2台めのインスタントポット : 煎じ薬
目から鱗だった。食べ物の調理に使うことしか頭になかったが、一定の温度で長時間かけて薬草を煮出すのにインスタントポットがぴったりなのだ。
最近、チャーガという薬効の高いキノコのNOTE記事を読んで興味が湧き、カナダに近いミネソタ州北部の業者から取り寄せてみた。1パウンドのチャーガ顆粒が入ってきた紙袋には「1/4カップのチャーガの粉末に1ガロン(4リットル弱)の水を加えて沸騰させずに3-4時間加熱する。」と書かれている。家に中医薬を煎じる土瓶電気ポットがあるけれど、これはグラグラと煮出すタイプだから沸騰してしまう。どうしたら良いものか? 民間療法に詳しい友達に相談したら、クロックポットを使えば良いという。クロックポットというのは別名スロークッカーと呼ばれる分厚い陶器製の内鍋を電熱の付いた外容器にすっぽり設置し、ガラス蓋をして長時間弱火で煮物をするための調理器具だ。食材をセットして電源をいれて仕事に行き、帰宅する頃にはチリビーンズやポットローストが出来上がっているという忙しい人にはありがたい調理器具でアメリカの家庭ではよく使われている。
インスタントポットにもスロークックという設定ボタンがあり、調べてみると76℃から93℃の間の調理温度なのがわかった。薬湯を煮るのに金属の鍋は避けた方が良いと聞くけれども、金属でもステンレスはオーケーらしい。インスタントポットの内鍋はステンレス製だから大丈夫だろう。お茶パックに大さじ1くらいのチャーガ末を1クォートの水と一緒にインスタントポットに入れ、スロークックモードの”Less”(低温)で調理時間は3時間にセットする。
友達の話では香り付けにカルダモンの種を一緒に煮たりすることもあるらしい。圧力はかけないで、ゆっくりとキノコの成分を湯に浸出させる。
出来上がったチャーガティーは苦味も無く、薄いカフェインレスのコーヒーのような味。クセがなくて飲み易い。煮出したキノコは一度だけでなく何回か繰り返し煎じて使えるそうだ。私達夫婦はミネソタ北部が好きで、何度か訪れているが、人口が少なくてガソリンスタンドが日用雑貨、食料品店と釣り具屋を兼ねていたり、店の一隅では罠で仕留めたコヨーテなどの野生動物の毛皮が売られていたりする。そういう場所の白樺の木から採取された稀少なキノコだから、何度も煎じてありがたくいただこうと思う。