てきて女主人公との仲を認めず、彼女を虐め倒すのが筋書きだ。そしてこの虐待型恋愛の話の場合なぜそういうロジックになるのか不思議だが、怖いお母さんの攻撃から女主人公をまもる為に男主人公が先に女主人公を虐待する筋立てだったりする。そして実は陰では彼女のことを狂おしいほど愛しているのだ。精神的肉体的な屈辱を与えているくせに突然彼女を抱きしめたり口づけしたりのローラーコースターな展開にみているこちらが疲れてしまう、何度もトライしたのに全部の話を見きれていないドラマが「千山暮雪」と「不得不愛」の二つ。
1)千山暮雪(Sealed with a Kiss)
この話には怖いお母さんではなくて、ものすごく(顔が)怖い本妻さんが登場する。ハウィック・ラウ(劉愷威)演じる男主人公シャオチェン,は裕福なビジネスマンだが、ビジネス上の政略結婚で結婚した本妻の目の届かないところで隠れて愛人を囲う。イン・アー(穎兒)演じる女主人公トンシエがシャオチェンの愛人だ。トンシエはシャオチェンの父親の仇にあたる男の娘なのだが、シャオチェンの父もトンシエの父も既に亡くなっているため、娘のトンシエを苦しめることでシャオチェンは復讐を果たすつもりなのだった。それで、金に物を言わせて裏工作をし、まだ大学生のトンシエを彼の愛人に成らざるを得ない状況に陥れる。彼女が交際していた彼氏との間も引き裂く。そうやって彼女を心理的に追い詰めているにもかかわらず、実はシャオチェンはトンシエを深く愛してしまっていて、彼だけの言うことを聞いてほしいと思っているので、彼女の元交際相手に激しく嫉妬したりもする。女主人公は心理的、肉体的虐待に苦しみ、その倒錯した愛人関係から抜け出せる未来を支えに生きていたはずなのに、いつしか複雑な心理状況のシャオチェンに対する愛情が湧くという筋書きだった。ダメ、その男はやめなさい。全力で逃げよう。
余談だが、千山暮雪の場面の短いビデオクリップがたくさんユーチューブに上がっていて、「太った女の子が去ったとき、彼女はボスが残した携帯電話を見つけました、それは彼の秘密の愛でいっぱいでした。」のような変な日本語訳の題名がついている。この場面は最終回で二人が別れてからトンシエが初めてシャオチンが如何に彼女のことを愛していたのかを悟るクライマックスシーンなのに、変なタイトルのせいで雰囲気が台無しだ。
2)不得不愛(Be With You)
こちらの話は財閥を守るためにはなんでもするタイプの怖いお母さんが登場する。ウィルバー・パン(由潘玮柏)演じる男主人公チュァンユーと、シュー・ルー(徐璐)演じる女主人公ウェイリンは、もともとは家族同様の環境で育ち惹かれあう仲だったが、ウェイリンの父が不審な死に方をし、父の経営していた会社をチュァンユーの母が引き継いだ(会社を乗っ取ったような状態)ことで利害関係が生じた。問題が解決するまでウェイリンを中国から出国させてアメリカで生活させる計画をチュァンユーが立てたが、会社を取り戻そうとウェイリン早く戻ってきてしまい事態がこじれるお話。チュァンユーは社内の過酷な部署に彼女を配属したり、あの手この手の嫌がらせをして彼女を辞めさせようとするが、この女主人公はサイボーグなんじゃないかと思うような鈍感さで全然へこたれない。これだけ強いなら、変にアメリカに送ったりせずに最初から怖い母親とガチで戦わせておけばよかったのにと思う。彼女は我慢強く危機を回避するだけでなく、いろいろな部署の男性たちに好かれていて、危機に瀕するたびに彼らの協力を得るので、チュァンユーは嫉妬にかられて突然彼女を抱きしめたりキスしたりするのループが延々と繰り返される。若くて美人で頭もいいはずの女主人公がこのクレイジーな関係から離れないのが不思議だ。面倒な男とつきあうのはやめましょう。