2020フォルタレサの冬到来
何を血迷ってしまったかと思われるかもしれません。今は2021年だし、散々寒い思いをした末にもうすぐ春はそこまでやってきている。そんな中、冬到来とかここからもう一度寒波でも来るの?と。
テキーラフリーク、特にフォルタレサファンの方はお察しかと思いますが、2019年にフォルタレサ(Fortaleza)から発売されたウィンターブレンドの第二弾がようやく日本に着弾し、販売が開始されました。
フォルタレサとは?
テキーラファンでない方のために、まずここから始めたいと思います。テキーラファンの方は遠慮なく飛ばして次章に進んで頂いても構いません。
フォルタレサとはTequila Los Abuelos, S.A. de C.V.(NOM1493)で造られるテキーラです。テキーラにあまり詳しくない方でもサウザ(Sauza)という名前は聞いたことがあるかもしれません。サウザはテキーラ村御三家とも呼ばれるテキーラ生産者の名家「サウサ家」によって設立されたブランドですが、1976年に三代目が蒸留所とブランドを大手資本に売却し、今では巡り巡って日本の酒造メーカーであるビームスサントリー社の傘下に属する日本資本のテキーラ蒸留所となっています。
テキーラ業界から身を引いてしまったサウサ家ですが、五代目であるギジェルモ・エリクソン・サウサ(guillermo erickson sauza)氏が1999年に祖父達が造っていたような古き良きテキーラを造りたいと思い立って閉鎖されていたテキーラ村の片隅にある小さい蒸留所を再興。2005年から販売を開始しているのが、このフォルタレサなのです。言わば「サウサ家本家本元の味」のテキーラなのです。
ギジェルモ・エリクソン・サウサ氏
ロス・アブエロスはテキーラ蒸留所の中では小さい方で、伝統的な製法にこだわっている貴重な蒸留所のひとつです。ここは「タオナ」と呼ばれる搾汁設備を使っていることでも有名で、タオナを使用している蒸留所は現在150か所程度ある蒸留所の中で1割程度しかありません。
タオナはアガベの繊維を切り刻むことなく搾汁できるため余計な雑味が出ず昔ながらの美味いテキーラが造れると言われる反面、作業効率と搾汁効率が悪く、ほとんどの蒸留所はより近代的なシュレッダー(ローラーミル)という搾汁設備を使用または併用しています。その中でもロス・アブエロスはタオナ搾汁にこだわり品質重視のテキーラ造りをしている貴重な蒸留所です。
ウインターブレンドとは?
ウインターブレンドとは2019年に発売されたフォルタレサ初の限定テキーラです。2019年にリリースされたウインターブレンドは、通常のレポサドに11ヶ月間フレンチオークの新樽で熟成したレポサドをブレンド、加水せずそのまま瓶詰したものでした。
フォルタレサは、数あるテキーラブランドの中でも「樽感をあまり効かせない」ブランドと言えます。他ブランドのレポサド、アニェホと比較するとわかりますが、その熟成色はやや淡く、飲んでみるとアニェホでもブランコの持つアガベ感が感じられるのがわかります。ブランドによっては樽感が主役となるテキーラも多い中、近年こういう柔らかな樽使いで原酒の風合いを大切にするブランドが増えていますが、フォルタレサもそのひとつと言えましょう。
ウインターブレンド2019
そんなフォルタレサからリリースされたウインターブレンド2019ですが、一見しただけでも熟成色の濃さが顕著で、通常のアニェホと比べてもむしろ濃いレベルでした。もちろん味わいもフレンチオークの新樽がしっかり効いた樽感が主役の仕上がりに。多くの方がこの「濃いフォルタレサ」を絶賛する一方で「美味しいけどフォルタレサぽくはないかな」といった感想も散見されました。
このウインターブレンド2019は日本にも70本程度輸入されましたが、当然ながら既に売り切れており現在は購入することはできません。ただ、まだ提供しているテキーラバーもいくつかあると思われますので、ぜひ探して味わってみてください。もちろんテキーラ道場にはご用意してあります。
ウインターブレンド2020
そしてコロナ禍の影響もあり、やや遅れて日本に到着したウインターブレンド2020。そのスペックは
① 通常のレポサド
② 前年のフレンチオーク樽を再利用したセカンドフィルのレポサド
③ 今回新たに手配した英国式エールカスクによるレポサド
のトリプルカスクブレンド、もちろん無加水のバレルプルーフにて瓶詰というものです。テキーラ道場では日本正規輸入が待ちきれず、一足先に年末にアメリカから取り寄せて2019との比較テイスティングを実施。
まず初見で明らかに熟成色が薄いのがわかります。無加水でありながら通常のレポサド並みの仕上がりです。これはつまり②③の熟成色が通常のレポサドより更に薄いことを意味しています。あれだけガッツリ色の出ていたフレンチオークの新樽も2回目だとここまで薄くなるという事実は、とても興味深かったです。
味わいも2019の樽感が主役の印象に比べてぐっと原酒感が増していて、軽い樽感の中にスティルストレングスのような力強いアガベ感を感じることができます。そして余韻で感じる複雑な後味が、たぶんエールカスクの影響なのではないかと推測(舌バカなので自信なし)。
淡くも複雑な樽感と、フォルタレサの原酒の美味さのバランスが取れた「フォルタレサらしい」カスクプルーフレポサドと言えるのではないでしょうか?
で、どこで買えるのか?
今年の入荷数も70本程度とのことで、その多くが業販向けに振り分けられ一般販売はかなり少ないと予想されます。3月12日解禁の前に予約販売をしていた酒屋さんでは私が知る限り全滅状態です。逆に言えば、予約販売をしていないところは、入荷後にリストアップされる可能性もありますので、こまめにチェックしてみるのも手かもしれません。
私が「特命営業」を拝命しているサトー酒店さんでも、予約販売で一気に売り切れになりそうな勢いだったので、1本だけこのブログ公開後に抽選販売を実施して頂けるようお願いをしています(近日公開予定)。
倍率は高いかもしれませんが、テキーラを普段飲まない方がお買い求め頂いてもご満足頂ける逸品ですので、よかったら参加してみてください。
追記
なお赤坂「Bar Algernon Sinfonia」さん、五反田「Okage Bar」さん、新宿「BAR Liquid Ruby」さん、大阪「Bar Cactus」さんに入荷しているそうなので、お近くにお住まいの方はぜひ飲みに行ってみて下さい。
よろしかったらサポートお願いします。といっても特に立派なことに使うわけではなく、すべてテキーラになるだけですが(^^;)